知覚過敏の予防方法はない? 痛みの原因や治療・ケア方法を解説
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冷たい飲み物を飲んだとき、もしくは水でうがいなどをするときに強い歯痛を感じたら、知覚過敏を疑いましょう。
知覚過敏は歯の表面が敏感に刺激を感じることを言います。放置しておいても自然治癒はせず、何らかの対策を講じなければ痛みはひどくなるばかり。痛みで食事も楽しめませんし、不安を感じるでしょう。
自分で知覚過敏を軽減できる方法や歯科での治療法を知っていれば、痛みが出てきたときに安心ですよね。
ここでは知覚過敏とは何か、その原因や治療法、予防法などを紹介します。つらい痛みを何とかしたいと考える方は、参考にして早めのケアを始めてくださいね。
知覚過敏で歯が痛い! 予防するには毎日のケアが重要
知覚過敏は冷たいものに歯がしみる現象で、自然治癒はしません。歯の表面が何らかの原因で剥げてしまったり、歯を覆っていた歯肉が縮んで隠れているべき場所がむき出しになってしまったりした結果、刺激でしみるようになります。
一度剥げてしまった歯の表面を戻すことはできませんが、痛みに対応することは可能です。間違った歯磨きをしていないか、食いしばりや歯ぎしりは行っていないか、虫歯などになっていないかを歯科で確認し、毎日ケアを続けていきましょう。痛みは徐々に改善されていきますよ。
知覚過敏の主な症状は「しみる」こと
知覚過敏は、歯に感じる短時間の鋭い痛み。虫歯や歯の神経が炎症を起こしていない場合の歯痛は、知覚過敏である可能性が高いでしょう。
最初の頃は冷たい水を飲んだとき、または歯ブラシの毛先が歯に触れたときにズキッとした痛みを感じます。痛みは一瞬で持続はしませんが、口の中に冷たいものが入ったり何らかの刺激を受けたりする度に痛むので、大きなストレスを感じます。
進行すると温かいものでも痛みが出るため、食事が摂れず栄養不足になり、免疫力や体力が下がることも。さらに冷たい空気や風に触れただけでも痛みを感じるようになってしまいます。
虫歯や神経の炎症じゃないならいいやと放置せず、ケアを始めましょう
知覚過敏の原因6つ
知覚過敏による痛みが発生する場所は歯の根の部分。元は歯肉で覆い隠されている場所です。歯肉が下がって歯が伸びたように見え、本来は外へ出ない部分が刺激を受けて痛みを感じるようになります。
象牙質は神経と近く、繋がりがある柔らかい組織。ここが外へ出てきてしまう原因は、主なもので6つあります。
【加齢】
誰でも年を重ねると、体内のあらゆるものが縮みだします。歯ぐきもその1つで、年々歯肉は縮んで下がってしまうのですね(歯肉の退縮)。そのため本来なら歯肉で覆われているはずの部分が出てきてしまい、そこが刺激を受けて痛みます。
【虫歯治療の影響】
虫歯で歯を削る治療の影響もあります。この場合はしばらく観察をして痛みがなくなるかを確認し、なくならなければ再治療を行ったり歯の神経を取り除く治療を行ったりします。
【歯の欠けや折れ】
スポーツや喧嘩などで強い衝撃を受け、歯が欠けたり折れたりした結果、エナメル質が剥げて象牙質が出てしまうことがあります。
中には残っている歯に亀裂が入り、内側の神経にまで達しているケースも。そうなれば細菌が侵入して炎症を起こすため、しっかりした治療が必要です。
【食いしばりや歯ぎしり】
食いしばりや歯ぎしりは歯と歯の周辺を傷める大きな原因。特にぐっと強い力で噛みしめる食いしばりでは、最も力が加わるのは歯を支える歯茎です。
食いしばったときに歯茎付近の歯を覆っているエナメル質がたわんで剥がれ落ち、象牙質がむき出しになります。
また歯ぎしりを何度も行えば、歯の上側が削り取られて象牙質が出てきてしまいます。
【ダラダラ食べ】
食事をすると口の中は酸性になり、歯の表面にあるエナメル質は徐々に溶けだします。あまり時間をかけずに食事を終えればその後30分程度で唾液によって中和され、歯が溶ける現象は治まります。しかしダラダラ食べ続けているといつまでも口内は酸性のまま。なかなか中和されないために、歯の表面が酸でどんどん溶けていくのですね。
エナメル質が溶けてなくなり、刺激を敏感に受けるようになってしまいます。
【ホワイトニングの影響】
歯の表面を白くするホワイトニングによっても、施術後一時的に神経が敏感になるケースがあります。
原因は恐らく使用する薬剤の影響ですが、詳細なメカニズムはわかっていません。ホワイトニング治療を止めると知覚過敏も治まるのが一般的です。
知覚過敏の治療方法4つ
歯科での治療方法を見ていきましょう。一般的には以下の4つの方法で痛みを改善していきます。
- ・再石灰化を促す
- ・神経の興奮を抑える
- ・象牙質の露出部分を覆う
- ・神経を取る
再石灰化を促す
知覚過敏は自然治癒はしませんが、歯磨き粉や唾液の働きによって、ごく軽度のものに限り数日で消えてしまう場合があります。
歯磨きなどに再石灰化成分が入っているため、象牙質の表面にある小さく細かい隙間(神経へとつながっている)が塞がれるためですね。
そのため、機能性歯磨き粉を選ぶこと、唾液をよく出すための行動をすることが大切。
歯科での治療では歯石(プラーク)を除去してクリーニングをし、細菌の活動を抑えて再石灰化しやすい環境を整えます。
神経の興奮を抑える
痛みを感じるのは歯の神経が刺激を受けて興奮し、脳へ信号を送るから。つまり、神経を興奮させなければ痛みは感じにくくなります。
神経を興奮させない歯科での治療法は、歯の神経の周囲を多くのカリウムイオンで取り巻くようにすること。硝酸カリウムを含ませた歯磨き粉を作り、継続して使うことで痛みを改善させます。
象牙質の露出部分を覆う
露出した象牙質部分を人工的に覆うことで、痛みをなくす治療法もあります。使う材料は歯と同じような成分の結晶や樹脂。これらで薄い膜を作り、露出部分に被せるのですね。
この治療法は即効性があり、痛みの改善効果も高くなります。
神経を取る
知覚過敏の痛みが長時間続いたり痛みが激しかったりする場合には、細菌の侵入による神経の炎症を疑います。歯の神経は本来、温存すべきもの。しかし知覚過敏の痛みで生活に支障が出るようであれば、歯の神経を取り除く治療を行います。
知覚過敏の予防方法・改善方法
自分でできる知覚過敏の予防方法・改善方法を紹介していきます。
- ・正しい歯磨きを行う
- ・歯磨き粉を選ぶ
- ・歯科を受診する
正しい歯磨きを行う
エナメル質が剥げて象牙質が露出するのは、間違った歯磨きも原因の1つです。正しい歯磨きを行うだけで唾液による再石灰化が促され、鋭い痛みが改善されていきます。
- ・歯は「普通」もしくは「柔らかい」歯ブラシを選び、力を入れずに撫でるイメージで表面をさする
- ・歯茎はこするのではなくマッサージを行うつもりでブラシを当てる
- ・歯ブラシの毛先が直角に歯の表面に当たるように持つ
強い力で頻繁に磨いていると、歯の表面はどんどん削れてきてしまいます。歯や歯茎を優しくマッサージをするつもりで磨くようにしましょう。
【関連記事】正しい歯磨きの方法についての記事はこちら
歯の正しい磨き方とは? 磨くときのポイントや部分別に気を付けること
歯磨き粉を選ぶ
市販の歯磨き粉を選ぶときには、「知覚過敏用機能性歯磨き粉」にしましょう。多くの場合は硝酸カリウムが配合されており、神経が敏感に反応しないようにしてくれます。また歯の表面を成分が薄く覆うようにして、象牙質を刺激から守ってくれる商品も販売されていますよ。
歯磨きは毎日行うため、歯磨き粉を機能性商品に買えるだけでも痛みには違いが出てくるはずです。
歯科を受診する
痛みが出ているなら、まずは歯科を受診してください。その結果虫歯や神経の炎症でないとわかったら、知覚過敏のケアを始めます。
ひどい痛みの場合は歯科での治療が早道。歯科と協力して知覚過敏を改善していきましょう。
口内ケアで知覚過敏を予防! 歯がしみたらケア方法を見直して
冷たいものが口に入ると、歯に鋭い痛みを感じる知覚過敏。食事などで困ることも多いため、痛みが出たらすぐに対応を始めてください。
歯科を受診し、知覚過敏かその他のトラブルかを確認します。そして歯磨き粉などを選び、毎日優しく丁寧な歯磨きを行いましょう。食いしばりや歯ぎしりがあればその対処も行い、歯垢がついて症状が悪化しないようにすることが大切。
分らないこと、不安なことは担当の歯科医に相談し、できることから始めていってくださいね。