歯の神経を取るとは? メリット・デメリットや治療の流れを紹介!
この度の新型コロナウィルスに罹患された方々、並びに感染拡大による影響を受けている方々に、心よりお見舞い申し上げます。当院では患者さまとスタッフの安全確保を実施しています。
<当院の感染拡大防止について>
- 手洗い・アルコール消毒・うがいの徹底
- ドアの開放、空調を強めに設定する 等、定期的に室内換気を行っております
- 次亜塩素酸水を使用し、空間除菌を行っております
- 感染リスクの高い来院者さまへの受診の自粛のご依頼、又はご予約日の変更のお願いをしております
ご理解とご協力賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
お口のトラブルが悪化すると、歯の神経を抜かなくてはならないことがあります。そのような状態だと既に、痛みで眠れないレベルでしょうから「痛くなくなるならすぐに抜いて欲しい!」と喜ぶ方もいるかもしれません。
しかし、歯の神経を取るということは、決して好ましいことではありません。
- ・歯の神経を抜くのは大丈夫?
- ・治療の流れは?
- ・治療後の痛みはある?
そんな疑問と不安を持つ方のために、ここでは歯の神経とその役割について、また、神経を取るメリット・デメリットや治療の流れなどを紹介していきます。
歯にとっての一大事!歯の神経を取るのは最終手段
「歯医者さんで神経を抜いても、歯が残るならOKでしょ?」そう気軽に思っている方は、この機会に考えを改めましょう。
歯の神経を取ってしまうと、その歯の寿命はとても短くなってしまいます。歯がダメになると最終的には抜歯となり、インプラントや入れ歯といった対応にならざるを得ません。
神経は「歯の生命線」と呼ばれています。神経があるかないかでは、歯の状態に大きな差があるのです。「1本でも多く自分の歯を残そう」と考えて歯科医は治療をします。歯を失わないためにはまず、神経を守ることが大切。神経を取る治療は、あくまでも最終手段なのです。
歯の神経とは?どんな役割がある?
人間の体には神経が張り巡らされていて、痛みや異常などを知らせてくれますよね。歯にも神経が通っていて、それは「歯髄」と呼ばれています。
歯は、外側から順番に「表面のエナメル質」、「柔らかめの象牙質」そして「歯髄」という順番で構成されています。歯髄は歯の中心部にあり、歯髄の中に神経と血管が入っています。
歯髄の役割は水分や栄養を歯に運ぶこと、そして歯の異常を通知してくれることです。
食事のとき、歯には咀嚼ごとに50kgから60kg程度の力が加わっています。歯がその重さに耐えられるのは、神経の中にある血管が水分と栄養素を補給してくれるから。健康な歯は中身がしっかりしており、歯を嚙合わせるときにかかる大きな力に耐えられるのですね。
しかし、神経を抜いてしまうと栄養素が歯に回らず、歯はもろくなって噛んだときの力に耐え切れなくなります。
そして、虫歯や知覚過敏など、異常を脳へ知らせてくれるのも神経です。人間は痛みを感じるから悪いところを発見でき、治療をして健康を維持できます。神経が細菌の侵入を痛みによって知らせ、歯の健康を守っているのです。
歯の神経を取るメリット・デメリットは?
では、歯の神経を取る具体的なメリットやデメリットにはどんなものがあるでしょうか? あらかじめ、自分でもどのようないいこと・悪いことがあるかは知っておいてください。
メリット2つ
まずはメリットから紹介しましょう。以下の2つです。
- ・痛みや沁みがなくなる
- ・病気の進行をストップできる
1.痛みや沁みがなくなる
神経まで虫歯が進行している状態であれば、寝ても覚めても歯が痛いという状態でしょう。何かを噛んだとき、アゴをかみ合わせたとき、熱いものや冷たいものが歯に触れたときに感じる強烈な痛みは、治療で解消されます。
2.病気の進行をストップできる
神経があるところは、歯の内部への通路も兼ねています。そのため、神経まで虫歯の細菌に侵されていると、歯の骨まで感染が進行してしまう場合があります。
神経を取ったあとの内部はきれいに消毒し、薬剤を詰めて上から蓋をします。この治療でそれ以上奥に細菌が侵食することを食い止められます。
デメリット5つ
神経を取ることについては、デメリットの方が多いですね。以下の5つがその内容です。
- ・歯がもろくなる
- ・歯が変色する
- ・痛みのリスクは残る
- ・治療が長引きお金がかかる
- ・虫歯に気付きにくくなる
1.歯がもろくなる
前述したように、歯髄の中には神経と血管が通っています。ここから水分や栄養素を補給し、歯は頑丈さを保つのですね。それが断たれるので、栄養不足になり割れやすくなってしまいます。
2.歯が変色する
見た目にも影響があります。神経を取ると血管もなくなり、歯の中で血液が循環しません。その結果、歯のコラーゲンが変色して褐色が目立つようになります。
3.痛みのリスクは残る
切り取った神経の一部が歯の中に残ってしまうケースがあり、この場合は触れると痛みがあります。また、きれいに取っていても一生涯痛みを感じなくなるわけではありません。神経を取ったあとの空間が細菌に感染してしまうと、数年が経過してから痛みや腫れが出てくる場合もあります。
4.治療が長引きお金がかかる
神経を取る治療は非常に細かい作業が続くため、治療期間がどうしても長くなります。一般的な虫歯の治療期間の倍ほどかかることも珍しくないうえに、元の歯にできるだけ近づけるため、費用もたくさんかかってきます。
5.虫歯に気付きにくくなる
一度神経を抜いてしまった歯が、二度と虫歯にならないわけではありません。変化を感じる神経がないため、痛みという警告を出せず虫歯に気付きにくくなります。
気付かないうちに虫歯はどんどん悪化していきます。その度に治療も難しく、より長い期間とお金が必要になります。
歯の神経を取る治療の流れ
歯の神経を取ることが決まったら、治療は以下のような流れで進んでいきます。
- 虫歯部分を削る
- 神経や根管壁を取る
- 根管を大きくする
- 歯根の長さを図る
- 根の清掃と消毒をする
- 歯の土台を入れる
簡単にいうと、虫歯を削って汚染された神経やその周辺を取り除き、開いた穴の中をきれいにして薬を詰め込む、です。難しく時間がかかるのは、神経や根管壁を取る作業です。歯によって根管の数が違うため、多ければ多いほど作業に時間がかかります。歯根を傷つけないように細心の注意を払いつつ、すべての根管の感染物をなくさなくてはなりません。
神経を取ったあとにある痛みは?
神経を取ったあとで耐え難い痛みがあった、という方もいるでしょう。治療後の痛みにはさまざまな原因がありますが、多くは一時的なものです。
虫歯の細菌による痛みは神経を取ることでなくなります。しかし治療過程で歯の中に走行している神経を引きちぎるようにすることから、その断面があとから痛む場合があります。
また、歯茎など周辺の組織が炎症を起こしている場合にも痛みはあるでしょう。
一時的なこれらの痛みの多くは、2,3日で消えていきます。治療後に出された薬は必ずきっちりと飲むようにしてくださいね。
なお、根管が曲がっていたり枝分かれをしている場合など、最後まで感染物が取れない場合もあります。そのケースでは、根管治療を何度も繰り返しての対応が必要になります。
歯の神経を取らないためにすべきこと
耐え難い痛みがある場合、デメリットの方が多くても神経を取って痛みをなくす治療をします。しかし神経を取らない方が良いことは間違いありません。
神経を取らずに済むようにできること、今すべきことは以下の2つです。
- ・セルフケアをしっかりと行う
- ・定期的に歯科検診を受ける
セルフケアをしっかりと行う
何よりもまず、日頃の歯磨きでしっかりと汚れを取ることが大切です。歯の汚れから虫歯菌が増殖し、歯を削ってどんどん奥へと侵入していきます。汚れをきっちりとなくせていれば、虫歯で悩むこと、神経を取るはめになることはありません。
歯磨きでのポイントは以下の3つです。
- ・力技でごしごしと磨かない
- ・歯茎との境目をしっかり磨く
- ・歯間ブラシやフロスを使い隙間の汚れも取る
夜の歯磨き後、眠る前にはマウスウォッシュなどを使って寝ている間の口内を清潔に保つのもおすすめですよ。
定期的に歯科検診を受ける
どれだけしっかり磨いていても、やはり取れない汚れや歯石はあるものです。そのため、定期的に歯科検診を受けてプロによる清掃を受けましょう。
できれば3カ月から半年に一度は、歯医者で検診を受けてください。そうすれば口の中のトラブルも早期発見・早期治療ができますよ。
歯の神経を取るのは最終手段! 違和感があればすぐに歯科へ
歯にとって、最も良い状態は神経があることです。神経は歯に栄養を送って丈夫にし、寿命をのばす役割があります。できるだけ神経を取らずに済むように、普段からお口の清掃はしっかりとやっていきましょう。
ここでは、歯の神経を取るメリット・デメリットや治療の流れを紹介しました。仕方なく神経を取ることになったときには時間を都合して治療を最後まで済ませ、出されたお薬はきちんと飲むようにしてくださいね。