歯茎から膿が出るときの対処法とは? 原因と治療の徹底解説
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ある日鏡を覗きこむと歯茎にできものができていて、そこから膿が出ていて驚いた、という経験をしたことがある方がいるかもしれませんね。特に痛みはなかったのに、これは何かの病気か!? とびっくりすると思います。
歯茎から膿が出ている場合、歯茎が悪いとは限りません。多くの場合、膿が出る原因は歯にあります。
この記事では歯茎から膿が出る原因やその治療法、自宅で膿が出ているのを発見したときの対処法などを紹介します。膿が出ているのであれば、何かトラブルがあるということです。迅速に歯科を受診するようにしましょう。
歯茎から膿!? 口内で膿を発見したら早めに歯科へ
歯茎になにかできもののようなものが出現し、よく見たらその穴から何かが出ている! 匂いもあるし、違和感もあって気持ち悪いなどと思った方は、できものは膿が溜まった袋であり、膿がいっぱいになったために口内に溢れてきているのだと考えてください。
口内にできたものをニキビのようなものだと考え、痛みもないから放置でいいかと「見なかったこと」にしてしまう方は珍しくありません。しかし、膿が出ている状態は間違いなく口内にトラブルが発生しているという証拠です。
放置すると、原因が何であっても基本的には必ず悪化します。予定をやりくりして、できるだけ早く歯科を受診するようにしてくださいね。
歯茎から膿が出る原因5つと治療法
では、膿が出る原因を5つと、それぞれの治療法についてみていきましょう。
- ・虫歯による根尖病巣
- ・歯周病による膿
- ・親知らずによる膿
- ・歯が割れたことによる膿
- ・歯茎の中に根が残っていることによる膿
虫歯による根尖病巣
虫歯に感染した結果、歯の神経を抜く、もしくはすでに歯の神経が死んでしまっていた場合に、歯根の先端に膿瘍ができることがあります。これを根尖病巣(こんせんびょうす)と言います。
歯の神経がないため痛みを感じないこともありますが、いきなり強い痛みや歯茎の腫れを引き起こすこともあるため注意が必要です。
できもののような見た目の膿瘍が悪化すると、歯茎に膿の出先を求めて穴を空け(フィステル)、そこから膿を排出します。病巣が大きくなると顎の骨まで破壊するため、できるだけ早く治療しなければなりません。
【治療法】
根管治療を行って内部の細菌を除去し、薬を詰めます。根尖病巣は自然治癒せず、放置すると最終的には全身に毒素が回り始めます。必ず歯科を受診しましょう。
【関連記事】根尖病巣についての記事はこちら
【根尖病巣】歯の根っこに膿が溜まる原因や症状・治療法とは?
歯周病による膿
歯周病は日本人の成人の約8割がかかるといわれている国民病です。歯を支えている骨や歯茎などの組織を破壊し、重度になると急性炎症を起こして大きく腫れ、歯茎から膿を出します。
昔は重度の歯周病で歯茎から膿が溢れ出ることを「歯槽膿漏」と呼んでいました。
【治療法】
歯周ポケットに入り込んだ歯垢、歯石の除去をし、口内全体の環境改善を行います。必要であれば、歯茎を切開して膿を出すこともあります。
親知らずによる膿
親知らずは最後に生える奥歯のこと。すでに奥歯が生える隙間がなく、真っ直ぐに生えることが少ない歯で、そのためにさまざまなトラブルを引き起こしがちです。
歯茎と親知らずの間に食べかすがたまりやすく、それが原因で炎症を起こして化膿、膿が出てきます。
【治療法】
抗生物質を服用して炎症を押さえ、その後多くの場合、親知らずを抜歯します。
歯が割れたことによる膿
神経を抜いた歯はもろくなるため、割れやすくもなります。また通常の歯でも、スポーツでの外傷や強い噛み締めによってヒビが入る可能性も多いもの。歯の根に亀裂が入ったり真っ二つに割れたりすると、その部分から細菌に感染して炎症が起こります。その結果、膿が出ることもあります。
【治療法】
歯の割れ目を塞げれば膿の出現を止められるため、根の中からセメントで塞ぎます。歯が割れた部分によっては抜歯をし、亀裂を塞いだ歯をもう一度戻す再植法という治療を行うこともあります。
歯茎の中に根が残っていることによる膿
乳歯がいつまでも歯茎の中に残っていたり、虫歯治療をした歯の根が残っていたりする場合、稀に膿が溜まって溢れ出るケースもあります。多くの場合、歯茎の中に残っている根のほとんどは自然に吸収されるか歯茎から排出されますが、たまに残ってしまった根が細菌感染を起こし、膿を出すのですね。
【治療法】
残っている根や歯の破片を除去し、周囲の膿ごと取り除くことできれいに洗浄します。
歯茎から膿が出たときの自宅での対処法3つとやってはいけないこと
口内に膿を見つけたら、歯科の予約を取って診察を受けましょう。しかし事情があってすぐに歯科へ行けないというとき、自宅ではどのように対処すればいいでしょうか。
ここではその対処法と、同時にやってはいけないことを紹介します。
膿が出たときの対処法
歯茎からの膿を確認したときは、以下の3つで応急処置をしましょう。
- ・清潔にする
- ・鎮痛剤を利用する
- ・患部を冷やす
清潔にする
膿が出ている箇所は清潔ではありません。そのため、まずは口内を清潔にすることが大切です。口内清掃の基本は毎日の歯磨きです。食事ごとにきちんと歯を磨き、できる限り口の中を清潔にしましょう。ただしその際、傷口をごしごし磨かないようにしてください。
残念ながら、歯磨きだけでは全体の汚れの6割程度しかきれいにできないと言われています。汚れがつき、溜まりやすいのは歯間や歯と歯茎の境目です。歯間ブラシやデンタルフロスなどを使用して、歯と歯の間もきれいに磨くようにしましょう。
マウスウォッシュの使用もおすすめですが、歯茎に刺激を与えないようにノンアルコールのものを使ってくださいね。
鎮痛剤を利用する
膿が出ている箇所が腫れているなど、痛みがあるときには痛み止めを利用しましょう。市販で売っている鎮痛剤でOKです。
痛みが気になると舌で触ってしまう可能性があります。触れると症状が悪化するリスクがあるため、触らないように気を付けながら痛み止めを飲んでください。
患部を冷やす
患部が腫れて熱を持っている場合には、冷やすと症状が和らぐことがあります。ただし、氷を患部に当てるなど強く冷やすことはやめましょう。冷たくなりすぎると、返って症状を悪化させる場合もあるからです。
膿が出たときにやってはいけないこと
口内から膿が出たときは、次の2つはやらないように注意してください。
- ・無理に膿を出す
- ・血行がよくなる行為を避ける
無理に膿を出す
歯茎から膿が出ているのを見たら、口の外に出したくなりますよね。気持ちはわかりますが、ニキビのように押して膿を無理やり出したりしないようにしましょう。
手で触れると傷口が広がる恐れがあるほか、さらに細菌感染を起こして悪化させる可能性があります。口の中に膿が溜まるのは不快感があると思いますが、いじらないように意識してくださいね。
血行がよくなる行為を避ける
血行がよくなると、腫れがひどくなったり痛みが強くなったりします。そのため、入浴や激しい運動、飲酒などは控えるようにしてください。短時間でシャワーを浴び、できるだけ安静にして過ごしましょう。
歯茎から膿が出るのはトラブルのサイン! 早めに対処しよう
歯茎から膿が出るということは、何かが異常状態であるということです。たとえ痛みがなかったとしても、健康な状態の歯茎からは膿が出ることはないと理解し、早めに歯科を受診することが大切です。
原因によっては迅速に対応しなければ歯を失ったり、全身の健康に悪影響を及ぼすこともあります。時間を作り、歯科へ行くようにしてくださいね。