歯ぐきの腫れはどうして起こる? 原因7つと対応・予防法
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歯磨きのときに痛みや出血があったり違和感があったりして確かめてみると、歯ぐきが腫れていたという経験は多くのかたが持っているでしょう。
子供から高齢者までよくある症状のため、それだけで歯科へ飛んでいくことはないかもしれません。しかし歯ぐきの腫れにはさまざまな原因が隠れているもの。大きなトラブルになる前に対処しましょう。
ここでは歯ぐきが腫れる原因や腫れたときの対応法、予防法などを紹介します。
何らかのトラブルが隠れているかも!? 歯ぐきの腫れには注意しよう
歯ぐきの腫れは割とポピュラーな症状で、気が付いたら腫れていて、気が付いたら治っていたということが多いもの。しかし、だからといって腫れても問題はないと考えるのは危険です。
健康な歯ぐきは当然腫れません。そのため、歯ぐきの腫れは大きな病気や口内トラブルの現れかもしれないのです。
どんな病気でも早期発見は完治への近道。歯ぐきが腫れていないかを日ごろから意識して確認し、腫れを発見したら早めに対応しましょう。
健康な歯ぐきと腫れがある歯ぐきの違い
まずは健康な歯ぐきの特徴から説明します。
健康な歯ぐきは奇麗なピンク色。柔らかくなく引きしまっており、歯間や歯肉との境目に歯垢が見当たりません。歯ぐきの周辺にある歯周ポケットと呼ばれる溝の深さは2~3mm程度。歯磨きで出血することもなく、不快な臭いもありません。
対して不健康な歯ぐき、腫れが見られる歯ぐきはぶよぶよとしています。赤く充血したように一部が盛り上がっていたり、白っぽく盛り上がったりしています。歯磨きのときに出血し、歯ぐきを押すと膿のようなものが出る場合も注意が必要。歯ぐきの炎症が考えられるため、歯科で診察を受けましょう。
歯ぐきが腫れている? 考えられる原因7つ
では歯ぐきが腫れる原因には、どんなものがあるでしょうか? 多くのトラブルが関係してきますが、代表的な原因を7つ紹介します。
- ・歯周病
- ・口内炎
- ・歯根嚢胞
- ・歯根膜炎
- ・良性腫瘍
- ・悪性腫瘍
- ・薬物性歯肉肥大
歯周病
約8割の日本人成人がかかっていると言われている歯周病は、歯ぐきに炎症を起こします。見た目は赤く腫れあがり、丸みを帯びた状態。歯ブラシなどでこすると強い力を入れてなくても出血するため、わかりやすいでしょう。
歯周病の原因は磨き残し。食べかすに細菌がとりつき、繁殖して歯垢(プラーク)になります。細菌は歯ぐきの奥に侵入、白血球が戦いにやってきて炎症が発生するのですね。
初期の歯周病であれば歯科にてクリーニングを受けると状態は改善します。
口内炎
口内炎が歯ぐきの腫れの原因であることも多いでしょう。この場合、よくあるのはアフタ性口内炎。栄養が偏っていたり疲れたりしていると発生しやすく、食べ物や歯が当たったり調味料などがしみたりします。
休息をとったり食べ物に気をつけたりすれば改善しますが、歯科で薬を塗ってもらうと早く状態改善しますよ。
歯根嚢胞(しこんのうほう)
虫歯が悪化して歯の根の先に細菌が侵入し、膿の袋を作るのが歯根嚢胞。歯や歯ぐきに強い痛みがあり、腫れあがります。膿があふれ出して口臭の原因になることも。早めに歯科へ行きましょう。
歯根膜炎(しこんまくえん)
虫歯が悪化したり食いしばりなど歯に強い力がかかり続けたりすることによって、歯根膜に炎症が起きます。歯根膜とは歯の根元を取り囲む膜のこと。
歯ぐきが腫れて痛みを感じ、ときに歯が浮くように感じる人が多くいます。
良性腫瘍
良性腫瘍が原因で歯ぐきが腫れることも。歯に合わない詰め物などから慢性的に歯ぐきが刺激を受けると、丸いできものが発生します。良性ですが大きくなれば歯並びに影響が出る場合があるため、外科的切除で取り除きます。
ただし妊婦の場合、ホルモンの関係で一時的にできものが発生する可能性があるため、歯科と相談してくださいね。
悪性腫瘍
悪性腫瘍、つまり歯ぐきのガンです。見た目は白っぽく、不定形で次第に大きくなってきます。アゴの骨に達すると治療が難しくなって大変なので、早期治療が必須です。
少しでもおかしいなと思ったら、歯科口腔外科を受診しましょう。
薬物性歯肉肥大
服用している薬が原因で歯ぐきが増殖する病気が、薬物性歯肉肥大です。てんかんや高血圧の治療薬、免疫抑制薬の一種が持つ副作用が影響します。
腫れるだけで痛みは出血がないため気づきにくいのですが、歯ぐきと歯の間に隙間ができるため歯周病を起こしやすくなります。
歯ぐきが腫れたときにできること
歯ぐきが腫れ、痛みがある場合などにできる応急処置と対応は次の3つです。
- ・冷やす
- ・細菌を減らす
- ・歯科へ行く
冷やす
歯ぐきが炎症を起こしているときは、とりあえず冷やすことで症状がマシになる場合があります。ずきずきと強い痛みがある場合には冷やしたタオルを当ててみてくださいね。
ただしこれはあくまで応急処置。そもそも炎症は体が細菌と戦うために起こしているもので、腫れも発熱も必要なものです。冷やすと治癒が遅くなる可能性が高いため、早目に歯科を受診しましょう。
細菌を減らす
口内トラブルは基本的に細菌によるものです。そのため歯ぐきが腫れたら悪化しないように、歯磨きなどデンタルケアをしっかりやって口内の細菌を減らす努力をしましょう。
人の唾液は細菌を洗い流したり活動を抑制したりする役割があります。唾液をたくさん分泌するために唾液腺をマッサージしたり、ガムを噛んだりすることも細菌を減らすには有効です。
【関連記事】唾液についての記事はこちら
唾液が持つ7つの効果とは? 分泌量のチェックや唾液を増やす方法を紹介
歯科へ行く
日本では、歯医者は歯が悪くなってから行くところという風潮がまだありますが、何もないときに通ってトラブル予防をするのも正しい利用方法です。
歯ぐきが腫れること自体は珍しくありませんが、これが機会で歯科へ行き口内チェックや清掃を受けましょう。
歯ぐきを腫らさないための予防法
普段から歯ぐきを腫らさないためにできることは次の5つです。
- ・正しい歯磨きをする
- ・フロスなどを使う
- ・食後はうがいと口ゆすぎをする
- ・疲れはその日に解消する
- ・歯科の定期健診を受ける
【正しい歯磨きをする】
ただ歯を磨けばいいということではありません。大切なのは、正しい歯磨きをすることです。
歯ぐきを傷めたり歯を削ったりせずに歯磨きを効果的にするには、次の5つを守りましょう。
- ・力を入れてこすらない
- ・磨くところに真っ直ぐブラシが当たるようにする
- ・歯ぐきと歯の境目をマッサージするようにブラッシングする
- ・歯の裏は歯ブラシを立てて毛先が当たるようにする
- ・3分ほど時間をかける
【フロスなどを使う】
歯磨きだけで取れる汚れは約6割と言われています。あとの4割をできるだけなくすためには、フロスや歯間ブラシなどの補助ツールを使いましょう。
特に睡眠中は唾液の分泌が減り、細菌が活発に活動を始めます。夜眠る前の歯磨きのあとは必ずフロスを使って歯間まで奇麗にし、マウスウォッシュを使って細菌を減らしておきましょう。
【食後はうがいと口ゆすぎをする】
毎食後歯磨きをすることは基本ですが、仕事や状況によっては難しいこともあるでしょう。そのような場合でも、うがいや口ゆすぎはしてください。それだけでかなりの食べかすが取り除けるうえ、細菌も洗い流せます。
【疲れはその日に解消する】
疲れがたまると免疫力が低下し、細菌に抵抗できなくなります。精神的な疲れは遊びや趣味などで発散し、肉体的な疲れは睡眠時間を確保してその日のうちの解消を目指してください。
意識するだけでも生活習慣は変わります。できないと思わずに、できる限りやるという気持ちを持ちましょう。
【歯科の定期健診を受ける】
歯科の定期健診は3カ月に1度、最低でも半年に1度の割合で通うことがよいとされています。
ちょっとしたトラブルが大きな病気につながることもあるため、歯科へ行って気になることはどんどん相談しましょう。
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歯ぐきが腫れること自体はよくあるので、それだけで歯科へ行く人は少ないでしょう。しかし実は大きな病気が隠れているかもしれないうえ、細菌が活発に活動していることは間違いないため歯科での清掃を受けるのがベターです。
出血や痛みがなくても、歯ぐきの腫れはトラブルの入り口。そう考え、できるだけ早めに歯科を受診してくださいね。