保護者さまと一緒に取り組むお子さまのむし歯予防
「子どもには歯に苦労しない人生を歩んでほしい」と思うのが親心。むし歯に苦しむことがないように、お子さまの歯の健康を保ってあげたいですよね。
そのためには、子どものころからむし歯予防の正しい習慣を身に付けることが大切です。
「歯に苦労しない人生」と「歯に苦労する人生」の分かれ目は、小児期の向き合い方で決まります。
私たちは保護者さまとお子さまと一緒に、健康的な歯を守るために最善を尽くします。
小児期は、一般的に15歳になるまでの時期を指します。乳歯から永久歯に生え変わるむし歯になりやすい時期です。
乳歯はいずれ抜けますが、この時期のケアが今後の長い人生で起こりうる「歯の悩み」に影響を及ぼします。
「乳歯はいずれ抜けるからそれほど心配いらないのでは?」と思っているようでしたら、考えを改める必要があります。
これは決して大げさな表現ではありません。
乳歯が虫歯になると、主に以下のようなリスクが生じます。
小児期の乳歯が役割を終え、永久歯が生え揃ってからの3~5年(中高生の時期)は、人生で最もむし歯が増えやすい危険な時期です。成人を迎えるあたりまでむし歯になりやすい状態は続いているので、小児期からむし歯にならない状態をキープし続けることが大切です。
歯に苦労しない人生を送るためにも、小児期から歯のケアとしっかり向き合っていただきたいと思います。
お子さまのむし歯を防ぐための第一歩は、保護者さまが正しい知識を持つことです。
乳歯がむし歯になることによって生じるリスクをみていきたいと思います。
乳歯はむし歯になりやすい上に、むし歯になってからの進行が早いです。乳歯は構造が弱く、永久歯と比べて厚さが半分ほどしかありません。むし歯に感染すると、歯の根まで容易に到達してしまいます。すると、根の部分に膿が溜まります。
永久歯は乳歯の下から生えてきます。生え変わる際に根の部分に溜まった膿に触れてしまうと、永久歯はむし歯に感染してしまいます。また、歯の一番外側を覆っているエナメル質が正常に形成されない恐れもあります。すると白い永久歯ではなく、茶色く濁った永久歯が生えてくる可能性もあります。
乳歯のむし歯が重症化すると、抜歯しなければならない場合があります。抜歯は永久歯の歯列に悪い影響を与えます。
自然に生え変わる時期よりも早く乳歯を抜くと、永久歯が生えてくるまですき間が生じます。すると、そのすき間を埋めるように、周りの歯がすき間の方へ寄っていきます。 永久歯が生えてくるときに充分なすき間がなければ、まっすぐ生えなかったり、変な位置から生えてきたりする可能性が高くなります。
中高生になって永久歯が生え揃ったといっても、この時期の歯は未成熟です。エナメル質がやわらかく、歯を溶かす酸に弱い状態です。また、表面が粗いので歯垢(プラーク)が付着しやすい弱点もあります。
小児期からセルフケアと歯科医院でのメンテナンスを行っていたのに、永久歯が生え終わったタイミングで中断される患者さまは多いです。まだむし歯になりやすい状態にも関わらず気を抜いてしまうため、この時期が人生で最もむし歯が増えやすいのです。
昔と比べると、むし歯の治療を受けるお子さまは格段に減りました。いま歯科医院で治療を受けている患者さまのほとんどが大人です。
この背景には「小児期の治療がすべての始まりになっている」という事情があるのです。
(例)
こういった治療の連鎖は「歯のデス・スパイラル」と呼ばれています。一度つめものをしてしまったら、その後の長い人生にわたって治療の必要に迫られる可能性があります。「歯に苦労する人生」と「歯に苦労しない人生」、その行方は小児期にどのようにして歯と向き合うかで決まります。
お子さまが「歯に苦労しない人生」を送るためには、小児期から健康的な歯を保つことが何よりも大切です。
ご自宅で行うセルフケアと、歯科医院で行うメンテナンスを習慣化させる必要があります。
この時期にセルフケアだけでむし歯を完全に防ぐことは難しいです。
当院では、お子さまが歯科医院に抵抗なく足を運べるように、最大限の配慮をしています。
小児期から成人までむし歯にならない状態を守り続ければ、その後むし歯に苦しむ可能性は格段に減ります。
歯が成熟する成人を迎えるあたりまでは、セルフケアと歯科医院でのメンテナンスを習慣化させる意識を持つことが大切です。
お子さまが歯に苦労しない人生を送るために、私たちも精一杯サポートさせていただきます。