原因不明の歯痛! 歯が悪くなくても痛みが起こる?
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ご理解とご協力賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
「歯が痛いなあ」と感じるとき、最も多いのは歯そのものに原因がある場合。虫歯や知覚過敏などですね。しかし稀に、歯は悪くないのに痛みが止まらないというケースがあります。
実は歯痛の原因には、さまざまな病気があります。原因が歯ではない場合、歯科で治療を受けても症状は改善されません。中には大病が隠れていることもあるため、できるだけ我慢して歯科へ駆け込むようなことはしない方が懸命です。
ここでは複数の原因やチェック項目、とりあえずできる対処法などを順番に紹介します。
痛みに対しできるだけ早めの対応がとれるように、しっかり確認していきましょう。
歯痛の原因は歯とは限らない!? 早めの対処が大切
歯に痛みがあれば、通常は歯医者に行きますよね。しかし痛みの治療へ来る人の中で、約3%は他に原因があります。なんと歯とは直接関係ないものが歯痛を引き起こしているケースもあるのです。
もしも歯に痛みを発する原因がなかった場合、根本的な原因に対処しない限り痛みはずっと続いていくでしょう。
歯が痛いと主張すれば歯科医はその歯を治療してくれますが、原因が他にあれば削る必要のなかった歯を削ることになります。歯は一度削ると二度と元には戻りませんし、二次カリエスなど虫歯の再発が起こりやすくなるのですね。そのため、将来のことを考えても不要な治療はよくありません。
触らなくていい歯を守るため、しっかりと痛みに対処するためには、他にも歯痛の原因があることを知っておきましょう。
これかなと思われる原因があれば、早めの対処が必要です。痛みは放置していると大きな病気につながるケースもあるので、注意してくださいね。
歯痛の原因・歯がトラブルのケース3つ
歯科で解決できる歯の痛み、代表的な原因は次の3つです。
- ・虫歯
- ・知覚過敏
- ・歯の破折
歯痛の最も多い原因は虫歯です。口の中にいる細菌が食べかすなどを栄養として繁殖し、歯を削って侵入するポピュラーな口の中のトラブル。細菌が歯の神経まで達すると、夜も眠れないほどの痛みに常時襲われます。
知覚過敏は歯の表面にあるエナメル質が何らかの原因で剥げ落ち、刺激に反応してしまう痛み。冷たいものや温かいものを口に入れたときなど、ピリッとした痛みが瞬間的に走ります。
歯の破折は歯そのものが折れてしまうこと。これも神経が反応し、怪我としての痛みがあります。
以上の3つについては歯科治療で改善可能です。虫歯や破折は自然治癒することはありませんので、気づいたらすぐに歯科を予約しましょう。
歯痛の原因・歯以外がトラブルのケース6つ
原因が歯(歯茎・歯髄を含む)ではない痛みのことを「非歯原性歯痛」もしくは「非定型歯痛」と呼びます。
考えられることは次の6つです。
- ・顎などの筋肉
- ・頭痛
- ・神経痛
- ・副鼻腔炎
- ・心疾患
- ・精神疾患など
歯痛原因①顎などの筋肉
顎を動かす筋肉が痛んでいる状態で、本人がそれを歯痛だと認識してしまうケースです。
たとえば歯ぎしりや食いしばりなど日常的に顎周辺の筋肉に大きな負担がかかっている場合、筋肉が支えられずに疲労して痛みを発生させます。
このケースでは、口のストレッチや顎周辺部分のマッサージなどが効果的。顔の下半分の筋肉をよく動かし、血流をよくする必要があります。
またひどい食いしばりなどの場合には、歯科でマウスピースを作ってもらうと症状が緩和されますよ。
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歯痛原因②頭痛
頭痛が原因の場合、特徴は何時間か継続して痛んだあとに突然すっと消えること。歯に痛みが出る理由は神経や血管へ負荷がかかっているからです。これを神経血管性歯痛と呼びます。
普段から頭痛に悩まされているという方は、神経血管性歯痛を疑ってみましょう。
歯痛原因③神経痛
顔の神経に発生した障害が理由で歯が痛くなるケースです。神経障害性歯痛と呼ばれ、タイプが2つあります。
1、持続性神経痛
帯状疱疹ウィルスによる感染症の一種。急性期と慢性期があり、痛みはジリジリと表現されます。左右の神経に沿ってどちらか一方の歯列が痛くなります。
2、発作性神経痛
知覚・味覚を司る舌咽神経や頭部分の神経を司る三又神経が痛みの原因です。激しい痛みが生じる箇所は上の前歯から2つ隣にある歯や、下の奥歯あたり。
発作性神経痛はペインクリニックなどでの受診が必要な症状です。歯科で口内にトラブルがないとわかったら、ペインクリニックに相談してみましょう。
歯痛原因④副鼻腔炎
副鼻腔炎は鼻の穴の先にある細かい空洞に鼻汁が広がり、細菌によって炎症が起こる病気。上顎の奥部分が圧迫を受けたように感じ、患者本人は歯が痛んでいるのだと考えます。
鼻が詰まっている、熱っぽい、体を動かしたら歯に響くというようなときは耳鼻咽喉科へ行きましょう。
歯痛原因⑤心疾患
心筋梗塞や狭心症などによって歯が痛むケースです。この場合、歯科で麻酔をしても痛みが消えません。
胸の圧迫感と連動して強い痛みが左右の歯に出た場合には、できるだけ早く循環器内科などを受診してください。
歯痛原因⑥精神疾患など
うつ病や統合失調症などで歯が痛むことがあります。歯の痛みが左右両方に出る・長く続く・痛みが広がるといったことが、気分の落ち込みなどに影響しているようであれば可能性を疑いましょう。
また薬の副作用による歯痛もあるため、担当医師への相談をおすすめします。
それ以外で原因不明のケース
上の6つ以外で特に病気があるわけでもないと判断された場合、「特発性歯痛」という原因不明の痛みとされます。
長期間痛みがジンジンと続いているケースの多くが当てはまり、ペインクリニックでの治療が必要です。
また、悪性リンパ腫や脳腫瘍、側頭動脈炎などの他に、頚椎椎間板ヘルニアなどの病気でも歯が痛くなるケースがあります。大きな病気が隠れている可能性も知っておいてくださいね。
歯が原因ではない歯痛の特徴! こんな症状があれば非歯原性歯痛を疑おう
以下のような症状が当てはまるとき、それは歯が原因の痛みではないケースが多くなります。まずは項目をチェックしてみましょう。
- ・歯とその周辺、顔が痛いこともある
- ・歯科で痛みを感じる箇所に虫歯はないと言われた
- ・痛みが強いもしくはとても激しく痛むときもある
- ・一時的ではなく長期間にわたって痛む
- ・冷たい水などではしみない
- ・歯科で治療が済んでも痛みが引かない
- ・麻酔が効かない
- ・歯科での治療後、痛みが悪化した
- ・一度なくなったが痛みが再発した
項目が当てはまれば当てはまるほど、他に原因をもつ痛みである可能性が高まります。
原因不明の歯痛がつらいときの対処方法3つ
つらい痛みをなんとかしたいと思うけれど、すぐには病院へいけないという場合もあるでしょう。
そのときにとにかく今の痛みを緩和したいという方は、「鎮痛剤を使う」と「痛む場所を冷やす」ことが有効です。
何らかの炎症が起きていれば冷やすと痛みは緩和されますし、神経などによる痛みであれば市販の鎮痛剤でしばらくは緩和できるでしょう。
ただし、やはり早めに病院を受診することが必要です。
その場合にはまず歯科へ行きましょう。歯科医による検査で歯にトラブルがあれば、治療します。
診察を受けて歯や歯周辺にはこれといった異常が見当たらないのであれば、違う専門病院の受診をすすめられます。
原因がはっきりしない痛みに関係することが多いのは、次の病院。
- ・耳鼻咽喉科
- ・口腔外科
- ・循環器科
- ・精神科
- ・ペインクリニック
ストレスが多い方や気分に落ち込みが見られる方は、精神科も受診してくださいね。いずれの場合にも痛みの根本に対応しないと苦しみはいつまでもなくならず、長引く可能性が高くなります。
原因はさまざま! 早めの病院受診で痛みの悪化を阻止しよう
歯の痛みは虫歯! そう思いがちですが、実際には歯が原因ではない痛みもさまざまなものがあります。
歯科で歯のトラブルはないと判断された場合、別に大きな病気が隠れていることも。歯の痛みは歯科に行けばなんとかなると考えるのではなく、他の病気の可能性も考慮に入れできるだけ早く病院を受診しましょう。
歯科の定期健診を受けていれば、日ごろから状態が怪しい歯や食いしばり・歯ぎしりなどの癖を歯科医が把握しています。そのため痛みの原因になりそうな他の病気も発見しやすくなるので、1年に2回は歯科の定期健診を受けるようにしてくださいね。