初期虫歯はフッ素で修復できる? フッ素で状態改善する理由と初期虫歯の対処
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歯に何か違和感がある、ちょっとした痛みを感じる、そんなときには歯医者へ行かなければならないと思ってドキッとしますよね。虫歯は自然治癒しないので、治療が必要です。
しかし初期虫歯と呼ばれる状態であれば、フッ素塗布で健康な歯に戻すことも可能なのです。では、初期虫歯とはどのような状態なのか? なぜ、フッ素を塗ることで大丈夫になるのかをご存知ですか?
ここでは初期虫歯について、そしてフッ素についても紹介していきます。オーラルケアは全身の健康に直結します。内容を確認して、いつまでも自分の歯を使って食事ができるようにケアをしていきましょう。
初期虫歯ならフッ素ケアで修復可能!
学校の歯科検診や定期健診で、「CO(シー・オー)」と歯科医が言っているのを聞いたことがありませんか? あのCOは「要観察」の意味で、初期虫歯をさします。初期虫歯は歯の表面がわずかに低密度となった状態で、穴があく一歩前といったところです。
この初期虫歯は、自覚症状がないうえに外見上も健康な歯に見えます。そのため歯科医でも発見しにくいのですが、この状態であれば歯科による治療はまだ不要で、ケアをしっかりすれば健康な状態に戻せる可能性があります。
そこで重要な役割を果たすのが、フッ素です。フッ素を塗布すれば、初期虫歯の歯は再石化されます。再石灰されれば健康な状態に戻るうえ、以前よりも虫歯菌の出す酸に強くなり、歯が溶けにくくなります。
初期虫歯のケアに最適! フッ素とは?
初期虫歯を再石化させ、さらに酸に強くするフッ素。一体どのようなものでしょうか? フッ素には、以下3つの効果があります。
- ・虫歯菌の活動を邪魔し、歯を溶かす酸の量を抑える
- ・酸で溶かされた歯を修復する作用を促す
- ・歯の表面を強くし、酸に溶けにくくする
毎日の歯磨きで歯についた汚れを完全に落とすことが理想ですが、なかなか難しいですよね。歯に残った汚れは歯垢となり、虫歯菌が発生して活動し始めます。虫歯菌によって酸が作り出され歯の表面が溶けていくのですが、フッ素はその酸の量を抑えてくれます。
また、酸によって歯から溶けだしたカルシウムやリンの補給を促し、再石化へ導きます。カルシウムやリンは唾液の中に含まれているのですが、それを効率よく生かす力があるのですね。そして歯の表面を酸に溶けにくい性質へと修正していってくれるのです。イメージとしては、歯の表面を直しながらバリアを張って危険から遠ざけている状態といいましょうか。
つまり、まだ歯の表面に穴があいていなければ、フッ素を塗布することで歯を修復してバリアを張ってくれ、健康な歯へ戻してくれるということになります。そのため、初期虫歯にはフッ素ケアが有効だと言われています。
ただし、フッ素ケアをすれば絶対に虫歯にならないかと言われれば、残念ながらそんなことはありません。フッ素はあくまでも現在の状態を改善していくサポート役ですので、自分で行う毎日の清掃具合が悪ければ、やはり虫歯にはなってしまいます。
初期虫歯を放置するとどう進行する?
では、初期虫歯を放置しているとどのようなことになるでしょうか? 虫歯の進行過程を紹介しましょう。
- ・CO・・・要観察。自覚症状はなく、歯に穴があく手前の状態
- ・C1・・・自覚症状はほとんどないが、歯の表面には小さな穴が開いている状態
- ・C2・・・穴が開き、痛みやしみを感じる状態。虫歯は歯の内部まで広がっている
- ・C3・・・激しい痛みがある。神経まで虫歯が進行しており、食事が難しい
- ・C4・・・歯のほとんど全てが虫歯菌に侵されており、神経が死んだ状態
C1になった時点で、歯科での治療が必要です。虫歯は進行すればするほど治療は困難になり、費用も通院期間も増えていきます。放置しても良いことはまったくなく、最終的には神経も抜き、歯はなくなってしまうと考えましょう。
初期虫歯が発見されたらすべき3つのこと
では、初期虫歯が発見されたら、何をすべきでしょうか? この状態ではまだ歯科での本格的な治療は不要ですが、できることをして虫歯の進行を食い止め、健康な歯を取り戻しましょう。
すべきことは、以下の3つです。
- ・歯科でフッ素塗布をしてもらう
- ・フッ素入り歯磨き粉を使う
- ・唾液を増やす努力をする
歯医者でフッ素塗布をしてもらう
秋田市では、子供たちには保健所からフッ素塗布の無料券が配られています。それを持って歯科へ行き、フッ素を歯に塗ってもらいましょう。
基本的には口内検査の後に清掃をして、それからフッ素塗布となります。口の中の汚れをプロの衛生士さんにしっかり取ってもらってからフッ素を塗るので、虫歯予防には有効ですよ。
フッ素入り歯磨き粉を使う
歯科で清掃・フッ素塗布をしてもらっても、自分で行うケアが十分でなければ虫歯は進行してしまいます。できることの1つには、「フッ素入り歯磨き粉を使う」ということも考えられます。
市販の歯磨き粉の中にはフッ素を配合している商品も多いです。濃度が高いものはその分効果が高まりますので、毎日の歯磨きでフッ素を歯に広げていきましょう。
注意点としては、6歳以下の子供さんに使う場合には安全のためにフッ素濃度が1000ppm以下の歯磨き粉にしてください。また、フッ素は口の中に長く残るほど効果を得られます。フッ素入り歯磨き粉で歯磨きをしたあとは、うがいの回数は最小限に抑えてくださいね。
唾液を増やす努力をする
人が口の中で出す唾液は、以下2つの働きがあります。
- ・虫歯菌が出す酸を中和する
- ・溶けた歯を修復する
唾液には歯の再石化に必要なカルシウムやリンが含まれています。これらが穴の開きかけた歯の表面を修復してくれるミネラルですね。つまり、口の中で唾液に浸っていれば、それだけで虫歯菌の活動を弱めることができます。
では、どうやって唾液を増やせばよいでしょうか? 方法は以下の通りです。
- ・食事はよく噛む
- ・ガムを噛む
- ・水分をこまめに摂る
唾液は食べ物を消化する働きがあるため、食べ物が口の中に入ると分泌され、噛めば噛むほどその量が増えます。1回食べ物を口に入れたら、噛む目安は30回です。よく噛めば胃にとっても消化がしやすくなり負担が減りますので、食事のときにはよく噛むことを意識しましょう。
そして、ガムは手っ取り早く唾液を出せるアイテムです。アゴを使えばストレス発散や緊張を解くことにも繋がりますので、ガムはおすすめです。このとき、キシリトール100%のガムを噛むようにしましょう。糖類が含まれているガムは虫歯を促進してしまいますが、キシリトールガムであればその心配はありません。
さらに、こまめに水分を摂ることも大切です。とはいえ糖類たっぷりの甘いジュースなどではなく、できれば水やノンカフェインの麦茶などにしてください。スポーツ中に喉が乾くからとスポーツドリンクを頻繁に飲むと、口の中に糖類が多くなって逆に虫歯菌が活発化してしまいます。スポーツドリンクのちびちび飲みは止め、水を飲んで塩飴を舐めるといった対応がおすすめです。
歯医者で定期健診を受けよう
自分で毎日のケアをしっかり行うことは勿論ですが、自分では口の中を隅々まで確認はできませんし、歯ブラシでは取れない歯石もあります。痛みや違和感がなくとも定期的に歯科を受診し、口内検査と清掃をしてもらいましょう。
初期虫歯はプロである歯科や歯科衛生士でも見落としてしまうことがあります。それくらい健康な歯とは見分けがつきにくいものです。しかし発見できれば早くケアができ、また健康な状態へ戻せます。その方がお金も時間もかかりませんし、痛い思いもせずに済みます。
忙しくてなかなか歯医者にいく時間がない、という方も多いでしょう。しかし将来の健康を考えたら、4カ月に1度、長くても半年に1度は歯科で定期健診を受けるようにしてくださいね。
初期虫歯は修復可能! フッ素で早めのケアを!
まだ痛みもなく穴も開いていない初期虫歯であれば、フッ素を使えば早期に修復可能です。フッ素は溶けだした歯の表面を修復し、また虫歯菌による酸に溶け出さないようにバリアを張ってくれます。歯科では定期健診を受け、フッ素塗布をしてもらいましょう。
また、自分でもできるケアがあります。毎日の歯磨きにフッ素入りの歯磨き粉を使ったり、唾液を多く出す工夫をしたりすることです。自分の歯は自分で守る、それは自分の健康を守ることに繋がります。
しっかり歯磨きをし、虫歯菌が少ない口内環境を作っていきましょう。