歯の正しい磨き方とは? 磨くときのポイントや部分別に気を付けること
この度の新型コロナウィルスに罹患された方々、並びに感染拡大による影響を受けている方々に、心よりお見舞い申し上げます。当院では患者さまとスタッフの安全確保を実施しています。
<当院の感染拡大防止について>
- 手洗い・アルコール消毒・うがいの徹底
- ドアの開放、空調を強めに設定する 等、定期的に室内換気を行っております
- 次亜塩素酸水を使用し、空間除菌を行っております
- 感染リスクの高い来院者さまへの受診の自粛のご依頼、又はご予約日の変更のお願いをしております
ご理解とご協力賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
虫歯や歯周病の治療などで歯医者へ行くと、「歯をしっかり磨いてくださいね」と注意を受けることがありますよね。自分ではちゃんと磨いているつもりでも、虫歯や歯周病が発生して進行するのは、実際にはきちんと歯が磨けていない証拠。では、どうすればしっかりと歯が磨けるでしょうか?
- ・歯磨きに正しいやり方なんてあるの?
- ・歯磨きの力加減などもよく知らない
- ・歯磨きは歯ブラシだけでいい?
このような疑問をお持ちの方のために、歯の正しい磨き方やポイント、歯磨きアイテムの選び方などについて紹介していきます。
ただ磨くだけじゃダメ! 歯の正しい磨き方を知ろう
歯磨きを正しくできていないと、歯の表面や付け根に歯垢(プラーク)と呼ばれるものがひっつき、口内に細菌が増殖します。その結果、虫歯や歯周病といったトラブルを引き起こしてしまいます。
「毎食後歯磨きはしているし、長年歯の痛みはないから大丈夫でしょ」と、のんきに構えている方は注意が必要です。虫歯にはなっていなくても歯周病になっているケースは多く、日本人の約9割が歯周病にかかっていると言われています。そのため、一度きちんと歯磨きが正しくできているかをチェックしてみましょう。できるだけ早く正しい歯の磨き方を覚えることで、将来の自分の健康を守れますよ。
しっかり磨けていないと歯はどうなる?
歯が正しく磨けていなければ、具体的にはどんな困ったことになるでしょうか? 考えられるのは、虫歯や歯周病です。
- ・虫歯・・・ミュータンス菌などの虫歯原因菌が出す酸で歯のカルシウムが溶かされ穴が開く病気
- ・歯周病・・・歯の周辺で繁殖する細菌に感染して、歯の周辺に炎症が起こる病気
どちらも重症になるまでは自覚症状が少ないため、自分では気づきにくいという特徴があります。また、どちらも進行すれば歯を外側から溶かして中の神経にまで侵食し、激しい痛みをもたらします。最終的には歯が折れたり溶けて抜けてしまったりするうえ、ひどい場合には全身にばい菌がまわって体全体の健康にも悪影響を与えるようになります。
いずれも磨き残しが歯垢となってしまい、そこで増殖した細菌が原因で発生します。歯垢には細菌が約600種類も存在していて、何と歯垢1㎎中に存在する細菌は1億個以上! そのため、正しく歯を磨いて歯垢をできるだけ残さずとってしまう必要があるのですね。
歯磨きが正しくできているかチェック!その方法は?
自分ではしっかり磨いたつもり! だけど実際に磨き残しがあるから、お口のトラブルは発生します。では、歯磨きが正しくできているかチェックする方法はあるでしょうか? 以下の3つがその方法です。
- 染めだし剤
- 自分で目視確認
- 歯医者で点検
染めだし剤
子供のころ、歯医者さんで赤い液体を口に含んで吐き出し、口の中の磨き残しが赤く浮かび上がった経験はありませんか? 歯科で使っているあの染めだし剤は、磨き残しを浮かび上がらせる薬剤です。これを使えばどこが磨けていないか一目瞭然。なかなか手には入りにくいですが、歯科や薬局で購入できることもあります。
自分で目視確認
鏡の前で口を大きくあけてみましょう。歯と歯茎の境目や歯の上や表面に、白っぽいどろっとしたものがひっついていませんか? 白や黄白色をしたネバネバしたものが、歯垢です。粘着力が強いためうがいなどでは十分に取れませんが、綿棒などでこするとすぐに取れるのでわかりやすいですよ。
その歯垢が時間を経て石化したものが、歯石。これは歯医者で専用の機械を使わなければ除去はできません。
歯医者で点検
前歯の裏側など、自分では見えにくい場所も歯医者での点検では全部わかります。歯科衛生士さんは掃除をしたあと、どこに歯垢が溜まっていたかを絵に描いて渡してくれることが一般的です。それを確認して磨けていない場所を知っておいてください。
歯の正しい磨き方は?守るべき基本事項4つ
歯の磨き方で、守るべき基本事項は以下の4つです。
- 歯ブラシは鉛筆の持ち方
- 毛先は歯の面にあてる
- 力を入れてゴシゴシ磨かない
- 小刻みに動かす
歯ブラシは鉛筆の持ち方
歯ブラシの正しい持ち方は、鉛筆を握るときの持ち方です。こうすると余計な力が入りにくいため、歯の表面や歯肉を傷つけにくくなります。ただし、握力が弱い子供や年配の方などは握った方がしっかりと持てますので、自分に合った持ち方にしてくださいね。
毛先は歯の面にあてる
歯ブラシを口の中へ入れたとき、毛先を歯の面にぴったりとつけます。毛先が歯の表面をなで、歯と歯茎の境目に入り込むようなイメージで歯ブラシをしてください。
力を入れてゴシゴシ磨かない
歯磨きに力は不要です。キレイにしようと思う余り、力を入れてゴシゴシと磨いてしまう方がいますが、それは歯や歯肉を傷つけるだけです。歯の表面のコーティングが力を入れた歯磨きで削れてしまうと、冷たいものや熱いものを食べたときに歯が沁みる原因となります。
歯ブラシの毛先が広がらない程度の力で磨きましょう。感覚としては「なでる」程度、具体的には歯ブラシを量りに置いて力を入れたとき、150g~200g程度になる力です。
小刻みに動かす
歯ブラシは口に入れたあと、大きく動かすのではなく小刻みに動かしましょう。歯肉をマッサージするように、3mm~10㎜程度の距離で細かく動かします。一気に3,4本の歯を磨くのではなく、1つずつの歯を磨くようにすれば小刻みに動かせますよ。
部分別の正しい磨き方は? 歯磨きのとき意識したい場所3つ
では、部分別に歯垢がたまりやすい場所の正しい磨き方をみていきましょう。歯磨きのときに意識した場所は、以下の3つです。
- みぞ
- 隙間
- 付け根
みぞ
みぞとは、奥歯の上下の歯が接する面を指します。鏡を覗いて奥歯を見てみると、奥歯の表面はガタガタとしていますよね。これがみぞです。ここは非常に細かい食べ物のカスが残りやすいところなので、奥歯の表面に歯ブラシの毛先を忍び込ませるイメージで磨きましょう。
隙間
隙間とは、歯と歯の間ですね。特に歯同士が触れている場所は汚れが残りやすくなります。歯ブラシで汚れをかき出すように細かくこするのはもちろんですが、隙間だけは歯ブラシだけでは難しいので、フロスも使うようにしましょう。
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付け根
歯と歯茎の境目を付け根と言います。歯は歯茎に覆われていますが、歯が出ている境界線は歯肉溝とよばれるみぞがあり、汚れがたまりやすくなります。ここを磨くときには歯ブラシを斜め45度にあて、丁寧に細かく動かしていきましょう。
歯磨きアイテムの選び方や交換時期は?
とっても優秀なアイテム、歯ブラシ。消耗品ですので、必ず交換が必要です。ここで歯ブラシの選び方や交換時期、そして他にもお役立ちの歯磨きアイテムを紹介しましょう。
歯ブラシ
歯ブラシを選ぶとき、「普通」の柔らかさが基本です。しかしこれは歯茎が健康な方が使うものですので、歯茎が腫れていたり出血していたりする方は、「やわらかめ」を選んでください。ヘッドの大きさは自分の上の前歯の2本くらいのものが適当です。
歯ブラシの交換の目安は約1カ月。力を入れずに使っていても、徐々に毛先が広がったりコシがなくなったりします。汚れをしっかりと落とすため、まだ大丈夫そうにみえても1ヶ月程度たてば交換しましょう。
歯磨き粉
歯磨き粉はできるだけ、泡立ちがないものを選びます。泡立ちが良いとそれだけで磨けていると錯覚してしまうので、泡立ちが少ないものが便利です。さらに、歯の再石灰を促す「フッ素」を配合したものがおすすめ。酸で溶けてしまった成分を歯に戻して再石灰を促してくれますので、特に子供さんに使う歯磨き粉ではフッ素入りが良いでしょう。
フロス
フロスとは、細い繊維を複数まとめて糸のようにしてあるもの。これを歯間に滑り込ませれば、歯ブラシでは取れない汚れをかき出せます。歯ブラシを丁寧に使っても、取れる汚れは約60%。しかしフロスを使えば、それが約80%程度まで上げられると研究でわかっています。
フロスにも種類がいくつかありますが、初心者はホールドタイプと呼ばれる持ち手がついたものが使いやすいでしょう。フロスに慣れれば、経済的なロールタイプに変えてはいかがでしょうか。
歯間ブラシ
歯間ブラシは歯と歯の間、歯茎と接している場所の掃除に使います。ここは汚れがつまりやすく、汚れをとらないと細菌がどんどん増殖し、歯周病の原因となります。
歯間ブラシを歯と歯の間に差し込み、ゆっくりと前後に数回動かしてください。その後口をゆすいで汚れを出しましょう。
選ぶときは小さ目(細目)のものにします。大きい歯間ブラシを無理に入れ、歯肉を傷つけないように注意してください。
うまく磨けないときは歯科で相談
鏡を見つつイメージをしながら、磨いていきましょう。それでも汚れがなかなか取れない、虫歯や歯周病が悪化してしまったと感じる方は、歯科への定期健診を受け、相談してください。磨き方を指導してくれますよ。
また、しっかりと磨けている方でもやはり100%キレイにすることは難しいです。そのため、最低でも半年ごとには定期健診へ足を運び、歯科医院でメンテナンスをしてもらってくださいね。