差し歯治療におすすめなのは? 保険治療のプラスチックと自費治療のセラミック
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虫歯治療で差し歯を入れる必要が出たとき、健康保険で指定されている素材を使うか、それとも保険適用外の素材を使うかで悩んだ方もいるでしょう。保険治療なら歯科用プラスチック(レジン)、保険を使わない治療ならセラミックです。
保険を使うと安く済みますが、毎日必ず使う大切な歯にプラスチックを使うことは最善でしょうか?
ここでは差し歯の素材について見ていきます。プラスチックがいいか、セラミックがいいか。それぞれのメリットとデメリットを順番に確認しながら考えていきましょう。
差し歯にはセラミックがおすすめ! 保険適用外でもメリットがいっぱい!
結論から述べると、おすすめの素材はセラミックです。健康保険は適用となりませんが、自然な歯により近い見た目と高い強度にできます。
保険治療は費用を抑えることは可能ですが、あくまでも「使用に差しさわりがない程度まで状態を戻す」ことが目的。つまり耐久性や見た目の美しさなどは考慮に入れないため、歯として使うことはできてもさまざまな不満が生まれやすくなります。
それぞれの素材のメリットとデメリットを比べると、セラミックは費用が高いというデメリットを他のメリットが上回ります。
高いから無理! と決めつけてしまわずに、まずは詳細を確認しましょう。検討するときには少しでも不安なことがあれば、担当の歯科医に相談をしてくださいね。
差し歯にすることになったら? 保険を使うか使わないか
治療をするときは、保険適用内で済ませるか自費治療も検討するかを最初に聞かれます。問診票に「保険治療のみ」と書けば、自費治療を選ぶかどうか聞かれることもないでしょう。そのため、そもそも素材に選択肢があることを知らない方もいます。
まずは保険を使うか使わないかによって変わってくる素材には、どういうものがあるのかを見ていきましょう。
保険治療をする場合はプラスチックと銀歯
差し歯の素材を決めるとき、保険治療であれば歯科用プラスチック(レジン)です。金属で形を作り、その上から歯科用プラスチックを被せて作られています。人からよく見えるところの歯は色が白いためプラスチックを使うのですが、その範囲は前歯から犬歯までです(それ以外の歯に使うときは自費治療となる)。
奥歯など人から見えず頑丈でなければならないところは銀歯です。プラスチックのデメリットの1つは、噛むことに対する耐久性が弱いこと。そのため噛みしめることが多い奥歯は強度の高い銀歯にします。
自費治療をする場合はセラミック
自費治療・自由診療の場合は、セラミックが使われている素材です。セラミックの歯は金属を使わず陶材を使うので、自然な歯の色に近い白さや透明感を出せます。
種類はいくつかあり、それぞれ費用も特徴も違います。しかしプラスチックに比べて劣化が少なく、見た目的にも美しい素材です。
プラスチックのメリット&デメリットと費用相場
ではそれぞれのメリットとデメリット、費用相場を見ていきましょう。
プラスチックを使う場合の自己負担額は、1本あたり3,000円~10,000円程度。使う位置や素材など歯科によって違うので金額に幅がありますが、おおむね1万円あれば大丈夫です。
メリットとデメリットは以下のとおり。
【メリット】
- ・安い
- ・2年間は無料で対応してくれる
【デメリット】
- ・経年劣化が激しい
- ・1年程度で変色する
- ・見た目がよくない
- ・金属アレルギーを発症させるリスクがある
- ・金属アレルギーの方は使えない
保険診療にはさまざまな制約があり、基本的には最低限の機能回復を目的として価格を抑えることができています。
そのため、頑丈さや見た目のよさなどは二の次。パッと見は白い歯ですが自然の歯が持つ透明感はないので、違和感があります。また1年程度で黄色く変色し始めてしまうため、銀歯と同じく口を開いたときに目立ちます。
ただし料金には「補綴物維持管理料」というものが含まれているので、不具合があれば無料で対応してくれます。治療して2年以内に取れたり欠けたりといった不具合があれば、治療を受けたクリニックへ行きましょう。
銀歯は金属なので、アレルギーがあればおすすめできません。また、金属は少しずつ唾液に交じって人間の体の中に取り込まれるため、長年銀歯を使っていると金属アレルギーを発症する方もいます。
セラミックのメリット&デメリットと費用相場
セラミックと一言でいっても、いろんな種類があります。
- ・オールセラミック
- ・ハイブリッドセラミック
- ・メタルボンド
- ・ジルコニア
- ・ゴールド
簡単に、それぞれのメリットとデメリット、費用相場を紹介しますね。
オールセラミック
すべてが陶器でできています。自然な白さに透明感もあり、前歯で使用しても見た目の違和感はありません。1本あたり9万円~14万円が相場です。
【メリット】
- ・見た目が奇麗
- ・ほぼ変色なし
- ・金属アレルギーの心配がない
【デメリット】
- ・割れやすい
- ・歯茎との境目が黒ずむことがある
- ・施術者の腕によって質にばらつきが出る
ハイブリッドセラミック
プラスチックにセラミックの粒子を混ぜてプラスチックをよりよくしたもの。プラスチックを使うので自費治療の中では費用が安く、セラミックの特徴も生かせます。1本あたり4万円~12万円が相場です。
【メリット】
- ・プラスチックより強度や見た目に優れる
- ・費用は安め
- ・金属アレルギーの心配がない
【デメリット】
- ・プラスチックが混ざっているので変色する
- ・施術者の腕によって質にばらつきが出る
メタルボンド
内側は金属、外側は陶器でできています。見た目の美しさと内側の頑丈さが一緒になっており、1本あたり8万円~17万円が相場です。
【メリット】
- ・自然な白さ
- ・中が金属なので強度が高い
- ・金属ではあるが貴金属のためアレルギーのリスクは低い
【デメリット】
- ・裏からは金属が見える
- ・天然歯より固いので噛み合わせで天然歯を傷めるケースがある
- ・施術者の腕によって質にばらつきが出る
ジルコニア
内側は白色ジルコニア、外側は陶器でできています。強さと見た目の美しさ両方に優れており、1本あたり10万~20万円が相場です。
【メリット】
- ・強い噛み合わせにも耐える
- ・見た目に美しい
- ・金属アレルギーの恐れはほぼない
- ・汚れにくい
【デメリット】
- ・差し歯を入れる歯を大きく削る必要がある
- ・天然歯より固いので噛み合わせで天然歯を傷めるケースがある
- ・施術者の腕によって質にばらつきが出る
ゴールド
金を使った差し歯。使われる場所は噛みしめの心配がある奥歯です。さび付く恐れはありませんが、金色なので大変目立ちます。1本あたり4万~12万円が相場です。
【メリット】
- ・古くからあり実績豊富
- ・強度が高い
- ・銀歯より長持ち
【デメリット】
- ・見た目が目立つ
- ・まれではあるが金属アレルギーの恐れがある
差し歯の治療はどんな流れ?
では治療の流れを見ていきましょう。
差し歯になるのは歯が根元から折れたときや、虫歯がひどく悪化していて神経を取る治療を行うときなどです。
まず、カウンセリングがあります。それから歯や周辺の状態を確認するための検査を行い、虫歯治療をします。
虫歯部分をすべて削り取ったら、歯の根の治療がスタート。このときにどれほど症状がひどいかによって、通院回数が違ってきます。
形を整えてから土台を入れます。上に被せるものを作り、装着。その後は定期メンテナンスへ移っていきます。
最初のカウンセリングで「保険内治療で」と述べると、セラミックは提案されません。もし見た目や耐久性を気にするのであれば、まずは相談してみましょう。
差し歯にはセラミック!メリットを考えて選択しよう
差し歯の見た目や頑丈さを優先したい、または金属アレルギーの心配をするという方は、セラミックを検討してみてください。
使う材料によって費用だけでなくいろいろなポイントが違ってきます。またクリニックによっても大きく違うので、まずは治療内容について質問していきましょう。
種類や特徴、費用、保証などについては、後々不満が残らないように納得ゆくまで担当医と話し合いが必要です。特に自費治療・自由診療に保証がついていないクリニックは要注意。不具合があっても再度料金がかかるため、慎重に検討してください。
毎日使う、大切な歯。自分が譲れないものを見極めて、素材を選んでくださいね。
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