歯の治療は医療費控除の対象になる! 還付で得する豆知識

こんにちは、秋田のハピネス歯科クリニック大久保です。
今回は、歯科治療にまつわるお金、税金の話をしていきます。
歯科医院での治療は、一度始まると期間がかかったり、自費診療などで費用がかさんだりすることがありますよね。「今月は結構払ったな」と感じているなら、ぜひ知っておいてほしい制度があります。それが「医療費控除」です。
実は、皆さんが歯科医院で支払った費用の多くは、確定申告をすることで税金が戻ってくる対象になります。ただし、すべての支払いが対象になるわけではなく、認められるものと認められないものの区別が必要です。
この記事では、医療費控除の仕組みや対象となる治療、そして具体的な申請方法について解説します。
医療費控除で税金の一部が戻る!
まずは医療費控除とはどのような制度かについて説明しますね。
医療費控除はどんな制度?
医療費控除とは、1年間で支払った医療費が一定の金額を超えたときに、納めた税金の一部が戻ってくる(還付される)制度のことです。
対象期間は、毎年1月1日から12月31日までの1年間です。この期間に、自分自身や家族のために支払った医療費の合計が、原則として10万円を超えた場合に利用できます。
歯科医院での治療費ももちろん対象です。虫歯や歯周病の治療だけでなく、インプラントや入れ歯などの治療費も条件を満たせば医療費控除に含められます。
普段あまり意識していない方も多い制度ですが、歯科治療は費用がまとまりやすいため、医療費控除を利用できるケースは意外と多いと知っておいてください。
確定申告という手続きを行うことで、支払った金額に応じた所得税が戻ってくるだけでなく、翌年の住民税も安くなるというメリットがあります。
ちなみに確定申告は2月16日から3月15日受付までとなってはいますが、受付自体は1月下旬から開始されています。医療費控除だけであれば簡単なので、2月16日以前でも準備ができたら税務署へ届けましょう。手続きを早めに済ませておけば、還付されるのも早くなりますよ。
家族の医療費も合算できる
医療費控除の大きな特徴は、自分の分だけでなく「生計を一にする家族」の分をすべてまとめられる点です。
一緒に暮らしている配偶者やお子さんはもちろん、実家で暮らすご両親や、一人暮らしをしている大学生のお子さんであっても、仕送りなどで生計が同じであれば合算して申請できます。家族の中で最も所得が多い人がまとめて申告するのが、最も節税効果が高くなるコツです。
年間10万円以下でも対象になるケースがある
「10万円も払っていないから関係ない」と思っている方もいるかもしれませんが、例外があります。
その年の総所得金額が200万円未満の方は、医療費の合計が「所得金額の5%」を超えていれば控除を受けられます。たとえば、パートやアルバイトなどで年間の所得が150万円の方は、医療費が7万5,000円を超えていれば対象になるということですね。
医療費控除に該当する治療は? 具体例を紹介

ではさっそく見ていきましょう。歯科治療の中でも、治療目的で行われるものは基本的に医療費控除の対象になります。
虫歯や歯周病など一般的な歯科治療
歯科医院で受ける基本的な治療のほとんどは対象です。虫歯を削って詰め物をする治療や、歯茎の腫れを治す歯周病治療などはもちろん、親知らずの抜歯なども含まれます。
痛みを取り、噛む機能を回復させるための処置は「治療」として明確に認められています。
インプラント・入れ歯・ブリッジなど歯を失った場合の治療
歯を失ってしまった場合の治療も、基本的には医療費控除の対象です。
歯の機能を回復するための治療には、次のような方法があります。
- ・ブリッジ
- ・入れ歯
- ・インプラント
これらはいずれも「噛む機能を回復するため」の治療です。費用が高額になることも多いですが、治療目的であれば医療費控除の対象になります。
金歯やセラミックなどの自費治療
「セラミックや金歯は保険がきかないから対象外では?」と誤解されがちですが、実はこれらも対象です。歯科治療で一般的に使われる材料であれば、たとえ自費診療であっても医療費控除に含められます。
ただし、あまりに特殊で、一般的水準を著しく超えるような極端に高価な材料は対象外とされる場合があるため注意しましょう。
通院の交通費や医薬品の費用
歯科医院へ行くための電車やバスなどの公共交通機関の利用分は、すべて医療費控除の対象になります。歯科は通院が長くなるケースも多いため、積もり積もって大きな金額になるからです。
「電車やバスは領収書が出ないけれど、どう証明すればいいの?」という質問をいただきますが、結論から言うと、領収書がなくても大丈夫です。家計簿やスマートフォンのメモ帳、あるいはノートなどに「○月○日、○○歯科通院、往復○○円」と記録しておくだけで、税務署への申告資料として認められます。診察券に印字された日付と照らし合わせることで、実際に通院した証拠になるため、通院のたびに記録する習慣をつけておきましょう。
また、小さなお子さんの通院に保護者が付き添う場合や、お一人での通院が難しい高齢のご家族をサポートする場合、付き添いの方の運賃も医療費控除の対象として合算できます。ご家族全員分を合わせると、年間で数千円から数万円の差が出ることも珍しくありません。
ただし、注意点もいくつかあります。まず、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は、残念ながら対象外です。また、タクシー代についても「歩けないほどの激痛がある」「急病で公共交通機関が動いていない」といった、やむを得ない事情がある場合に限られます。単に「雨が降っていたから」「楽だから」という理由でのタクシー利用は認められない可能性が高いので、基本は公共交通機関を利用した分を記録しておくと安心です。
あわせて、治療のためにドラッグストアなどで購入した医薬品代も忘れずに合算しましょう。処方された薬以外でも、歯痛を抑えるために自分で買った市販の痛み止めなどは、治療に直接関わるものとして認められます。こちらはレシートが必須ですので、大切に保管しておいてください。
これは医療費控除の対象になる? 判断に迷う歯科費用

医療費控除は、基本的に「治療目的」であれば控除の対象となります。しかし、「予防目的」「審美目的」のものは控除の対象ではないと覚えておきましょう。
たとえば以下のものが当てはまります。
- ・予防目的にケア商品代
- ・ホワイトニング代
- ・歯科矯正代
予防目的のケア商品代
歯ブラシや歯磨き粉、デンタルフロス、洗口液などは、日常的に使うケア用品です。これらは虫歯や歯周病の予防を目的とするものであるため、基本的には医療費控除の対象にはなりません。
たとえ歯科医師から「この歯ブラシを使ってくださいね」と推奨された場合であっても、それが日常的なお口の清掃に使われるものであれば、税務署からは「治療費」として認められないケースがほとんどです。
トラブルを避けるためにも、歯ブラシや洗口液などの消耗品は、原則として控除に含めないと考えておくのが無難です。
ホワイトニング代
歯を白く美しくするホワイトニングは、健康を回復するための治療ではなく、審美(見た目)を目的とした処置です。そのため、医療費控除は受けられません。
歯科矯正代
歯科矯正は判断が分かれやすい治療の一つです。
子どもの矯正は、成長過程で歯並びや噛み合わせを整える治療として行われることが多く、医療費控除の対象になるケースが一般的です。
一方で大人の矯正の場合は、見た目を整える審美目的と判断されることが多く、その場合は控除の対象にはなりません。
ただし、噛み合わせの改善や顎の負担を軽減するなど、治療目的であることが明確な場合は医療費控除の対象になります。その際に重要になるのが診断書です。
歯科医師が「治療目的の矯正である」と診断している場合、その内容を証明する書類として診断書を求められることがあります。申告時に必ず提出するわけではありませんが、税務署から確認を求められた場合に備えて、発行してもらっておきましょう。
ローンやクレジットカード払いの注意点
インプラントや矯正などで高額な費用を支払う際、ローンやカード払いを利用することもありますよね。この場合、歯科ローンであれば信販会社が歯科医院に代金を立替払いした「その年」の医療費として扱われます。
手元に歯科医院の領収書がなくても、ローンの契約書や信販会社の明細があれば証明資料として有効です。ただし、分割払いに伴う金利や手数料は、治療そのものの費用ではないため控除の対象に含まれません。
還付金はいくら戻る? 計算方法とシミュレーション

では、実際に何がどれくらい戻ってくるのか、イメージしてみましょう。
戻ってくる税金は所得税と住民税
医療費控除を受けると、まず「所得税」が還付金として口座に振り込まれます。さらに、翌年の「住民税」も軽減されるため、トータルで家計が助かる仕組みになっています。
医療費控除の計算方法
計算式は以下の通りです。
・所得税
(年間の医療費-保険金などの補填金額-10万円)×所得税率=還付金額
・住民税
(年間の医療費-保険金などの補填金額-10万円)×10%=還付金額
医療費控除は課税される所得金額によって所得税率が変化します。たとえば年間所得が195万円以下の場合は5%、195万円以上330万円以下であれば10%と言う風に変化します。
以下、課税所得金額と所得税率を900万までのせておきますね。
- 195万円以下・・・税率5%
- 195万円~330万円以下・・・税率10%
- 330万円~695万円以下・・・税率20%
- 695万円~900万円以下・・・税率23%
※10万円の部分は、所得200万円未満の人は所得の5%で計算します。
どのくらい戻ってくるかの事例
例として、課税所得が500万円のサラリーマンが、1年間に支払った医療費が35万円で保険金などの補填はなかったものとして計算してみます。
所得税は、(35万円-0円-10万円)×20%で計算しますので、結果は5万円。還付金として数か月後に5万円戻ってきます。
そして住民税は、(35万円-0円-10万円)×10%で計算しますので、結果は2.5万円。還付金として2.5万円が、その年の6月からの住民税の金額で調整されます。
セルフメディケーション税制との違いや選択のコツ
医療費控除とは別に、特定の市販薬を年間1万2,000円超買った場合に受けられる「セルフメディケーション税制」というものがあります。
同時利用はできず、どちらか一方しか選べませんが、歯科治療で大きな出費があった場合は、通常の医療費控除を選んだほうが圧倒的にお得になるケースがほとんどです。
医療費控除の手続き方法は?
日本は申請制ですので、自分で申請手続きをしないと自動的には戻ってきません。では、医療費控除の手続き方法を確認しましょう。
手続きは確定申告でする
医療費控除を受けるには、毎年2月16日から3月15日の間に行われる「確定申告」で申請します。会社員の方も、年末調整ではこの控除は受けられないので注意してください。
医療費控除の必要書類
以前は病院が発行する領収書の提出が必要でしたが、現在は「医療費控除の明細書」を作成して添付する形になっています。
必要な準備物は、勤務先から発行される「源泉徴収票」と、1年分の医療費をまとめた一覧表です。健康保険組合から送られてくる「医療費のお知らせ」を活用すると、入力の手間が省けます。
e-Taxでの申告も可能
最近はスマホやパソコンから「e-Tax」を使って申告するのが主流です。画面の案内に従って数字を入力するだけなので、思っているよりも簡単です。もちろん、作成した書類を郵送したり、税務署の窓口へ持参したりする方法でも受け付けてもらえます。
医療費を控除するための注意

最後に、医療費控除にまつわる以下の注意点を紹介しますね。
- ・保険金などで補填された金額は差し引く
- ・領収書は5年間保管する
- ・医療費控除は過去5年さかのぼって申請できる
保険金などで補填された金額は差し引く
生命保険の入院給付金や、健康保険から支給される高額療養費などを受け取った場合は、その金額を支払った医療費から差し引いて計算しなければなりません。
たとえば歯科の手術で入院が必要となり、8万円支払ったとします。加入している医療保険の給付金を請求すると、5万円が支払われました。その場合は、8-5=3で、3万円が医療費として申告できる金額です。
領収書は5年間保管する
以前は1年分の領収書を証拠としてすべて提出していましたが、現在は現在は領収書やレシートをもとにして作った「医療費控除の明細書」を添付すればOKです。しかし、税務署から内容の確認を求められることがあるため、領収書やレシートは捨てずに、自宅で5年間保管しておくことが法律で義務付けられています。
医療費控除は過去5年さかのぼって申請できる
医療費控除は、その年に申告しなくても、過去5年までさかのぼって申請することができます。もし「申告していなかった」という場合でも、後から手続きできる可能性があります。
古い領収書などがある場合、諦めずに申告してみてはいかがでしょうか。
歯科の医療費控除でよくある疑問

実際によくいただく質問をまとめました。「自分はどうかな?」と当てはめながらチェックしてみてください。
Q1:共働きの夫婦の場合、どちらが申告するのがお得ですか?
基本的には「家族の中で一番所得(年収)が高い人」がまとめて申告するのが最もお得です。これは、医療費控除は、所得税率が高い人ほど戻ってくる金額が多くなる仕組みだからです。
たとえば、年収が400万円の人よりも、年収が700万円の人の方が所得税率が高いため、同じ医療費を申告しても還付される金額は大きくなります。ただし、ご夫婦それぞれの所得状況や、その年に支払った医療費の総額によって最適な組み合わせが変わることもありますので、シミュレーションサイトなどで一度計算してみることをおすすめします。
Q2:デンタルローンを利用しましたが、毎年少しずつ申告するのでしょうか?
いいえ、「信販会社が歯科医院に一括で立替払いをした年」に、全額をまとめて申告します。
たとえご自身の口座からの引き落としが数年にわたる分割払いであっても、税務上のルールでは「ローンを契約して信販会社が支払いを完了した日」が基準となります。そのため、治療を受けた年に一括で医療費控除を受ける形です。
申告の際には、歯科医院の領収書が手元になくても、ローンの契約書や信販会社の明細書があれば証明資料として有効ですので、大切に保管しておいてください。
Q3:実家で暮らす両親の入れ歯代も、私の医療費と合算できますか?
はい、「生計を一つにしている」のであれば、離れて暮らすご両親の医療費も合算して申告できます。
必ずしも同居している必要はありません。たとえば、あなたがご両親に定期的に仕送りをしていたり、ご両親の生活費をあなたが負担していたりする場合、実質的に「一つの家計」とみなされます。
ご自身が仕事で忙しく、高額な歯科治療を家族のために支払ったのであれば控除の対象です。ご両親の分の領収書も、忘れずにまとめておきましょう。
Q4:数年前の領収書が出てきました。もう手遅れでしょうか?
いいえ、申告は「過去5年前まで」ならさかのぼって手続きできます。
「当時は忙しくて確定申告を忘れていた」「制度を知らなくて領収書を放置していた」という場合でも、5年以内であれば、後から申告書を提出して税金を取り戻すことが可能です。
これを「還付申告」と呼びます。思いがけず高額な領収書が見つかったら、捨てずに内容を確認してみましょう。
Q5:マイナポータル連携で申告すれば、領収書は管理しなくていいですか?
最近はマイナンバーカードを使って医療費データを取り込めるようになり、非常に便利になりました。しかし、歯科の自費診療や通院の交通費などは、データの対象外となっていることが多いのが現状です。
マイナポータルに反映されるのは、主に「保険診療」のデータです。インプラントや自費の矯正、セラミック治療、そして薬局で買った薬代などは自動で反映されないため、これらは従来通り領収書をもとに自分で入力する必要があります。
利便性は向上していますが、歯科医院から受け取った領収書は、変わらず5年間は大切に手元へ残しておくようにしましょう。
歯科治療を受けたら医療費控除は忘れずに行おう!
医療費控除は、私たちが支払った大切な医療費を、国の制度がサポートしてくれる仕組みです。特にインプラントやセラミック治療、お子さんの矯正などは金額も大きくなるため、この制度を知っているかどうかで家計への負担が大きく変わります。
領収書をしっかり集めて、ぜひ期限内に申告してくださいね。もし「自分のケースは対象になるのかな?」と迷うことがあれば、当院のスタッフや担当医までお気軽にお尋ねください。







