歯がなくても生きていける? 歯がないことによって起こるリスク
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歯でしっかり物を噛むことで、人は全身の健康に良い影響を与えています。そのため、虫歯や歯周病、外的衝撃などによって歯を失ってしまった場合、できる限り早く代わりの何かを用意し、機能を復活させなければなりません。
では、歯がなくなってしまったら、人はすぐに命に関わるのでしょうか? それとも全身の健康に悪影響があっても、生きてはいけるのでしょうか?
今回はそんな疑問に答えていきます。歯がなくても生きていけるかどうか、また歯がないことによるさまざまな悪影響や、その発生理由について紹介しましょう。
歯がなくても生きてはいける! ただしさまざまなリスクを抱えることになる
結論から言うと、歯をすべて失ったとしてもすぐに命に関わるわけではありません。
たとえば100歳を超えた双子として有名だった「きんさん・ぎんさん」のうちお姉さんのきんさんは歯が一本も残っていませんでしたが、元気で長生きをしてらっしゃいました。とは言え、それはご本人たちの生活習慣や元々の体質が大きく影響しています。
一般的には、歯をなくし噛む機能が失われると、さまざまな不具合が連続して起きます。それがやがて全身へ影響し、大きな病気につながってしまうこともあるのです。
つまり、歯がなくても生きてはいけますが、多くの場合は健康体で生きられません。誰でも痛みや重さなど、体のつらい症状は避けたいですよね。
そのため、歯を失ってしまったらすぐに代わりの歯を手に入れるべきです。早めに噛む機能を回復させ、悪影響を最小限にしてくださいね。
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歯がないと起こる早い時期の悪影響6つ
では、歯がないとどのような悪影響があるのでしょうか。歯を失ってから短期間で起こる悪影響を6つは以下の通りです。
- ・噛み合わせが悪くなる
- ・歯が傾いたり伸びたりする
- ・歯並びが乱れる
- ・顔の輪郭が変わる
- ・顔にシワやたるみが出る
- ・発音がしづらくなる
歯をなくしてすぐに出てくるのは、主に首から上の部分への影響です。
歯は周辺の歯と間隔なく生えることで支え合っています。そのため1本でもなくなると、隣の歯が少しずつ移動したり傾いたりするのですね。その結果、噛み合わせや歯並びが悪くなってしまいます。
噛み合わせや歯並びは見た目にとても影響するもの。たとえば左右の両方で同じ程度の力で噛めないとなると、顔の輪郭が変化したりシワやたるみが出てきたりします。
また、歯がない部分から音が抜けてしまうため、発音にも影響するでしょう。
歯がないと起こる全身への悪影響7つとその理由
そして、続いて悪影響が出てくるのは顔の中だけでなく全身です。
たとえば以下7つのような可能性があります。
- ・認知症のリスクが高まる
- ・肥満や糖尿病になりやすくなる
- ・転倒しやすくなる
- ・脳血管疾患のリスクが高まる
- ・胃腸への負担が増え
- ・免疫力が低下する
- ・睡眠リスクが増える
認知症のリスクが高まる
歯がなくて咀嚼が正しくできないと、認知症のリスクが高まります。
実のところ、認知症が発症する原因は解明されていません。しかし残っている歯の本数と認知症の発症率が関係していることは、調査結果からわかっています。
愛知県知多半島の65歳以上の住民を3〜4年間追跡した研究からわかったのは、以下のことです。
・歯がなく咀嚼機能を回復させていない人は、自分の歯が20本以上残っている人に比べて認知症が発症するリスクが約1.9倍高まる
・あまり噛めない人は何でも噛める人に比べ、認知症発症のリスクが1,5倍アップする
人はよく噛めないと脳への血液量や刺激が減ります。なんと、大脳皮質の感覚野という部分への刺激の3分の1が、口とその周辺から発する刺激によるものなのです。
歯があり咀嚼もしっかりとできれば、脳への血液量と刺激が守られるのは間違いありません。
肥満や糖尿病になりやすくなる
よく噛むことで、人は満腹感を得られます。それは咀嚼すれば満腹中枢が刺激されるからですね。
さらに咀嚼することで食欲を増進するホルモン「グレリン」の分泌が抑制され、食欲コントロールが可能になります。
つまり、噛む機能がしっかりあれば「食べ過ぎを防止しやすい」わけです。このことから、失っている歯の数が多ければ多いほど咀嚼回数が減り、肥満になりやすいと考えられます。
また、食べ物をあまり噛まずに飲み込んでしまう「早食い」では、食後の血糖値が上昇しやすくなります。食べるスピードに対して体が分泌するインスリンが間に合わなくなるからですね。
血糖値が上昇しやすい人は、糖尿病にもなりやすいのです。
転倒しやすくなる
歯がないと口周辺の筋肉の付き方が変わるため、顎の位置がどんどん悪くなります。その結果、全身のバランスまで変化。なんと歯がない人は歯がある人に比べ、転倒リスクが約2.5倍になることがわかっています。
脳血管疾患のリスクが高まる
脳血管疾患とは脳の動脈に起こった異常によって発症する病気の総称のこと。たとえば、脳梗塞やくも膜下出血などの脳卒中です。
これらは命に係わる疾患であり、介護の原因ともなります。
脳血管疾患の原因はさまざまなものがあるのですが、直接の原因としては高血糖や脂質異常、高血圧など。これらの原因は、食生活と大きな関係があるのですね。
前述したように、歯がないと咀嚼が甘くなりよく噛めません。すると食べ過ぎを防ぎやすくなります。そして食べ過ぎが、高血糖や脂質異常を引き起こす原因となるのです。
胃腸への負担が増える
しっかりと噛めないと、胃腸へ大きな負担がかかります。
咀嚼の目的は食べたものを細かく砕いて消化吸収しやすくすること。さらに噛むことで唾液の分泌が促進され、唾液によって食品の刺激が弱まります。
また、唾液には消化酵素も含まれており、でんぷんを分解して消化されやすいアミラーゼに変えています。これらの結果、胃や大腸にかかる負担が減っているのです。
免疫力が低下する
歯をなくすことで口周辺の筋肉が衰えるため、それに伴ってリンパの流れが悪くなり、免疫力が低下します。
歯がないままでいると、歯槽骨と呼ばれる顎の骨が少しずつ減少します。これにより口周辺の筋力が低下し、舌骨の位置も下がってしまうことに。すると下顎の周辺にあるリンパ節のリンパの流れが悪化します。
リンパは筋肉が収縮したり緩んだりすることで流れるのですね。
免疫力が低下すれば、ちょっとした風邪などにもかかりやすくなるうえ、病気からの回復も遅れるでしょう。
睡眠リスクが増える
高齢者は、睡眠時間が短いのも長いのも問題で、どちらも健康に悪影響を及ぼすことが知られています。
東北大学が2018年に行った研究で発表したのは、歯がない高齢者は短時間・長時間睡眠になるリスクが高いこと。歯が0本の人は、短時間睡眠のリスクが1.4倍、長時間睡眠のリスクが1.8倍になります。
これは歯がないことによって下顎が上方回転するため、気道が狭くなって睡眠中の呼吸がしにくくなるから。より多くの歯を残すことで、適切な睡眠時間を維持しやすくなります。
歯がなくならないようにするためにできること
以下は、歯をなくさないために自分ができることです。まだ歯があるうちから意識していきましょう。
- ・歯磨きは丁寧かつ確実に行う
- ・歯科の定期健診を受ける
- ・歯を失ったら早めに対処する
歯磨きは丁寧かつ確実に行う
何よりも大切なのは、毎日の歯の清掃です。
歯磨きがしっかりできていれば、虫歯や歯周病などのトラブルによって歯を失うことはありません。
毎食後には丁寧に歯ブラシで歯の表面と歯肉の境目を磨き、歯間ブラシやデンタルフロスを使って歯間も掃除しましょう。
歯科の定期健診を受ける
歯科の定期健診を受け、プロによる清掃と口内のチェックをしてもらいましょう。
歯垢が歯石になってしまっていれば、それは歯ブラシでは取れません。歯科で専用の器具を使い、除去してもらう必要があります。
なお、定期健診を受ける最適な期間は3〜4ヶ月に1回です。忙しい人でも最低半年に1回は受けるようにすれば、口内トラブルは激減しますよ。
歯を失ったら早めに対処する
虫歯や歯周病だけでなく、外的な衝撃によって歯を失うこともあるでしょう。どちらにせよ、歯を失ったらできるだけ早目に歯の代わりになるもので咀嚼機能を復活させましょう。
方法としては、差し歯やブリッジ、インプラントなどがあります。
特徴や費用がそれぞれ違うため、まずは歯科で相談してくださいね。
歯がなくても生きてはいけるが健康を損なう可能性が高い
歯がなくても「生きるだけ」ならできるでしょう。しかしさまざまな病気になるリスクが跳ね上がるうえ、見た目の変化や痛みなどがありつらい状態になるはずです。
歯を失ったら、歯科で治療を受けて咀嚼機能を回復することが大切。それが全身の健康に良い影響を与えますよ。