入れ歯のカビに要注意! 入れ歯の適切な手入れ方法は?
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入れ歯を使っているけれど毎日はケアしていない、そんな方もいるかもしれません。
これは危険です。
口内には常におびただしい数と種類の細菌がいるため、毎日の入れ歯ケアは必須。でなければ、カビが生えてしまうこともあります。
ここでは、入れ歯に発生するカビについて紹介します。カビが入れ歯に発生しやすい理由や、発生するとどうなるか、カビが生えないようにする方法などを、順番に見ていきましょう。
入れ歯に黒い何かが! それはカビです
使っている入れ歯をよく見てみたら、黒い何かが付着している! それはビックリしますよね。
黒い何かは、カビ。
洗面所やお風呂、台所などの水回りで発生する、あのカビです。
「カビって人の体の中にも生えるの?」と驚く方が多いのですが、人がもつ常在菌には当然カビもいます。それが入れ歯につき、繁殖するのですね。
カビは放置しても自然にはなくならず、人体にとって良くありません。見つけたらできるだけ早めに対処しましょう。
入れ歯にカビが発生しやすい理由3つ
では、入れ歯にカビが発生しやすい理由を3つ紹介します。
- ・口内にはカビがたくさんいる
- ・口内はカビの繁殖に適した環境
- ・入れ歯素材は汚れが付着しやすい
口内にはカビがたくさんいる
そもそも人の口内には多くの常在菌がいます。
常在菌の中には人にとって悪い影響を及ぼすものも多いのですが、通常、唾液や免疫力によって活動が抑えられているのですね。
しかし、免疫力の低下や口内清掃をしないことによる細菌の繁殖、細菌の活動が活発になることで、悪影響を及ぼし始めます。
それが普段使っている入れ歯につき、入れ歯の手入れが行き届かない場合には、表面に黒い塊となって現れます。
つまり、カビは急に発生するわけではありません。
元々口の中にあるものがケア不足によって目に見えるようになる、そんなイメージです。
口内はカビの繁殖に適した環境
人の口内は温かく湿っており、カビが繁殖しやすい環境です。端的に言えば、お風呂場と同じこと。どれだけカビが繁殖しやすいかイメージしやすいですよね。
そのため、毎日しっかり口内清掃をし、なおかつ入れ歯の手入れもしなければなりません。
少し放置しただけでも、入れ歯はカビで黒くなってしまいます。
入れ歯素材は汚れが付着しやすい
入れ歯は汚れがつきやすい素材でできています。そのため、丁寧なケアをしなければなりません。
入れ歯のピンク色をした歯肉部分は、歯科用プラスチックであるレジンでできています。レジンは吸水性があるため水分を内側へ取り込むのですね。そのときに、汚れや匂いを一緒に吸収してしまいます。
さらに、レジンは小さな傷や亀裂が発生しやすい素材です。そのためちょっとした刺激でできた傷に口内菌が入り込み、そこで繁殖します。
そのうえ、元々入れ歯と口内粘膜の間は汚れが溜まりやすい箇所です。細菌は汚れを餌にして活動するため、入れ歯はますます菌が繁殖しやすくなってしまいます。
入れ歯にカビが生えるとどうなる?
入れ歯が黒くなっていたら、カビの発生です。では、入れ歯にカビが生えるとどうなるのでしょうか?
考えられるのは次の3つです。
- ・口腔カンジダ症が起こる
- ・義歯性口内炎が起こる
- ・誤嚥性肺炎の原因になる
口腔カンジダ症が起こる
口内にいる細菌の中には、カビもいると先ほど紹介しました。
カビで多いのは、カンジダ菌です。カンジダ菌は真菌の1つ。通常、悪さはしませんが、人の抵抗力が落ちることがあれば増殖して感染します。
主な症状は、口の中が赤くただれたり、白い苔のようなものが張り付いたりすることです。また刺激物に弱くなり、味を感じなくなることもあるでしょう。
義歯性口内炎が起こる
義歯性口内炎も、原因は多くの場合がカンジダ菌です。
赤くなって内側に穴が開くように見え、熱いもの・冷たいもの・調味料などが強くしみます。
これは入れ歯の汚れが原因であるため、入れ歯をしっかり清掃すれば徐々に改善してくるでしょう。
誤嚥性肺炎の原因になる
入れ歯の汚れは、誤嚥性肺炎の原因にもなります。
日本での死亡原因で、60歳以降の上位にあるのが「肺炎」です。中でも高齢者は誤嚥性肺炎が多く、なんと70歳以上では7割が、90歳以上では9割が誤嚥性肺炎で亡くなります。
参考:厚生労働「死因順位」8表
誤嚥とは、食べ物が食道から胃ではなく気管に入ることです。口内ケアが不十分でその食べ物や唾液が細菌を含んでいると、気管から肺へ菌が入って肺炎を起こします。
誤嚥は口内や喉の筋肉が衰えることで誰にでも起こる現象ですが、そこに菌が付着していると重篤な状態になるのですね。そのため、高齢者の口内ケアは医療現場では大きな関心を持たれています。
カビから入れ歯を守ろう! すべきこと5点
では、具体的に入れ歯をカビから守るには、どうすればいいでしょうか?
すべきことは次の5点です。
- ・口腔粘膜ケアをする
- ・他の歯を磨く
- ・入れ歯を磨く
- ・入れ歯洗浄剤を使う
- ・歯科でクリーニングを受ける
口腔粘膜ケアをする
たとえば総入れ歯の方などは、歯が残っていませんよね。義歯は洗浄液で手入れはしても、自分の口内は何もしないという方が珍しくありません。
しかし、粘膜のケアも必要です。特に入れ歯が付着する部分の粘膜は、唾液による自浄作用が影響しにくい場所。ガーゼやスポンジブラシ、粘膜用のブラシなどを使って綺麗にしてください。
特に、寝る前の清掃は最も大切です。寝ている間は唾液分泌が減るため、しっかり掃除しておきましょう。
他の歯を磨く
総入れ歯でない方は、残っている自分の歯をしっかり磨きましょう。特に入れ歯と接触している歯は金属をひっかけるため、どうしても汚れが溜まりやすくなっています。
丁寧に一本ずつ歯磨きをして、歯ブラシのあとはデンタルフロスや歯間ブラシを使い、歯ブラシの毛先が届かないところまでしっかり磨いてください。
歯ブラシ、フロス、歯間ブラシをしたあとは、口内洗浄液(マウスウォッシュ)の使用もおすすめです。
入れ歯を磨く
入れ歯は水洗いをするだけでなく、歯ブラシもしくは義歯ブラシを使ってきちんと磨きましょう。自分の手に取って磨ける分だけ、口の中の歯よりは磨きやすいはずです。
こちらもブラシで磨いたあとは、入れ歯洗浄液につけて除去してくださいね。
なお、入れ歯をブラシで磨くときには歯磨き粉は不要です。
入れ歯洗浄剤を使う
入れ歯洗浄剤は毎日使いましょう。水洗いと歯ブラシでは除菌しきれません。
前述したように、人の口の中はカビが繁殖しやすい環境です。毎日しっかり除菌することで入れ歯を守り、結果的に全身の健康も守っていくのです。
また、入れ歯と接している歯や粘膜を休ませることも大切。寝ている間は基本的に入れ歯を外すため、その間入れ歯洗浄液に漬けておけば朝には綺麗になっていますよ。
そして、入れ歯洗浄剤で大切なことは、種類を選ぶことです。自分が使っている入れ歯に合わせて洗浄剤を選ばないと、相性によっては入れ歯が変色する恐れがあります。
たとえば、金属のバネが着いているタイプかついていないタイプかです。
金属が付いている入れ歯を総入れ歯用の洗浄液に漬けてしまうと、金属部分が腐食して黒くなってしまいます。金属が使われている場合には、部分入れ歯用の洗浄剤を使いましょう。
見えるところに金属が使われていなくても、中に金属が入っている総入れ歯もあるため、最初に歯科で確認してくださいね。
歯科でクリーニングを受ける
入れ歯を使っていれば、定期的な歯科検診は必ず受けるようにしましょう。
残っている歯の掃除や入れ歯の点検は、欠かしてはいけません。
自分では綺麗に磨いているつもりでも、磨き残しは必ずあります。なんと、歯ブラシで落とせる汚れは約6割、フロスや歯間ブラシを使っても約8割までしか落とせないと言われているのですね。
そのため、久しぶりに歯科を受診すれば歯石を取りましょうと言われるのです。
歯科での掃除は最低でも半年に1回、できれば3、4カ月に1回の割合で受けるのがおすすめです。
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入れ歯ケアは重要! カビが生えないようにして健康を守ろう
入れ歯が黒くなっている場合、別にいいかと放置するのはやめましょう。
その黒さはカビが繁殖している証拠です。しっかり入れ歯のケアをして、自分の口内清掃にも力を入れてください。
そして歯科を定期的に受診しましょう。健康で長生きするためには、入れ歯の扱いにも注意を払うことが必要です。