噛みしめ症候群とは? そのトラブルは虫歯や歯周病ではないかも?
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歯が痛い、冷たいものがしみると思って歯科へ行っても、歯そのものには原因がないことがあります。自覚症状がはっきりと出ているにも関わらず「歯は悪くない」となれば、どういうこと? と困ってしまいますよね。それは、噛みしめ症候群かもしれませんよ。
歯痛とともに肩こりや頭痛などもひどいとか、姿勢が悪いと指摘されることがある方は、一度噛みしめ症候群を疑ってみましょう。
ここでは噛みしめ症候群とは何か、どんな不快な症状を引き起こすのか、その原因や治療方法などを順番に紹介していきます。
歯が原因ではない口の中のトラブルは噛みしめ症候群が疑われます!
噛みしめ症候群は、強い力で歯を噛みしめることで引き起こされるさまざまな不快症状を言います。痛みがあるのに虫歯でもないし、歯垢もたまっていないと歯医者に言われる場合、痛みの原因は歯ではありません。また、口内炎が頻繁にできるとか、被せ物や詰め物がよく取れるといった方も噛みしめ症候群である可能性が大。
噛みしめ症候群は口の中や口周辺のトラブルだけでなく、全身にも不快な症状を引き起こします。放置していると口内がボロボロになるばかりか、顔が歪んだり頭痛が収まらなくなったりすることも。まずは歯科で相談し、ちゃんとした対策を始めましょう。歯科での治療と自宅でのケアをしていくうちに「あれも治った」「これも治った」という感動を味わう方もいますよ。
噛みしめ症候群(TMD)とは?
噛みしめ症候群とは、過剰な噛み合わせによるさまざまな症状のこと。「食いしばり症候群」や「クレンチング症候群」ともいわれます。
TMDはTemporo Mandibular Disordersの略。日本語では「側頭下顎部障害」です。これを簡単に言うと、顎周辺の障害ですね。顎を大きくあけるとカクカク音が鳴ったり、顎が痛くて大きく口を開けられない「顎関節症」もこれにあたります。
噛みしめ・食いしばりを過剰に行うことで、口の中や顎・顎周辺に異常をきたします。その結果、さまざまな不快症状があらゆるところに出てくるのです。噛みしめ症候群=側頭下顎部障害(TMD)ではありませんが、噛みしめ症候群は側頭下顎部障害の原因の1つではあるため同一視されることがあります。
では、噛みしめ症候群の原因や具体的なトラブルの中味、噛みしめ症候群かどうかのテストなどを紹介していきましょう。
噛みしめ症候群の原因は?
過剰に歯を噛み合わせてしまう噛みしめ症候群の原因は、「精神的要因」と「物理的要因」が考えられます。
精神的要因とは、ストレスや緊張です。さまざまな原因によってストレスが発生し交感神経が優位になると、顎の筋肉が過度に緊張して無意識に奥歯を噛みしめてしまいます。人は噛みしめることでストレスを発散しているので、無意識に行うのですね。
物理的要因では、かみ合わせの悪さや姿勢の悪さが挙げられます。現代ではスマートフォンやパソコンの長時間の使用により、猫背やストレートネックになる方が増えていますよね。姿勢が悪いと血流が悪くなり、頭を支えている首に負担がかかって凝り固まります。また、姿勢の悪さによって頭が本来の場所からずれ落ちるため、自然に奥歯が接触。そこに精神的要因のストレスが加わり、噛みしめてしまうのです。
噛みしめ症候群によって起こる具体的なトラブルは?
人は通常、歯を食いしばっているときには歯に200kgもの大きな負荷がかかります。歯は人間の体内で最も固いものですが、頻繁に200kgの力がかかっていれば当然何らかの異常が起きるでしょう。以下は、噛みしめ症候群によって引き起こされる不快症状の、具体的な内容です。
- ・歯痛
- ・知覚過敏
- ・歯の詰め物や被せ物が取れたり欠けたりする
- ・入れ歯が痛い
- ・頭痛
- ・首や肩のひどい凝り
- ・表情筋への影響
虫歯や歯周病でもないのに歯が痛かったり、熱いものや冷たいものに歯がしみる、詰め物などがよく取れるといった場合は噛みしめ症候群が疑われます。少し前までは原因不明の諸症状とされ、痛むのならと健康な歯を削る間違った治療も行われていました。
また、噛みしめているときには肩から頭までの緊張がひどいため、もろもろの筋肉が凝り固まります。整体へいっても肩こりが改善しないのは、噛みしめ症候群だからかもしれません。
女性にとって、顔のたるみやほうれい線の出現は悪夢ですよね。これも噛みしめ症候群が原因であるケースが多いです。噛みしめによって顎周辺の筋肉が盛り上がってしまい、大顔に見えてしまうこともありますよ。
噛みしめ症候群がどうかをテストしてみよう
噛みしめ症候群のテストをしてみましょう。
1、歯を噛み合わせる
2、そのまま10秒間、ぐーっと食いしばる
異常のない人であれば、噛みしめを10秒間は行えません。途中で痛みやだるさが出て、噛みしめていられないのですね。ところが噛みしめ症候群の人は平気でできてしまいます。10秒間強く噛みしめても大丈夫だった方は普段から歯を噛みしめている可能性が高いので、治療が必要です。
噛みしめ症候群の治療方法:歯科編
では噛みしめ症候群はどのような治療をするでしょうか。まずは口内や口周辺のプロ、歯科での治療方法です。
- ・マウスピースを作る
- ・嚙み合わせを調整する
マウスピースを作る
起きている間は自分で気を付けていればある程度噛みしめは防げますが、寝ている間はそうもいきません。睡眠中の過度な噛みしめを防ぐためには、マウスピースを活用しましょう。
歯科で歯の型を取り、自分専用のマウスピースを作ってもらいます。これをはめれば顎が開き、奥歯を噛みしめる力が軽減されます。マウスピースによって力が分散され、歯や歯茎、顎にかかるダメージを減らしていけるのですね。
費用は保険適用であれば5,000円程度。市販のマウスピースは顎関節症や噛みしめを悪化させてしまう可能性が高いので、必ず歯科でオーダーメイドするようにしてください。
噛み合わせを調節する
成長につれて歯が大きくなり、歯並びや噛み合わせが悪くなって噛みしめを悪化させているケースもあります。そんな場合には噛み合わせを調節してもらうことで改善するでしょう。
噛みしめ症候群の治療方法:自己編
噛みしめ症候群の原因である精神的要因や物理的要因は、自分で何とかできるケースもあります。たとえば姿勢の悪さやストレス過多、それらは自分でも毎日ケアしていきましょう。できることは次の3つです。
- ・リラックスを心がける
- ・姿勢矯正
- ・ティース・アパート法を行う
リラックスを心がける
体質的にストレスをためやすい方はいますが、自覚があれば適時発散していきましょう。好きなことに没頭する・軽く運動をする・大声で歌う・ゆっくりとお湯に浸かる、などが簡単です。
また、人間は歩くことで心身に良い影響を与えられます。歩行は全身運動かつ有酸素運動で、酸素をよく取り込むうえ血流もよくなり、筋肉の緊張がほぐれます。通勤・通学時に駅まで自転車や車を使っているという方は、徒歩に変えてみるだけでも良い影響がありますよ。
姿勢矯正
スマホ首になっている方や長時間パソコン仕事をするという方は、マメにストレッチや姿勢矯正を行って筋肉を動かし酸素を取り込みましょう。噛みしめ症候群の原因には姿勢の悪さによる血流不良や筋肉の凝りがあります。朝晩にストレッチを取り入れるだけでも、噛みしめが軽減できる可能性は高いですよ。
ティース・アパート法を行う
ティース・アパート法は、噛みしめ癖の改善方法です。起きている間に噛みしめを行わないように、日ごろから意識して歯と歯を離しておきましょう。
1、唇を閉じて上下の奥歯を離す
2、舌先を上顎につけ、顔の力を抜く
3、上から糸で釣り上げられているようなイメージで姿勢を正し、腰をまっすぐにして肩の力を抜く
今噛みしめていたな、とハッとするときがあれば、このティース・アパート法を実践しましょう。意識して顎周辺から力を抜くことで、だんだんそれが癖付いて噛みしめが減ってくるはずです。
なおこのティース・アパート法は緊張をとくマインドフルネスの一種。今緊張しているなと感じているときにも行うと効果的ですよ。
噛みしめ症候群かなと思ったら歯科に相談!
噛みしめ症候群は、強く歯を噛みしめるために歯が欠けたり痛みがでたり、口内炎ができたりとさまざまな口内トラブルを起こします。肩こりや頭痛といった上半身のつらい症状も引き起こすため、自分でもケアが必要ですよ。
まずは歯科で相談し、噛み合わせをチェックしてマウスピースを作りましょう。顎の疲れが取れ、全身のつらい凝りも軽減されるはずです。