歯石を自分で取るのはいい? 自力で歯石を取る方法と注意点・おすすめしない理由
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鏡でみた自分の歯に歯石がついていたら気になりますよね。取った方がいいとはわかっていても、わざわざ歯医者を予約して時間を取って受診するのが面倒くさい、そう考える人もいるでしょう。
歯石は道具があれば、自宅でも除去可能です。しかし通常、自力で歯石を取ることをおすすめする歯科医はいません。それはなぜでしょうか?
ここでは歯石は自分で取れるかどうか、なぜ歯科医は自力での除去に賛成でないのか、自分でやるならその方法は? などを紹介します。
歯石を自分で取るのはやめよう!
歯石は自分で取れますが、おすすめはしません。自力で除去しようとすると、むしろ除去前よりたくさんの歯石がついてしまったり、口の中を痛めたりしてしまう可能性が高くなります。
自力での歯石取りがNGであるのは複数の理由がありますが、簡単にいうと素人だからです。
歯科医で歯石を取ってくれるのは、国家資格を持つ歯科衛生士。何年も訓練をしたその道のプロですね。さらにいえば、歯科医や歯科衛生士といったプロでも、鏡をみて自らの歯石を取ることはありません。自力ではしっかり除去できないからというのがその理由です。
きちんと除去できなければ、歯石はすぐに以前より多くなって戻ってきます。
時間がない人もいますが、やはり歯科を受診して専門家に処理してもらうことが一番。自分で行って口の中を痛めないようにしましょう。
歯石とは? 歯石がつく原因と構造
歯石は歯についた食べかすに口内細菌がとりつきできた歯垢が、口内の防御システムによって石のように固められたもの。
歯垢は細菌の塊ですが、歯石は細菌の住処になります。
では続いて歯石が付く原因と構造を紹介しましょう。
歯石が付く原因
人が食事をすると、食べ物から出た糖質によって酸が作り出されます。その酸は人の歯の表面を溶かし、エナメル質からミネラル成分のカルシウムやリンを流しだすのです。エナメル質が溶けることにより、口内にいる虫歯菌は歯の内部へ入り込もうとします。
ところが人には保護作用があり、食後には唾液の中に含まれるミネラル成分で歯の表面を再びコーティングしようと動き出します。これが「再石灰化」と呼ばれる現象。再石灰化によって虫歯の進行をとめるのですが、この再石灰化に歯垢が巻き込まれたものが歯石です。
歯石は唾液によるミネラル成分で歯垢が固められたもの。つまり歯石そのものは、人にとって直接害はありません。
歯石の構造
歯石はザラザラしてとても固いもの。機械で大きくズームしてみると、デコボコに穴が開いたコンクリートのようになっています。そのデコボコに歯垢がつきやすいため、歯石を放置すると歯垢がどんどん増えてしまうのです。
つまり歯石そのものは害悪ではありませんが、歯石があれば歯垢が増えます。そのため、歯石はできるだけ除去するほうがよいのです。
ところが歯石は歯と同じくらいに固く、歯ブラシやつまようじでは除去できません。歯科ではスケーラーという道具の他に、超音波と水がでる専用の機械で歯石を砕いていきます。
歯石を自分で取るのはおすすめしない! その4つの理由
通常、歯科医や歯科衛生士などに聞くと、歯石を自分で取ることは賛成されません。その理由は次の3つです。
- ・歯ぐきなどを傷付ける
- ・すぐに再発する
- ・重要な縁下歯石が取れない
歯ぐきなどを傷付ける
歯石はスケーラーと呼ばれる特別な道具を使って削り取りますが、その道具によって歯ぐきや歯の表面などを傷付ける可能性があります。
たとえば前歯であるなど自分でも鏡を使えば見やすい場所ならある程度の歯石は取れるでしょう。しかし基本的に歯石は唾液が溜まりやすいところ、歯の裏側などによく付きます。自分ではなかなか確認できないところのため、よほど上手でなければスケーラーによって無駄に歯ぐきを傷付け、出血したり歯ぐきの位置を下げてしまったりするのです。
すぐに再発する
歯石はきちんと除去できなければ、取り残された歯石に歯垢がくっついてすぐに再発します。下手をすると以前よりも広範囲に歯石が発生することも。
自力では完璧に取れないため、一度歯石を取っても頻繁に確認しなければならなくなるでしょう。
重要な縁下歯石が取れない
歯石は目でみえるところにある縁上歯石(えんじょうしせき)と、歯ぐきの中に隠れていてみえない縁下歯石(えんかしせき)があります。
縁下歯石は歯ぐきの溝、歯周ポケットの中で血液と唾液によって作られるため通常自分では確認できないもので、色は黒です。
重要なのは、みえない縁下歯石の方。これが除去できなければ、虫歯や歯周病の進行を止めることはできません。
歯石を自分で取る方法と注意点
前述した通り、自力でスケーラーを使って歯石を取ると歯ぐきなどを痛めるほかすぐにまた歯石がついてしまいますし、なおかつ重要な縁下歯石は除去できません。
それでもとりあえずみえているところだけでも取りたい、という方のために、自分で歯石を取る方法と注意点を説明します。
まず歯石を自力で取る一連の流れは以下の通りです。
- 1、2週間程度しっかり歯磨きをする
- 2、スケーラーを用意して消毒する
- 3、鏡を見ながら下前歯から歯石の除去
- 4、口をゆすぐ
- 5、複数回に分けて歯石除去をする
- 6、しっかり歯を磨く
しっかりとスケーラーを消毒したら、鏡をみながら歯石が付着している部分を確認、スケーラーの先を使って少しずつ削っていきましょう。前歯などみえやすいところからスタートし、歯ぐき側からスケーラーを上へと動かします。
注意点は、絶対に力を入れないこと。力を入れて動かした場合にスケーラーが滑れば、口内の他の部分を刺してしまうなどで大惨事になります。また、歯の表面も削れてそこから虫歯菌が侵入してしまう可能性も。自分のペースでゆっくりと慎重にスケーラーを動かしましょう。
一度にすべてやらず、歯石を取ったあとは1週間程度はしっかりと歯磨きをしてください。そうすると歯ぐきが引き締まり、みえなかった歯石が出てきます。歯石除去と歯磨きを交互に繰り返しながら、時間をかけて除去しましょう。
また、以前は歯石を取ったあとは口内の消毒をするようにと言われていたようですが、現在は消毒不要となっています。洗い流すためにはうがいで十分なので、とくに消毒はしなくて大丈夫ですよ。
歯石ができないようにするためには?
普段の口内ケアで、できるだけ歯石ができないようにしていきましょう。そのためには歯垢を作らないこと。歯垢は食べかすに細菌がついて塊になったものですので、食べかすをしっかり取り除けていればよいわけです。
歯磨きのときに気を付けたいのは次の3つ。
- ・力を入れてこすらない
- ・歯と歯肉の境目に直角にブラシの先をあてる
- ・フロスも併用する
力を入れてこすると歯の表面や歯ぐきが傷つきます。力をいれず、箒で埃を集めるように撫でる感覚で磨きましょう。また、歯と歯肉の境目に歯垢がたまりがち。境目に直角にブラシの先をあて、小刻みに前後に動かして磨きます。
さらにデンタルフロスも毎日使ってください。フロスでは歯ブラシでは取れない歯間の汚れを取り除けますよ。
歯ブラシで取れる歯の汚れは約6割です。フロスを使えばそれを8割程度まで上げられるので、できれば毎食後、それが難しくても就寝前のケアでは必ず使いましょう。
歯石は歯科で取ってもらおう! 定期健診が大切
歯石は歯周ポケットの中にある縁下歯石を取ることが必要です。自力で縁下歯石は取れないうえ、無駄に歯ぐきや歯表面を傷付けてしまう恐れがあります。またしっかり除去できなければ余計に歯石がついてしまう結果になることも。そのため、自分で道具を買って歯石を取ることはおすすめしません。
歯石除去は歯科でプロに任せましょう。3カ月に1度は定期健診にいき、定期的に歯石をとってもらってくださいね。