歯垢が及ぼすリスクとは? 効果的な対策や口腔内と全身健康への影響を解説
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歯垢はプラークとも呼ばれますが、これを食べかすだと思っている方は割と多いかもしれません。しかし実際には、歯垢は食べかすが歯の表面についたものではなく、口内の細菌の塊です。
歯垢は見た目が汚くなるだけでなく、放置するとさまざまな口内トラブルを引き起こす原因になります。さらに心筋梗塞や糖尿病などを引き起こす可能性もある、恐ろしいものです。
この記事では歯垢とは何か、その種類と付着しやすい場所や人、歯垢が引き起こすリスクなどについて解説します。毎日の清掃をしっかりと行い、健康を維持していきましょう。
歯垢は口内細菌が作る薄い膜が重なったもの! 毎日のケアでしっかり除去しよう
歯垢(プラーク)は簡単に言うと、口の中にいる細菌が食べかすを餌にして出した粘々したものに細菌が住み着いた、いわば細菌の塊です。
人の口内には数百種類の細菌が存在しており、その細菌が歯垢1㎎の中には何と、数億個程度入っています。たった1㎎の中に数億とは、驚くべき多さですよね。そんな歯垢が口中の歯についていると考えると、大変だという気持ちにならないでしょうか?
そしてその歯の汚れ(歯垢)を取れるのは、毎日の歯ブラシを筆頭にした口内清掃です。
歯垢は食後約8時間で作られます。歯の表面に付着する力が強いため、うがいやマウスウォッシュだけでは取れません。歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどでこすり落とす必要があります。
毎食後の歯磨きが大切な理由は、口内の細菌に歯垢を作らせないよう、餌となる食べかすを除去できるからなのですね。
歯垢の種類と付着しやすい場所・付着しやすい人
では、歯垢についてもう少し詳しくみていきましょう。次の3つの項目について説明します。
- ・歯垢の種類
- ・歯垢が付着しやすい場所
- ・歯垢が付着しやすい人
歯垢の種類
歯垢は付着する場所によって以下の2つに分けられます。
- ・歯肉縁上プラーク
- ・歯肉縁下プラーク
簡単に言うと歯茎の上に出ているか、下に隠れているかということですね。わたし達が目で確認できるのは、歯の表面につく歯垢、つまり歯肉縁上プラークです。ここは目で見えるうえに歯ブラシの毛先が直接届くため、除去もしやすいでしょう。
しかし、歯肉縁下のプラークは問題です。歯周ポケットの中にとどまる歯垢であるため、歯ブラシでは磨けませんし、そもそも見えないので掃除しようがありません。
また、歯肉縁下の環境は、歯周病の原因菌が繁殖しやすい場所でもあります。
歯垢が付着しやすい場所
歯垢が付着しやすいのは、次のような部位です。
- ・歯間
- ・歯茎と歯の境目
- ・奥歯同士の隙間
- ・歯が抜けた周囲の歯や隙間がある歯
これらは歯ブラシが届きにくく、唾液でも流れにくい箇所です。毎日少しずつ歯垢が重なっていき、やがて自力では取れない歯石へと変化します。歯石になってしまうと、歯科で機械によるクリーニングを受けなければ除去はできません。
歯垢が付着しやすい人
口内の細菌は食べかすの糖を餌にして活発化・繁殖します。
そのため、甘いものを好む方、糖質が多い食べ物を好む方は歯垢がつきやすい人と言えるでしょう。
また、歯並びを直すために歯科矯正を受けている方は、矯正器具があるため歯ブラシが困難になりがちです。食べかすや歯垢を除去しにくいため、汚れが付いたままになります。定期的に歯科でクリーニングを受けることがおすすめです。
歯垢は虫歯や歯周病の原因になる
歯垢には億を超える細菌が入っていると前述しましたが、その中には虫歯菌や歯周病菌が含まれています。そのため歯垢が付着していると、その歯は虫歯や歯周病になりやすくなるということですね。
歯垢が虫歯を引き起こす過程
歯垢の中に存在している虫歯菌は、ミュータンス菌と呼ばれています。ミュータンス菌は食事の糖分を取り込んで酸を作り出し、歯を溶かし出します。
通常、歯の溶けた部分は唾液によって再石灰化されますが、長期間歯垢が付着していると酸に溶かされる方が早くなり、歯に穴が開きます。これが虫歯ですね。
歯垢が歯周病を引き起こす過程
同じく歯垢の中に存在している歯周病菌は、活動を活発化させると毒素を出します。その毒素によって歯の周辺組織が炎症を起こし、出血したり腫れあがったり歯を支える骨を溶かしたりするのです。
歯周病は日本人の成人の約8割がかかっていると言われるポピュラーな病気ですが、かなり進行しないと自覚症状がないため、診断されてからの治療・改善には時間がかかります。
歯垢が引き起こす全身へのリスク
歯垢が原因で引き起こされるのは、口臭や心筋梗塞・糖尿病・動脈硬化などがあります。
口臭は、歯垢の中にいる幾多の細菌が出すガスによって発生します。硫黄のような、きつい生ごみ臭がするため、対人関係に支障をきたすことも。口臭は自分では気づきにくく、対応しにくい問題です。
歯垢のリスクを減らそう! 自分でできること・歯科でできること
歯垢のリスクを減らすためには、何ができるでしょうか。ここでは自分でできる歯垢ケアと歯科でできる歯垢ケアについて紹介します。
歯垢のリスクを減らすために自分でできること
最も大切なことは、毎日の歯磨きです。前述したように、そもそも歯磨きがきちんとできており、食べかすが口内に残っていなければ細菌が活動を活発化したり繁殖したりすることはありません。
できれば毎食後、それが難しくても就寝前には、正しいやり方で歯磨きをするようにしましょう。
正しい歯磨きのやり方については、こちらの記事を参考にしてください。
【関連記事】プラークの取り方についての記事はこちら
プラーク(歯垢)の取り方を解説! 虫歯や歯周病を防ごう
また、歯間ブラシやデンタルフロスは毎回使うようにしましょう。歯間についた汚れを取ることは、すべての口内トラブル予防につながります。
ただし、歯ブラシでの清掃で全汚れの約6割、フロスなどを使ってやっと約8割の汚れが取れると言われています。できる限りしっかり歯磨きを行ったとしても、100%にはならないのですね。
そのため、定期的に歯科検診を受けて、プロによる口内清掃を受けることが大切です。3カ月もしくは4カ月おきに清掃を受けることで、口内の健康を維持しやすくなりますよ。
歯垢のリスクを減らすために歯科でできること
歯科では歯垢を除去するために、PMTCクリーニングというメニューがあります。これは「プロフェッショナル・メカニカル・ティース・クリーニング」の略で、専門家による機械での歯のクリーニングということですね。
歯周ポケットに深く入り込んでいる歯垢や歯石は、自分で除去はできませんが、PMTCを受ければプロ(歯科医・歯科衛生士)によってしっかり除去できます。
PMTCは通常の定期健診時のクリーニングより専門的なものです。興味がある方は、担当の歯科医に相談してみましょう。
【関連記事】PMTCについての記事はこちら
歯の徹底クリーニング! 歯科医がPMTCを勧める理由・手順・料金目安
歯垢はさまざまなリスクの原因に! 定期的に歯科でクリーニングを受けよう
歯垢は口内細菌の塊です。舌で触るとザラザラしているクリーム色のもので、歯と歯茎の境目や歯の下部に付着しています。
歯垢は虫歯や歯周病など、最悪の場合に歯を失う原因となる病気を起こすもの。できるだけ歯垢が付着しないようにするため、口内の食べかすをゼロに近づけなくてはなりません。
毎日の歯磨きを正しく行い、口内清掃度を上げていきましょう。
歯磨きの正しいやり方や歯科でのクリーニングに興味がある方は、ぜひ歯科に相談してくださいね。