親知らずの抜歯がもたらす影響とは? リスクとメリットを解説
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親知らず(第三大臼歯・智歯)が生えてきたとわかったとき、抜かないといけないのかな?と心配になる方はたくさんいらっしゃるでしょう。
「歯を抜く」という行為に良いイメージを持たれる方はあまりいません。痛みや出血、腫れなどについても不安があると思います。
そこでこの記事では、親知らずに抜歯が必要なのか、抜歯をしない場合の悪い影響や抜歯時のリスク、抜歯することによるメリットなどについて解説します。
不用意に怖がらずに済むよう、親知らずの抜歯について知っておきましょう。
親知らずは抜歯すべき? 親知らずが悪影響を及ぼすケースとは
最初に親知らずが悪影響を及ぼすケースについてみていきます。
親知らずであれば、何でも悪いというわけではありません。真っ直ぐに生えており、上下が揃っている親知らずであれば、健康を害するトラブルも起こしにくいものです。
ただし、以下の場合は抜歯を検討しましょう。
- ・頭の一部だけ出ている
- ・歯茎の下に埋まっている
- ・骨の中に埋まっている
要は、きっちり正しい姿で現れていない親知らずですね。歯茎や骨に埋まっていたり、一部しか頭を出していないといった場合の親知らずは、後々トラブルを引き起こす可能性が高くなります。
そのため、トラブルが起こる前に抜歯しましょう、という話になりやすいのです。
【関連記事】親知らずを抜くべきケースと抜かない方がよいケースについての記事はこちら
親知らずは抜くべき? 抜いた方がよいケースと抜かない方がよいケースを紹介
抜歯の必要を認めない親知らずとは
以下の場合は、無理に抜歯する必要はありません。
- ・真っ直ぐに上下揃って生えている
- ・歯列や顎関節に影響が見られない
- ・虫歯や歯周病にかかっていない
親知らずが生える十分なスペースを持っている方は珍しいのですが、きちんと生えており、清掃も行き届いているならそのまま維持できます。
親知らずを抜歯しない場合の4つのリスク
親知らずを抜歯しないでおくと発生するリスクは、4つあります。
- ・歯周病や歯肉炎になりやすい
- ・手前の歯と親知らずが虫歯になる
- ・歯並びが悪くなる
- ・顎関節症になる
歯周病や歯肉炎になりやすい
親知らずは一番奥に生えてくる歯であるため、歯ブラシなどでの清掃がしにくい位置にあります。歯が生える十分な隙間がないことが原因で斜めに生えることも多く、余計に磨きにくくなる結果、汚れが溜まりやすい場所なのですね。
汚れが溜まると口内細菌の餌になり、細菌が繁殖して歯周病や歯肉炎などを引き起こします。歯茎が炎症を起こして腫れ、出血し、痛みがでてくるようになります。
歯周病は日本人の成人の8割がかかっているとされる国民病ですが、初期には自覚症状がなく、進行しやすい病気です。
最終的には歯を支える骨を溶かし、歯が抜け落ちることに。そうならないよう、歯周病予防のために親知らずの抜歯を行うクリニックもたくさんあります。
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手前の歯と親知らずが虫歯になる
汚れが溜まると発生しやすいのは、虫歯も同じです。
このとき親知らずだけが虫歯になるのであれば抜歯をして終わりにできますが、多くの場合、ひとつ手前の奥歯も同時に虫歯にしてしまいます。
奥歯は食べ物を噛む際に使う、重要な歯です。虫歯が進行して奥歯を抜かざるを得なくなると、かみ合わせや歯並びなどに大きな悪影響を及ぼします。
歯並びが悪くなる
真横になっていたり頭の一部だけを見せている親知らずが生えようとして、歯茎の中や骨の中で動きます。ところが真っ直ぐに生えていないため、前の歯を押してしまうのですね。
前の歯の根が押され続けることでその前の歯にも影響が及び、全体的な歯並びが乱れ始めます。特に前歯がガタガタに乱れてしまうと人目につきやすく、見た目の印象にも悪影響となってしまいます。
また、歯並びが悪いとかみ合わせも悪くなるため、食物をしっかり噛めないまま飲み込むことになり、胃腸にも負担がかかります。
【関連記事】前歯の歯並びが悪いことによるデメリットについての記事はこちら
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顎関節症になる
親知らずが変な方向に生えてしまうことにより、他の歯と接触することになります。その結果、常に顎に負担がかかる異常な動きになり、顎関節症を引き起こすことがあります。
親知らずの抜歯で発生するリスク
親知らずの周辺にトラブルが発生していない場合は、抜歯をしても通常はスムーズで痛みなどもないことが大半です。しかしながら、以下のようなリスクはありがちですので覚えておきましょう。
- ・腫れと痛みが出る
- ・鼻腔と繋がる可能性がある
- ・神経が傷つく場合がある
腫れと痛みが出る
多くの親知らずは斜めに生えています。その場合、歯のほとんどが歯茎に埋まっているため、歯茎を切開したり骨を削ったりしなければなりません。
そうなると切り取った組織が術後に痛みだしたり、腫れたりすることがあります。
手術が大きければ大きいほどそのリスクは増えますが、腫れのピークは約3日。徐々に軽減してきますので、歯科で処方された痛み止めを飲んで痛みに対処しましょう。
鼻腔と繋がる可能性がある
上顎の親知らずの場合、人によってはまれに上顎洞に親知らずの根が刺さっていることがあります。上顎洞とは副鼻腔のことで、鼻の細い穴です。
上顎洞に刺さっている親知らずを抜歯すると当然そこに穴が開くため、一時的にではありますが、鼻と口がつながってしまうことになります。つまり、口から飲んだ水などが鼻から出てしまうこともあるわけですね。
小さな穴であれば放置していると自然に房張りますが、強く鼻を噛むなどをすると再び穴が開いてしまうため、注意が必要です。
神経が傷つく場合がある
下の親知らずを抜く際には、下歯槽管神経を傷つけないようにしなければなりません。この神経が傷ついてしまうと、麻酔が常に効いているような麻痺状態になります。
いつまでも麻酔が取れないと感じる場合などには、大学病院などの麻酔科での治療が必要です。
早めの対応が必要であるため、手術の翌日に下顎に麻痺を感じるようであればすぐに歯科へ連絡してくださいね。
親知らずを抜歯することのメリット
前述したように、親知らずが斜めに生えていたり埋没していたりするような場合は、高い確率で歯周病や虫歯になります。
そうすると抜歯のみならず、周囲の歯茎を切り取ったりといった処置まで必要になり、痛みや出血、腫れ、回復までの時間が長引きます。
トラブルが起こる前に親知らずを抜歯できれば、歯周病や虫歯から奥歯を守りやすくなるうえに、歯並びへの影響も抑えられるため、噛み合わせが狂うことがありません。
かみ合わせの良し悪しは全身の健康に影響を及ぼします。つまり長期的な目で見れば、親知らずを抜歯することによって全身の健康を守れるのです。
また、女性の場合は妊娠との関係もあります。
妊娠するとホルモンバランスの関係で歯茎が腫れやすくなり、歯周病にもかかりやすくなります。その際は痛みを伴うことが多いのですが、妊娠中であるため抗生物質や痛み止めの薬が飲めません。出血の可能性もあり、抜歯もできないということもあり得ます。
そのため、トラブルが起こりやすくなる妊娠前に、前もって親知らずへの対応をしておくことをおすすめします。
親知らずは健康に影響を与えやすい! 抜歯で長期的なメリットを得よう
多くの場合、親知らずが生えるための十分なスペースが口内に残っていないため、親知らずは斜めに生えてきたり歯茎や骨の中に埋没していたりします。
そうなると清掃が難しく、高い確率で虫歯や歯周病を引き起こします。
一度トラブルが発生すると治療時間やお金がかかるだけでなく、痛みなどの不快な症状も出てきてしまいます。親知らずが生えてきたら、トラブルが起こる前に抜歯を検討してみましょう。
不安なことがあれば、担当の歯科医に相談してくださいね。