健康寿命は歯にかかっている?! いつまでも健康で長生きするためには口内ケアが重要
この度の新型コロナウィルスに罹患された方々、並びに感染拡大による影響を受けている方々に、心よりお見舞い申し上げます。当院では患者さまとスタッフの安全確保を実施しています。
<当院の感染拡大防止について>
- 手洗い・アルコール消毒・うがいの徹底
- ドアの開放、空調を強めに設定する 等、定期的に室内換気を行っております
- 次亜塩素酸水を使用し、空間除菌を行っております
- 感染リスクの高い来院者さまへの受診の自粛のご依頼、又はご予約日の変更のお願いをしております
ご理解とご協力賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
誰だってできるだけ長生きしたいものですが、ただ「生きて」いればいいわけではないですよね。健康で素敵な人生を長く送りたい、というのが一般的な願いでしょう。最近は厚生労働省も「健康寿命」の増進に力を入れています。実はこの健康寿命、歯の健康に大きな関係があるってご存じでしょうか?
- ・なぜ歯の健康が寿命に関係するの?
- ・具体的にはどんな影響があるの?
- ・健康寿命をのばすために今からできることはある?
健康寿命をのばすには歯のケアが必須!
長寿ではあっても決して健康寿命は長くない日本。では、なぜそうなってしまうのでしょうか? それは、歯の状態が健康に大きく影響するから。健康寿命をのばすには、歯が健康でしっかりと食べ物を噛めていることが重要です。
しかし実際には、日本人は世界的に見て歯の健康に関する興味や知識が薄い国です。歯医者は虫歯や歯周病になったとき、トラブルが起きてから行くところという認識をしている方も多く、諸外国に比べて簡単に歯を失っています。そのため、寿命はのびているのに健康寿命はさほどのびず、何らかの介護や支援が必要な状態で永らえている人が多いということになります。
人間は食べることで体を作っています。ものを食べ、しっかりと噛む、その行為は全身へ非常に大きな影響をもたらします。しかし歯のケアをおろそかにして歯を失ってしまい、結果、健康寿命も縮まってしまうのです。
長寿の国・日本!だけど健康寿命は?
健康寿命とは、健康でいられる平均寿命のこと。継続的な介護や支援を必要とせずに日常生活を送れる期間ですね。
単に「平均寿命」と言うと、寝たきりの方や認知症の方も含む、現在生きている人すべての平均となります。しかし、せっかく長生きしていても病気で体が自由に動かせない状態、家族のこともわからない状態であるなんて嫌ですよね。健康のままで長生きすることは、全人類の目標と言えるでしょう。
では、日本人の寿命と健康寿命を比べてみます。
平均寿命 | 健康寿命 | 不健康な期間 | |
女性 | 86歳 | 74歳 | 12年間 |
男性 | 80歳 | 70歳 | 10年間 |
※すべてに「約」がつきます。
表からわかるように、女性は平均12年、男性は平均10年程度、健康でない状態で生きていることがわかります。この間は痛みやしびれがあったり、介護や支援を受けたりしているのですね。
「不健康な期間」の短縮に大きな影響力をもつ口腔機能や歯周病
どれだけ健康な人でも、最終的には全身の機能が衰えて亡くなります。しかしピンピンコロリを実現するためには、咀嚼能力が非常に大切。しっかりと物を噛んで食べられているとアゴが動き脳へ血が巡って認知症を予防できますし、虫歯菌や歯周病菌などの口内細菌を減らす努力をすることで心臓病や糖尿病などを重症化させずに済みます。
さらに、年配者に起こりやすい誤嚥性肺炎(※)の原因も、何と歯周病菌です。誤嚥が起こりやすいのは飲み込む機能が衰えるため。これも、歯周病治療や予防をし、しっかりと物を噛めていればそのリスクを減らせる病気です。
※飲み込んだものが誤って気管に入り、食物についている細菌に感染して起こす肺炎
つまり、口の中、特に歯と歯の周辺組織を若い頃からしっかりとケアしておくと、病気になりにくい体でいることが可能なのですね。
なぜ健康寿命には歯の健康が関係するの?その理由3つ
ではより具体的に、歯の健康が健康寿命に関係する理由を紹介しましょう。歯が健康でなくなり抜けてしまった場合、次の3つのことが起こります。
- ・栄養不足で体が弱る
- ・固いものを食べなくなり脳への血流が減る
- ・噛めなくなり消化器官に負担がかかる
栄養不足で体が弱る
虫歯や歯周病といったトラブルで歯を失うと、以前は食べられていた食べ物が食べられなくなります。なるべく噛まずに済むように柔らかいものばかりを食べるようになり、食べる量も減っていきます。
人間が健康を維持するために必要な栄養素は食べ物から摂取しますが、噛めないうえに食べる量が減ると必要な分をとれません。特に肉や魚などから得るタンパク質が減少してしまい、筋力の低下につながります。栄養不足になって体が弱ってしまうのですね。
固いものを食べなくなり脳への血流が減る
噛むと痛みを感じたり歯がぐらぐらして固いものを食べられなかったりすると、アゴをしっかりと使えなくなります。アゴを使わないと頭部の筋肉の動きが減り、脳内の血量が減っていくため、認知症発症の可能性が増えます。また喉周辺の筋肉も衰えてくるので、誤嚥(ごえん)も増えていくでしょう。
噛めなくなり消化器官に負担がかかる
歯がないとしっかりと噛めないため、あまり咀嚼せずに飲み込もうとします。その結果、胃や腸などの消化器官に大きな負担がかかります。胃腸が元気で十分に働くことができないと免疫力の低下を招き、ちょっとした風邪などにもかかりやすくなります。また、便秘や下痢など腸の異常も増えるでしょう。
国民病・歯周病は生活習慣病でもある
日本人の多くは、生活習慣病をなくすために努力していますよね。しかし実は、歯周病も糖尿病や高血圧などと同じく生活習慣病の1つです。
歯周病は日本の国民病と呼ばれていますが、その理由は成人日本人の約8割がかかっているから。しかし、ひどく悪化するまではほとんど自覚症状がないため、自分が歯周病であると気づいていない人もいます。
歯周病になると歯の周辺組織が歯周病菌に浸食され、歯肉が炎症を起こして出血したり口臭が発生したりします。歯周病はさほど痛みがないからとそのまま放置すれば、最終的には歯が抜け落ちる怖い病気。ずっと治療をしないでおくと歯周病菌が血管に入り込んで全身に回り、さまざまな疾患を悪化させていきます。実例では、本来歯周病菌が存在していない大腸癌の組織やアルツハイマー病患者の脳などから検出されたこともあるのです。
歯周病は生活習慣病。しかも全身に回って他の病気を悪化させる力を持っていると認識し、しっかりと歯をケアして歯周病対策をしていきましょう。
健康寿命をのばすために今からできることは?
健康寿命をのばすためにはお口のトラブルを解決し、いつまでも健康的な歯を保つことが大切。そのために、今からできることを3つ紹介します。
・毎日歯ブラシ+デンタルフロスで清掃する
・ダラダラとものを食べない
・歯科による定期健診を受ける
毎日歯ブラシ+デンタルフロスで清掃する
歯ブラシだけで口内ケアを済ませているという日本人は多いですが、歯ブラシで取れる汚れは何と6割程度。その後でフロスを使って歯間の食べかすなどをしっかりと取ることで、ようやく清掃率が8割まで上がります。歯ブラシだけでなく、フロスも使用するようにしましょう。
ダラダラとものを食べない
虫歯・歯周病予防には、口の中を酸性にしておかないことも大切。口の中に食物が入ると食べ物の酸や口内の細菌が分解をしようとするため、口の中は酸性になります。酸性になると歯の表面が溶けだしますがこれは数分のことで、分泌された唾液によってまた中性に戻されます。しかし常に食べ物が入っていれば酸性である時間が長くなり、歯にとっては良くありません。
ダラダラ食べはせず、1日3食できるだけ同じ時間に、長い時間をかけずに食べ終わりましょう。飴が好きな方、スポーツドリンクなど糖分が多い飲料を頻繁に飲む方は、注意が必要です。
歯科による定期健診を受ける
歯科は口内のトラブルに関するプロです。また、特殊な機械を使って自分では取れない歯にこびりついた汚れを除去してくれます。
噛み合わせや食いしばり、顎関節症など治療範囲も広く、口から全身の健康を保つサポートをしてくれますよ。最低でも年に2回、半年に1回は何もなくても歯科検診を受けましょう。治療痕の不具合やトラブルもすぐに発見・治療ができるため、歯の健康を維持するための近道です。
健康寿命を長く!歯をケアして80歳で20本を残そう
どうせ長生きするのであれば、健康なままで長生きしたいと望むのは自然なこと。そのためには、自分の歯を良好に保つことがとても大切です。
80歳のときに20本以上自分の歯が残っていれば、しっかりとものを噛めるために全身に良い影響を与えます。たとえば筋力が落ちにくいので転倒しにくいですし、脳へ血が巡るので認知症にもなりにくいといった研究結果でていますよ。
歯を失う原因の1位は、国民病でもある歯周病。まずは歯周病を治療して改善、予防し、歯を大切にして将来の自分の健康寿命を伸ばしていきましょう。