子どもの虫歯予防にフッ素塗布が最適な理由3つ! ルールを守って正しく使おう
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フッ素と聞けば、歯医者さんで歯に塗ってもらうものという認識が広がっていますよね。しかしどうして塗るのかについてはご存じでしょうか?
- ・フッ素塗布にはどんな意味があるの?
- ・フッ素は体によくないと聞いたけれど、大丈夫?
- ・歯医者ではどんなことをするの?
このような疑問を持つ方のために、ここではフッ素塗布が子どもの虫歯予防にどうして効果があるのかを紹介していきます。
デメリットや歯医者と自宅でできるフッ素を使ったケア方法についても説明するので、参考にしてください。
子どもの虫歯を予防するにはフッ素塗布が効果的!
子どもの虫歯を予防するためにフッ素が使われているのは、その働きが歯にとって良いからです。
ただし条件として、用法用量を守ることが必要。フッ素は自然界にある成分で、毒素と神経作用を持ちます。使いすぎると中毒を起こしたり骨硬化症といった怖い症状が起こしたりします。
日本で使われるすべての薬剤は、薬機法という法律を守らなければなりません。そのため市販されていたり歯科で使われているということは、人体に悪影響はないということ。過度に怖がらず、適切に使っていきましょう。
普段からしっかりと歯磨きをすることにプラスして、フッ素塗布を行えば高い虫歯予防効果を望めます。虫歯は自然治癒しません。自分でもできることをして、そもそも虫歯にならないように気を付けていきましょう。
なぜ虫歯予防に効果があるの? フッ素の働き3つ
虫歯予防の効果があるフッ素の働きは、以下の3つ。
- ・歯の再石灰化を促す
- ・歯の表面を強くする
- ・虫歯菌の活動を抑える
1つずつ見ていきましょう。
歯の再石灰化を促す
人間がものを食べると、口の中にいる細菌が酸を出すので口の中は酸化します。酸によって歯に含まれるカルシウムやリンといったミネラルが影響を受け、歯の表面が溶けだしてしまうのですね。しかし、通常は食べ物を口へ入れると分泌されるだ液の働きで、溶け出した成分を元に戻してくれます。これが再石灰化です。
フッ素は歯の再石灰化を助ける働きがあります。歯にフッ素を塗布していれば、だ液にフッ素イオンが混じって歯から溶け出したカルシウムがエナメル質に再吸収されやすくなり、歯の修復を促してくれます。
出来始めの初期虫歯は歯の表面だけに影響しています。フッ素による再石灰化で治療されると、元気な歯へ戻ることが可能です。
歯の表面を強くする
フッ素は歯の表面を、フルオロアパタイトという硬い構造にしてくれます。これは歯の表面にあるエナメル質とフッ素の成分が結びついて化学反応を起こすため。言ってみれば歯に硬いガード膜を作ることになり、歯表面からミネラルが溶けだしにくくなります。
虫歯菌の活動を抑える
フッ素は虫歯菌が出す酸の量を抑える働きも持っています。酸の量が減れば歯の表面が溶かされにくくなりますよね。虫歯菌の活動を抑えつつ、歯の表面を固くガードしてくれるので、虫歯予防に効果的なのです。
子どもにフッ素塗布をする理由
子どもにフッ素塗布が有効なのは、歯磨きをしっかりと行うことが難しいから。
歯磨きが好きな子どもは滅多にいません。大抵の親は子どもに歯磨きをさせることに苦労した経験があるでしょう。
口を開けて歯ブラシを入れるという行為を嫌がるのは、違和感や本能的恐怖感があるから。自分では見えない口の中を何かされるというのは、動物としては怖いものです。また、おなかをみせて寝転がったままで静止するという状態が子どもには困難。そのため、なかなかうまく歯磨きができません。
子どもの歯は大人の歯と違って非常にもろく柔らかいものです。虫歯菌が存在すれば、食べかすなどからどんどん口の中で繫殖していきます。
そのため先ほど述べたフッ素の働き3つが生きるのですね。毎日しっかり磨けるならば、極論としてはフッ素は不要です。しかしそれが難しいので、できるだけ虫歯にならないようにフッ素塗布をおすすめされます。
フッ素のデメリットとは? 実は猛毒って本当?
インターネットでフッ素について調べると「猛毒かつ神経作用があるので使うべきではない」という記述を目にするでしょう。
フッ素に毒や神経作用があることは事実です。実際にナチスではユダヤ人にフッ素入り水を飲ませて神経脆弱にさせたという記録があります。
フッ素は自然界にある元素の1つで、元素記号は「F」。ガラスやプラチナでも溶かしてしまう強力な力を持っています。
ではなぜ歯科で使われており、世界でも使用を推奨されているのでしょうか。実は歯科で使用するフッ素は他の成分と結合した「フッ化物」であり、フッ化物は人体への影響が少ないから。
歯科が使うフッ化物はフッ素を構造内に持ちますが、単体のフッ素とは違って毒性は薄いもの。使い方を誤らなければ人体に悪影響を及ぼすほどではありません。
歯科では市販のフッ素添加商品とは違い、かなり高濃度のフッ化物を塗布します。しかし用法を守る限りは人体に悪影響はでません。もちろん正しく使うことは大前提ですが、歯科はプロであり、治療においてルールや制限をしっかり守らなければなりません。過度に怖がる必要はありませんよ。
フッ素で虫歯予防をする方法【歯科編】
歯科でのやり方です。まずは歯全体の掃除を行い、歯の表面にフッ素がしみ込みやすくします。
子どもの年齢によって塗布方法は異なります。初めて歯科でケアを受けるならいくつが適期かと言えば、歯医者で自ら口を開くことができるようになる3歳が1つの目安です。
3~4歳児は綿を使って、歯科医や歯科衛生士が1本ずつ丁寧に塗布。5歳以上はマウストレーやイオン導入器を使用して一気に行うことが多いでしょう。
マウストレーは薬剤を入れたマウスをくわえ、歯の表面にしみ込ませる方法。そしてイオン導入器は専用のイオントレーに薬剤を浸して口の中へ入れ、電気を流して耐酸性をあげていく方法です。
フッ素は電気を通すとより虫歯になりにくいという性質があり、それを利用した方法ですね。
いつからいつまでフッ素塗布を行えばいいのかについては、3歳頃から中学卒業までが目安です。その後は自力で歯磨きをしっかりと行い、洗口剤なども使ってケアをしていくことがおすすめですよ。
ちなみにフッ素塗布は治療ではなく「予防歯科」になるため、健康保険は使えません。自費治療ですが、費用相場はおおむね1,000円前後です。また、頻度としては3カ月~4カ月間隔で行いましょう。定期健診の理想は4カ月間隔なので、定期健診でフッ素塗布をしてもらうことがおすすめです。
フッ素で虫歯予防をする方法【自宅編】
自宅でのケアは、市販のフッ素入り製品を使う方法があります。
フッ素入りの歯磨き粉は毎日のケアに最適。ただし子どもの年齢によって濃度と使用量が決まっています。以下の基準を参考にして、商品を選んでください。
・生後6カ月~2歳・・・フッ化ナトリウム濃度500ppmで切った爪程度の使用量
・3~5歳・・・フッ化ナトリウム濃度500ppmで5mm以下の使用量
・6~14歳・・・フッ化ナトリウム濃度1000ppmで1㎝程度の使用量
・15歳以上・・・フッ化ナトリウム濃度1000~1500ppmで2㎝程度の使用量
※商品のパッケージには必ず「フッ素〇〇ppm」といった表記があります
ジェルやスプレータイプもあります。使いやすいものを使用し、子どもの歯磨き後、仕上げ磨きのときに使ってくださいね。
このとき万が一でもフッ素の過剰摂取とならないようにするためには、子どもがケア後のつばを飲み込まないように注意が必要です。ケアのあとは唾液を吐きださせ、30分以内の飲食は避けましょう。過敏になる必要はありませんが、人体への影響を少しでも減らしたいという方は工夫してみてくださいね。
歯磨き+フッ素塗布で虫歯ゼロを目指そう
フッ素は猛毒であることは間違いないですが、正しく使えば虫歯予防に大きな効果を発揮します。歯科が使うフッ素や市販されている歯磨き粉に含まれるフッ素は「フッ化物」。使用にはルールがあり、それに従えば人体に悪影響はありません。
虫歯にならないようにするには、第一に正しい歯磨きが大切です。そのうえで効果抜群のフッ素塗布を行ってくださいね。歯磨きをおろそかにすれば、フッ素塗布をしていても細菌がいるので虫歯はできます。
疑問や不安があるときは、担当する歯科医まで相談しましょう。納得してケアに使い、子どもの歯は虫歯ゼロを目指してください。