風邪と歯痛の関係は? 風邪で歯が痛む理由や痛みの特徴を紹介
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風邪を引くとよく歯が痛くなる。そんな方が多いのは、ちゃんとした理由があります。
もちろん虫歯や歯周病など口内の病気が原因で歯痛が起こることもありますが、それ以外にも原因はあるのですね。
ここでは風邪と歯痛の関係をみていきます。風邪を引くと歯が痛くなることがあるのはどうしてかの理由や痛みの特徴、その対処法などを順番に紹介しましょう。
風邪と歯痛の関係は?
風邪を引くと歯が痛くなることは、顔の中でさまざまな組織が繋がっていることから説明できます。しかし本来正常な体であれば、風邪を引いたからといって歯は痛みませんよね。子供のころから風邪と歯痛が同時に起こっていたという人は少ないでしょう。
ではなぜ起こるのか? それは歯のトラブルが重症化しているか、風邪による他の部位のトラブルが歯に影響しているからです。
どちらも何らかの病気・症状が悪化した結果なので、日ごろからのケアが大切。病院に任せきりにするのではなく、自分でできることをして痛みを予防していきましょう。
風邪を引いたときの歯痛原因は3 つ
風邪を引くと歯が痛むという方は、まず以下の原因3つを確認してください。
- ・副鼻腔炎
- ・歯根嚢胞がある
- ・免疫力の低下による炎症
副鼻腔炎
副鼻腔炎は鼻風邪の症状です。顔の中に走っている副鼻腔と呼ばれる空洞に鼻水などの粘液がたまり、それが細菌に感染して炎症を起こします。症状としては極度の鼻づまりや顔面痛、悪臭の発生、発熱などです。
この状態のとき、上の奥歯の根本が副鼻腔に近いため影響を受けるのですね。炎症を起こしておらずとも鼻詰まりの状態(副鼻腔に鼻水が満杯になっている状態)では歯の神経を圧迫するので、痛みがでてしまいます。
さらに炎症を起こしていると奥歯の神経に伝わり、痛みを発生させるのです。
歯根嚢胞(しこんのうほう)がある
上の奥歯の根の先に膿の袋(歯根嚢胞)ができている場合、それが副鼻腔に広がることがあります。風邪を引いて副鼻腔に粘液がたまったり炎症を起こしたりすると、歯根嚢胞に刺激が加わり激しい痛みが発生します。
免疫力の低下による慢性炎症の悪化
風邪で免疫力が低下した結果、もともと持っていた慢性炎症が悪化して痛みがでるケースもあります。風邪による体温上昇や唾液分泌の減少で、細菌の繁殖スピードも速くなるのですね。
風邪で悪化しがちな慢性炎症は次の2つです。
- ・歯周病
- ・智歯周囲炎
【歯周病】
歯周病は歯周病菌による感染症で、歯周辺の骨を溶かし最終的には歯が抜けてしまう病気。
歯周病の部分は常に細菌と白血球が戦っている状態ですが、風邪によって免疫力が低下し細菌が優勢になります。その結果歯茎が腫れたり歯痛がでたりするのです。
歯周病は成人した日本人の約8割がかかっているといわれる国民病。放置すればいずれ歯を失ってしまい、健康に悪影響を及ぼします。知らない間に歯周病にかかっている人も多く、病状はどんどん進行します。
【智歯周囲炎(ちししゅういえん)】
「智歯」とは一般的に親知らずとして知られている奥の歯。親知らずは口の中に十分なスペースがないため、通常まっすぐには生えてこず中途半端に頭を出した状態のままになります。
この状態はただでさえ炎症を引き起こしやすいうえ、毎日の歯磨きなどでも歯ブラシが届かずきちんと磨けないため細菌が繁殖しやすくなります。風邪を引いて免疫力が落ち、普段は抑えられていた炎症でジンジンと痛みだすのです。
風邪による歯痛の特徴とは?
一般的な歯痛と風邪による歯痛はどう違うのでしょうか。主な違いは次の3つです。
- ・風邪が治れば痛みも治まる
- ・全体的な歯痛
- ・奥歯などに違和感がでる
風邪が治れば痛みも治まる
痛みの原因が風邪の場合、風邪が治るにつれて免疫力も回復し、3日前後で痛みが落ち着いてきます。特に副鼻腔炎にかかっている方は鼻が治ると痛みが消えるのでわかりやすいですよ。
全体的な歯痛
風邪が原因で痛みが起こるとき、多いのは一本の歯ではなく歯列全体が痛くなるというケース。虫歯や歯周病での歯痛は「ここが痛い」と患者本人がはっきりと患部を指せるのですが、風邪が原因だと「この辺り」や「右側」といった大きな範囲になります。
奥歯などに違和感がでる
副鼻腔炎などが影響するため、特に奥歯に違和感を覚える方が多いでしょう。「歯が浮いたような」とか「奥歯が気持ち悪い」とかの表現を使う人もいます。
風邪による歯痛の対処法
歯が痛いけど風邪の症状もあるという場合、まず優先すべきは風邪の治療です。風邪が治ると消える痛みであれば、歯科で不要な治療をする必要はありません。
内科で薬を処方してもらい、栄養を取ってゆっくりと休みましょう。副鼻腔炎の場合は耳鼻咽喉科へいき、抗生物質を処方してもらえば1週間程度で改善されます。副鼻腔炎は悪化すると慢性化して蓄膿症になるため、軽症のうちにしっかりと治すことが大切ですよ。
風邪症状が治ったにもかかわらずまだ歯が痛いという場合は、歯科を受診してください。気づかなかっただけで重度の歯周病や虫歯があり、風邪による免疫力の低下で刺激され発見となるケースがあります。特に歯周病の場合、早めの対処が歯の寿命に大きくかかわります。
先に風邪を治すのは誤診を避けるため
風邪が原因での歯痛は症状がたくさんあり、経験豊富な歯科医でも誤診しやすい傾向があります。みてわかる虫歯や歯周病であればもちろん治療が必要ですが、みてわからない場合にはレントゲンを撮ります。そのときに虫歯や歯根嚢胞があると、そちらの治療にうつり神経を抜いてしまうこともあるでしょう。
しかし歯は一度削ると二度と元には戻りませんし、神経を抜くとその歯は死んでしまいます。本来はそこまでの処置が必要でなくても、患者さんから激しい痛みを訴えられると歯科医は治療をするしかありません。
そのため風邪で痛みがあるのか、虫歯などが原因で痛みがあるのかをしっかり見極める必要があるのです。まずは風邪を治し、痛みがどうなったかを確かめてくださいね。
日常のケアを怠らず風邪のときの歯痛対策をしよう
日ごろからしっかりオーラルケアをしており口の中のトラブルがなければ、免疫力が低下しても歯が原因の歯痛は起こりません。
特に重度の歯周病による歯痛を出さないようにするため、毎日自分で行うケアを見直してみましょう。そして風邪を引かないようにすることも大切ですよね。気をつけるべきは、次の3つです。
- ・歯ブラシ
- ・お風呂
- ・食事と睡眠
歯ブラシ
口内掃除の基本は歯ブラシです。しかし歯表面しか磨かないなど、間違ったブラッシングをしている方もたくさんいます。正しい歯ブラシの方法を確認しましょう。
- ・歯と歯茎の間を優しくこする
- ・歯に対して垂直に歯ブラシの毛先があたるようにする
- ・力を入れない
- ・研磨剤の入っていない歯磨き粉を使う
さらに歯ブラシのあとはフロスを使い、歯間の掃除もきちんといってください。歯ブラシだけで取れる汚れは全体の約6割と多くありませんが、フロスの併用でそれが約8割へと上がります。
正しい歯磨きをすることは大前提として、歯ブラシだけでは歯の汚れが奇麗にならないと覚えておきましょう。
【関連記事】正しい歯磨きの方法についての記事はこちら
歯の正しい磨き方とは? 磨くときのポイントや部分別に気を付けること
お風呂
日ごろシャワーで済ませてしまっている方は、ぜひ湯舟に浸かって体温を上げてください。免疫力が最も活動するのは、人間の体温が37度のときといわれています。毎日お風呂で温まる習慣をつけて免疫力のアップを期待しましょう。
食事と睡眠
食事がおろそかになっていると、栄養不足から風邪を引きやすくなります。食事は3食できるだけ決まった時間に食べること、1日で30品目を目指して食べることを続けるだけで、栄養に満ちた体になります。
そして睡眠が不足しないように気をつけましょう。睡眠不足は多くの病気の原因になります。どれだけ忙しくても睡眠時間はしっかり確保すると心に決めて実行してくださいね。
歯痛があったらまずは体調を確認しよう
風邪が原因の歯痛があります。歯が痛くなれば驚いて歯科へ駆け込む方が多いのですが、もしもそのとき風邪を引いているのであれば先に風邪の治療をしましょう。
風邪が治れば歯の痛みがなくなる場合、不要な歯科治療をする必要はありません。
ただし虫歯や歯周病などが原因になっている可能性もあるため、風邪が治っても痛みが引かない場合は歯科へいきましょう。
日ごろからケアをしていれば、風邪になっても歯痛がでることはないはず。歯磨きや体調管理は継続して行っていくようにしてくださいね。