歯周病と糖尿病の関係は? 口腔ケアで対策して全身を病気から守ろう!
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ご理解とご協力賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
お口の中のトラブルは放置しているとどんどん悪化し、やがて全身の健康に悪影響を及ぼします。中でも特に密接な関係性にあるのが「歯周病」と「糖尿病」です。
生活習慣病である糖尿病と口の中の細菌による歯周病がどう関係しているのか、対策方法は何かなどをここで紹介していきますね。
歯周病と糖尿病はおおいに関係あり! 予防には口腔ケアが必須!
歯周病と糖尿病は相互関係にあります。お互いがそれぞれの症状を悪くしてしまう一方、片方の病気を改善していくともう片方の病気も連動して改善できます。つまり、歯周病をケアして状態の改善をすれば、糖尿病の発症を予防できるということですね。
生活習慣病である糖尿病は、重度になると全身がボロボロになります。手足のしびれ、視力の低下、果ては人工透析が必要となる病気です。そこまで悪化すると、日常生活は非常につらいものになるでしょう。
まだ糖尿病になっていないのであれば、歯周病のケアは必須。口腔内をきれいで清潔な状態に保てば、糖尿病を予防、また発症していてもつらい症状を軽減させられます。
歯周病・糖尿病とは?
では2つの病気はどのように連動しているのでしょうか。まずは歯周病と糖尿病について簡単に見ていきましょう。
歯周病とは
歯周病は、口の中にいる菌による感染症です。世界で最もかかる人が多い病気と言われ、日本でも成人の約8割が歯周病にかかっていると言われています。そのため国民病とまで言われているメジャーな病気なのですね。
歯周病の原因は口の中の汚れです。歯磨きで落ちなかった食べかすなどに口内の細菌がとりつき、増殖して歯肉など歯の周辺組織に侵入。初期には自覚症状がないため気づきにくいですが、悪化すると骨を溶かし始め、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
糖尿病とは
糖尿病は生活習慣病の1つ。血液中のブドウ糖の濃度が多くなりすぎる病気で、一般的には「血糖値が高い」と言われます。
ブドウ糖は普段の食事から摂取するエネルギーの元。人間は腎臓から分泌されるインスリンを使ってブドウ糖を細胞に取り込み、体や内臓を動かしたり働かせたりしています。ところがインスリンが効かなくなったり分泌されなくなったりした結果、細胞に吸収されないブドウ糖が血液中に多くなっていきます。ブドウ糖は血液の中では悪者で、血管を破壊して動脈硬化を引き起こします。
糖尿病は歯周病と同じく初期にはほぼ症状がなく、静かに進行します。悪化すれば脳卒中や虚血性心疾患になりやすい体へと変化。さらに網膜症や腎症、神経障害などを合併しやすく、失明したり透析の必要がでたりする怖い病気です。
歯周病と糖尿病はどう関連する?
では2つの病気の関連性を見てみましょう。
・歯周病の人・・・糖尿病になりやすく、糖尿病を悪化させやすい
・糖尿病の人・・・歯周病になりやすく、歯周病を悪化させやすい
歯周病は、血糖値を高くします。そのため、血糖値が高いと発症する糖尿病につながるのですね。
通常、健康な人間は食後など血糖値が上がるときには腎臓からインスリンという物質が分泌されブドウ糖を吸収。自動的に素早く血糖値を下げてくれます。
しかし歯周病になっていると体内には炎症に関連した化学物質が血管を通して駆け巡っており、その化学物質はインスリンに抵抗性があるためインスリンの効果を下げてしまいます。
つまり歯周病がある限り、血糖値が下がりにくい体になっていると考えてください。長い間血糖値の高い状態が続いてしまうと、糖尿病が発症・進行しやすくなってしまいます。
また、糖尿病になると高血糖のため、歯を支える骨の吸収が早まります。すると骨がもろくなり体力・免疫力が低下、口の中の細菌が活発化して歯周病が発生。体が弱るので細菌はどんどん歯肉や骨へ侵入し、溶かしていくのですね。
歯周病の人が歯周病のケア・治療をして改善していくと、血糖コントロールが可能になるので血糖値が下がって糖尿病になりにくくなります。現在糖尿病である方も、症状が徐々に改善されていくでしょう。
同じく糖尿病の方が治療をして改善すると、かかっている歯周病の症状も軽減していきます。
歯周病が血糖値を高くする理由
歯周病にかかると、口内は慢性的に軽い炎症が続いてる状態です。歯周病菌は毒素を出し歯肉や骨に侵入して溶かしますが、この菌を攻撃するために体内では炎症性の物質をどんどん作り出します。
歯周病である限り炎症性の物質が作り出されますが、この物質が血糖値を下げる働きをするインスリンに抵抗。そのため自力で血糖コントロールができなくなり、糖尿病になってしまいます。
ちなみに歯と歯肉の間の溝を歯周ポケットと呼び、ここが深くなればなるほど歯周病はひどい状態です。この歯周ポケットで中程度以上のものが口中にあると考えた場合、その合計表面積は何とおよそ手の平と同じサイズ。
歯周ポケットを自分で確認することは難しいですが、歯周病がある人は手の平サイズの部分が細菌に感染し、膿を出していると想像してみてください。全身に影響があることがイメージしやすいですよね。
歯周病と糖尿病を改善するための口腔ケア方法
糖尿病の治療はおいておき、ここでは歯周病の対策を見ていきましょう。大切なのは口腔ケア。しっかり汚れや歯垢を落としていけば、歯周病は徐々に改善していきます。
口腔内のきれいを保つには、以下の2つを実行しましょう。
- ・歯磨き+フロスの徹底
- ・歯科での定期健診の受診
歯磨き+フロスの徹底
毎日の歯磨きが最も大切なケア方法です。ただし、歯磨きでは口の中の汚れは約60%しか落ちません。歯ブラシでは歯間にこびりついた汚れが取れないからですね。この歯間の汚れが歯垢になりやすく、歯周病菌が増殖する原因になります。
歯磨きをした後はフロスで仕上げをしましょう。フロスを歯間に通すことで、汚れがしっかり落とせます。繰り返していくうちに深くなっていた歯周ポケットも改善し、歯周病のレベルは改善されていきますよ。
毎食後に歯磨きとフロスをすることが基本ですが、なかなか難しいという方もいるでしょう。そういう方は、夜眠る前の口腔内清掃を重点的に行ってください。
睡眠中は唾液の分泌が減り、細菌の活動が活発になります。歯周病や虫歯が進行しやすいので、口腔ケアをしっかりしておきましょう。
歯科での定期健診の受診
歯垢が歯石に変わってしまっているものは、歯ブラシでは取れません。そのため、定期的に歯科を受診して機械での口腔清掃を行ってくださいね。
歯科医や歯科衛生士による掃除で、徹底的に歯垢を取り除くことが歯周病にはよく効きます。理想は3カ月に1度の定期健診ですが、時間が取れないという方は半年に1回でも構いません。
自分でできる口腔ケアに歯科でのプロによるケアをプラスして、歯周病を改善・予防していきましょう。それが糖尿病の予防や症状改善につながります。
見直すべき生活習慣2つ
さらに、ぜひ見直して頂きたいのが以下2つの生活習慣です。糖尿病は生活習慣病。まだ発症していないときが生活習慣を見直すチャンスです。
- ・甘いものは控える
- ・間食は減らす
1、甘いものは控える
糖尿病は血糖値の高い状態が続く病気。血糖値を上げやすいのはやはりエネルギー量が多い甘い食べ物です。
食事以外に甘いものを多く食べている自覚がある方は控えめにしましょう。エネルギーをたくさん取れば、運動などでそれを消費しなければなりません。運動不足と甘いものの食べすぎは、糖尿病へ一直線です。
2、間食は減らす
間食が多いと、エネルギーの過剰摂取となるうえにその度に口の中が汚れてしまいます。間食ごとに運動をしてエネルギーを消費し、さらに歯磨きとフロスケアができる方は問題ないのですが、毎回実行できる人は少ないでしょう。
1日3食でも、栄養満点の現代では食べすぎと言われています。さらに間食もすれば明らかに過剰ですよね。できるだけ間食は控え、3回の食事も満腹にならないよう、腹八分程度におさめるようにしてみましょう。
最初はつらいかもしれません。しかし続けていくとそれが普通になり、体も軽くなりますよ。
口腔ケアで歯周病と糖尿病の改善&予防をしよう!
口の中の病気である歯周病と、生活習慣病で全身に影響がある糖尿病は関連性のある疾患です。お互いがお互いに影響をし、どんどん悪化させたり改善させたりします。
若い方はあまり糖尿病が発症しませんが、歯周病は日本の大半の成人がかかっていると言われる病気。まずは歯周病対策の口腔ケアを行い、糖尿病を予防しましょう。
コツは自分で行う毎日のケアを基本とし、定期的に歯科でプロのケアも受けることです。歯周病も放置していれば全身に悪影響がある怖い病気です。今日からケアを始めてくださいね。