歯肉炎とは? 症状・原因・対策と要治療の危険な歯肉炎を紹介
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ご理解とご協力賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
最近歯磨きをすると出血するようになった、よく見ると歯ぐきが赤く腫れている、そんな症状があれば歯肉炎を疑ってみましょう。
歯肉炎は歯ぐきで炎症が起きている状態。痛みがないため放置してしまう方が多いのですが、歯肉炎はできるだけ早く治してしまうことがおすすめ。
ここでは歯肉炎について、さまざまなことを紹介していきます。原因や症状、そして自分でできるケア方法や歯科での治療が必要な場合についてなど。しっかり確認していきましょう。
歯肉炎の放置はリスク大! 症状の軽減は自力でも可能
歯ぐきが赤みを帯びて腫れあがっていたら、多くの場合は歯肉炎です。歯肉炎は虫歯や歯周病のようにすぐにでも治療が必要な状態ではありませんが、口の中は細菌が大量に存在するところ。放置するとどんどん悪化していきます。
歯ぐきの腫れや出血に気付いたときが、ケアを始めるべきときです。日ごろから自分でできることを行い、歯肉炎を治していきましょう。なお、同じ歯肉炎でも病院へ相談した方がよいケースもあります。あとで詳しく述べますので、ぜひ参考にしてくださいね。
歯肉炎とは歯ぐきの炎症のこと
歯肉炎とは歯ぐきが炎症を起こした状態です。口内トラブルでは虫歯や歯周病がありますが、歯肉炎は歯周病の一歩手前の段階。まだ細菌と自己免疫による戦いが歯肉部分だけに起きている状況です。これが悪化すると、歯肉から膿が出ることもあります。
歯肉炎の症状4つ
歯肉炎になったら現れる症状は、以下の4つです。
- ・歯垢が見える
- ・歯肉の縁がわかりにくい
- ・歯肉の縁が腫れあがる
- ・歯肉から出血する
これらの症状が確認できたら、歯肉炎だと思ってケアを始めましょう。
歯垢が見える
歯肉炎になると、鏡で見れば歯と歯ぐきの境目に白い歯垢がびっしりと付いていることがわかります。歯の表面が汚れの塊である歯垢に覆われている場合、通常歯肉は炎症を起こしています。
歯肉の縁がわかりにくい
歯肉炎になると、歯と歯ぐきの境目がはっきりとわからなくなります。健康な口内であれば白い歯とピンク色の歯肉はまったく違うために境目がよくわかりますが、歯肉炎になると歯肉が薄く伸びたように見え、歯との境目がわかりにくくなります。
歯肉の縁が腫れあがる
通常の歯ぐきは固いものですが、歯肉炎になるとぶよぶよと柔らかく盛り上がって膨らみます。縁が明らかに赤くなり、帯状に浮かぶこともあります。
歯肉から出血する
健康な歯ぐきであれば、歯磨きで出血することはありません。しかし歯肉炎になると腫れあがって柔らかくなったところが破れ、血が出てきてしまいます。
歯肉炎と歯周病はどう違う?
歯肉炎は歯ぐきだけが炎症を起こした状態。対して歯周病は炎症が内側まで広がり、歯を支える骨が溶けるといった症状が拡大していきます。
歯肉炎が悪化すると歯周病になります。つまり、歯肉炎のレベルで改善することができれば、比較的簡単に歯ぐきの健康を取り戻せます。
歯周病になってしまえば溶けた骨は戻りませんし、歯ぐきが下がって露出した歯の根元も再び隠れることはありません。歯肉炎のレベルで気が付き、しっかり対処を始めることが大切です。
歯肉炎の主な原因は歯垢
歯肉炎は口の中にたくさんいる細菌によって引き起こされます。口の中を丁寧に磨いて清潔を保てているときは大丈夫ですが、少しの汚れを放置すると細菌が歯と歯ぐきの間について増殖しだします。これが歯垢ですね。
歯垢となった細菌は歯肉の内側へ侵入しようとします。これに免疫が抵抗し、炎症が起こるのです。
歯科での治療内容
歯肉炎の治療は、徹底した清掃です。機械を使って歯垢を削り取り、歯磨き指導をして口内環境を整えていきます。
清掃・指導を行っても歯肉炎が改善されない、もしくは歯周ポケットが3mmを超えている場合は、歯周病であると判断し、歯周病の治療や手術を行っていきます。
歯肉炎は自力でケア可能!できること4つ
自力でできることを始めて、歯と歯肉を細菌から守りましょう。
- ・歯ブラシとフロスを使ってしっかり掃除
- ・食生活の見直しと改善
- ・運動をして免疫力を向上
- ・歯肉炎用歯磨き粉の使用
歯ブラシとフロスを使ってしっかり掃除
毎日の歯磨きをきっちりとできていれば歯垢は溜まらず、歯肉炎にもなりません。
お酒を飲んでそのまま寝てしまったり、時間がないからと歯磨きをおろそかにしたりしていませんか? 毎日の歯ブラシは基本の口内ケア。食事をしたあとは歯ブラシで掃除をしましょう。
また、そのときにフロスを使って歯間まで奇麗にすることが大切です。歯垢は歯間に溜まります。特に夜眠る前の歯磨きのときには、必ずフロスを使って歯間掃除もしてくださいね。
ただし「歯並びが悪い」とか「矯正装置を付けている」とかいう方は、自力で完璧に歯を磨くことは難しいケースがあります。
また、妊娠中はつわりによって歯磨きがまともにできないことがあります。そのため、妊婦さんは歯垢が溜まりやすく、歯肉炎になりやすいのですね。
歯並びが悪かったり矯正装置を付けていたりする場合は、歯科で定期的に清掃をしてもらうことがおすすめ。妊婦さんの場合は無理ができませんが、つわりが収まったら同じように歯科で口内清掃をしてもらってください。
【関連記事】歯科でのクリーニング(清掃)内容についての記事はこちら
歯のクリーニングが大切! その理由や歯医者で行う内容を紹介
食生活の見直しと改善
歯磨きに気を付けるようにしても歯肉炎が改善しないという場合、食生活が問題かもしれません。
血液中の糖分が多いと歯肉炎になりやすいと言われています。甘いものを控えるようにするだけで、歯肉の色が奇麗なピンク色に改善されていきますよ。
運動をして免疫力を向上
炎症は免疫と細菌の戦い。免疫力を上げることで細菌に勝つ可能性が高くなります。
免疫力が低下するほとんどの要因は、運動をすることで改善可能です。
毎日駅まで歩いたりエレベーターではなく階段を使ったりし、休日には筋トレやハイキングなどをして成長ホルモンを分泌させましょう。適度な運動は血流を促進して眠りの質を上げ、ストレスを解消してくれます。
歯肉炎用歯磨き粉の使用
最近は歯肉炎用の歯磨き粉も販売されているので、歯磨きのときに使ってみてください。
コツは歯磨き後のすすぎを控えめにすること。歯磨き粉に含まれている炎症を抑える成分は、歯肉に浸透するまでに時間がかかります。すすぎを少なくして浸透しやすくしてみましょう。
こんな場合はすぐに歯科へ!治療が必要な歯肉炎とは
一般的な歯肉炎であれば自力でのケアが可能ですが、中には治療が必要な歯肉炎もあります。
【薬物性歯肉炎】
服用している薬の影響で、歯肉が盛り上がることがあります。多いのは高血圧やてんかんの薬。まずは担当医に薬を変更可能かをたずね、違う薬へ変えてもらいます。それでも歯ぐきの状態が改善されなければ、歯科で膨らんだ箇所を切除することがあります。
【妊娠性歯肉炎】
妊娠した女性がホルモンの影響で歯ぐきが腫れてしまう現象です。このケースではそのまま放置すると重度の歯周病へ悪化する可能性が高いため、歯科と相談し処置していきます。
【急性ヘルペス性歯肉炎】
赤ちゃんの歯ぐきが腫れあがっていたら、急性ヘルペス性歯肉炎かもしれません。乳幼児に多く見られる歯肉炎で、小児科による治療が必要です。
特徴は、歯肉が真っ赤になり口内には白や黄色の小さなぶつぶつが大量にできます。痛みがあって子供が不機嫌になるため、早目に気が付けるでしょう。小児科を受診すれば1週間程度で改善していきます。
【急性壊死性潰瘍性歯肉炎】
歯と歯の間にある歯肉に潰瘍ができるケースです。痛みや口臭があり、3日程度で急激に悪化します。原因は歯垢だけでなくストレスや喫煙、栄養障害などがあげられますが、はっきりとわかっていません。
感染防止のために抗生物質や痛み止めが処方されます。
【慢性剥離性歯肉炎】
生理不順や閉経後の女性に多いのが、慢性剥離性歯肉炎。歯ぐきの表面の皮がはがれ、痛みがあります。水疱ができることもあり、範囲も人によって違います。完治が難しい病気で再発を繰り返します。
しっかり口内ケアをして歯肉炎から歯を守ろう
歯肉炎は歯肉内で細菌と免疫が戦っている状態。歯ぐきが赤く腫れあがり、歯磨きなどで出血することがあります。ここできちんとケアをしておけば、悪化して歯周病になってしまうことを防げますよ。
毎日の歯磨きを丁寧にやること、フロスも使って歯間の掃除もやること、そして定期的な歯科検診でプロによる清掃をしてもらうことが大切です。
健康な歯肉は奇麗なピンク色で引き締まっています。痛みがないからと放置せず、しっかりとケアをしていきましょう。