銀歯を入れると金属アレルギーになる? 症状・セルフチェックの方法・対策を紹介
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人間はさまざまなものにアレルギー症状を発症しますが、歯科で治療を受けて入れる銀歯もアレルギーの原因になります。このとき発症するのは金属アレルギー。
ここでは歯科治療由来の金属アレルギー症状や、その対策について紹介します。自分を悩ますものが金属アレルギーの反応かどうかがわからないという人のために、セルフチェック方法も紹介するので参考にしてくださいね。
銀歯で金属アレルギー? できるだけ金属を入れないことが大切
歯科での保険を使った虫歯治療で一般的に使われている銀歯ですが、人によっては金属アレルギーが発生します。そのため、歯科で最初のカウンセリングを受けるときには「金属アレルギーがあるかどうか」について質問されますが、そのときは大丈夫という人も安心はできません。虫歯治療で銀歯を入れた結果、アレルギーを発症してしまうことがあるからです。
ただし他のアレルギーに比べて、歯科の治療による金属アレルギーは症状が出るまでに時間がかかります。通常は虫歯治療をして、数ヶ月から数年ののちに何ら化の症状が出始めるのですね。
そのため体に水ぶくれが出ていたり味覚がおかしいなと感じたりしても、それが銀歯のせいであるとは気づきにくいという点が困ったところ。何らかの不快な症状を感じても、歯のせいであるとは思えないのですね。
とはいえ虫歯治療が原因かなと思ったら、とにかく体から金属を離すことが大切です。せっかく治療したあとですが、金属は口の中から除去して別の方法を試しましょう。新たな治療にはまた費用や時間がかかりますが、かゆみや腫れ、水疱などからは解放されますよ。
金属アレルギーのリスクあり! なぜ虫歯の治療に銀歯が使われる?
歯科で金属が治療に使われている理由は、最低限の歯機能を回復させられる素材の中では安くて加工がしやすいからです。
日本は世界でも珍しい国民皆保険制度を持つ国のため、病気になってから病院へいく人が多いという特徴があります。国が負担する医療費用をできるだけ抑えるためには、安く頑丈な金属を使った被せものが必要だったのですね。
「銀歯」と呼ばれているのは見た目が銀色であるからで、実際には金と銀、パラジウムの合金です。制作にはさまざまな金属を使っているため、アレルギーを発症させやすいと言われています。
健康保険を使った治療では「最低限の機能回復」が求められるので、見た目や機能性は重視されません。口の中をしっかりケアしていないと金属だらけになってしまう人もおり、最初は大丈夫でもやがて体内の許容範囲を超えてアレルギー反応を出すようになります。
ちなみにアレルギーを起こす過程は以下の通りです。
1、治療で金属を使った被せものを入れる
2、被せものは日々熱いものや冷たいものに触れ、強いかみ合わせで劣化する
3、被せものは幾億も存在する口内菌の干渉を受ける
4、被せものは唾液などによって少量ずつ溶かされ、飲み込む
5、飲み込んだ金属が体内に少しずつ蓄積し、体内のタンパク質とくっついてアレルギー反応を起こす
口の中に銀歯がある人、そしてその数が多ければ多いほど、常に銀製のスプーンをなめているようなものです。いずれ金属アレルギーを発症してしまうかもしれません。
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銀歯を目立たなくするには? おすすめの素材や費用目安などを紹介
歯科処置による金属アレルギーの症状・チェック方法と改善方法
金属アレルギーになってしまうと、具体的にはどのような症状があるでしょうか? また自分でアレルギーは大丈夫かどうかを確認するセルフチェック方法、改善方法を順番にみていきましょう。
金属アレルギーの症状
考えられるアレルギー症状は、以下のようなものです。
- ・顔や全身に湿疹や水疱ができる
- ・口内炎や口唇炎ができやすい
- ・肩こりがひどい
- ・脱毛症
- ・舌のただれ
- ・頭痛
- ・立ちくらみ
肩こりや頭痛、立ちくらみなどはよくある不快症状のため、口の中が原因だと考える人は少ないでしょう。しかし顔に発疹や水ぶくれができたり口の中が腫れていたり、舌にただれが見られたりする場合には、金属を使った被せものによるアレルギーを疑ってみてください。
特に、歯で頬の内側を噛むとか栄養不足とかというわけでもないのに口内炎や口唇炎に頻繁になるという人も、金属アレルギーを疑いましょう。何らかの影響を受けている可能性があります。
金属アレルギーかどうかのセルフチェック方法
以下は自分でできる、簡単な金属アレルギーのチェック方法です。
- ・ピアスホールの周囲が赤く腫れている
- ・ネックレスなどをするとあたっている箇所が痒くなったり赤くなったりする
- ・歯科で銀歯処理をしてから調子が悪い
- ・銀歯周辺の歯茎が白く見える
- ・口内炎の治りが遅い
- ・手のひらや足の裏などに水疱ができる
現在ほとんど自覚がない場合には、もし反応が起きてもさほどつらくない「金属のネックレスをしてみる」から試してみることがおすすめ。鏡を覗いて口の中にある銀歯周辺の歯茎が白っぽくなっていないかを確かめるのも簡単ですね。
上のチェック項目で1つでも当てはまれば、金属によるアレルギーを発症している可能性が疑われます。
ちなみに病院(皮膚科もしくはアレルギー科)でのアレルギーチェック方法は、パッチテストと呼ばれるもの。どの金属に反応しているかを調べるので、口の中の金属が原因かどうかも確認できますよ。
金属アレルギーの改善方法
アレルギーの症状が出てしまった場合の改善方法は、次の2つです。
- ・金属を除去する
- ・口腔トラブルを起こさない
すでに症状がひどい場合には、すぐに口内の金属を除去しましょう。
歯科へ行き、現在入っている銀歯を取り代わりの処置をしてもらってください。それだけで症状が楽になるはずですよ。
残念ながら一度発症してしまえば、各種アレルギーが完治することはありません。しかし原因である金属に肌や粘膜が触れないようにしていけば、症状は改善されるはずです。
そして最も大切なことは、これ以上口の中に銀歯を増やさないでいいようにしっかり歯のケアをすること。毎日の歯磨きに加えフロスをしたり口内洗浄液を使ったりして、口内トラブルを起こさないようにケアしましょう。
歯科でできる金属アレルギー対策! メタルフリーの素材を使って治療
アレルギーを発症してしまった場合、どのような処置ができるでしょうか? 歯科でできる対策は、「メタルフリー(金属不使用)の素材を使った治療」です。
たとえばレジン(歯科用プラスチック)は、保険診療で使えるメタルフリーの素材。健康保険が使えるため安価ですが、銀歯に比べて強度が弱く変色しやすいというデメリットがあります。
おすすめなのは、健康保険を使わない自費治療のセラミックです。見た目に美しく銀歯よりもしっかりと歯にくっつくというメリットは、多くの人を喜ばせるでしょう。
ただしデメリットとしては、健康保険が使えないため比較的高額であること、また金属に比べると強度が弱いので、食いしばりが強い人などには向かないことなどがあります。
食いしばりなどにはマウスピースなど対策もあるので、金属アレルギーになってしまった人はセラミック治療を検討してみてください。
なお金属は金属でもチタンや金はアレルギーが起こりにくい素材です。チタンはインプラント治療にも使われており、現在のところ金属アレルギーが起きたという報告はありません。
金は金のアレルギーを持つ人がいますが、一般的にはアレルギーになりにくい素材です。
どちらも自費治療のため費用は高額ですが、歯に頑丈さを求めるのであれば担当医に相談してみてくださいね。
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銀歯と呼ばれる金属の被せものは、歯科の保険内治療で一般的な素材。頑丈で加工しやすく、安価なためよく使われてきました。しかしアレルギーが出る原因となるうえに見た目が悪いこと、劣化してその下に虫歯ができやすいことなどから現在では他の素材を使っての治療も多く行われています。
見た目が綺麗で他の歯のように自然な白色であること、歯にしっかりとくっつくので2次カリエス(素材と歯の間に細菌が侵入して再び虫歯になること)が起こりにくいことから、セラミック治療がおすすめです。
銀歯によってアレルギーの症状が出た場合には、セラミック治療を検討してみてください。セラミックにもさまざまな種類があるので、費用とのバランスをみて担当医に相談しましょう。
また、そもそも歯のトラブルを起こさないように毎日のケアをしっかりことが大前提。
食事をすれば歯磨きをし、フロスや口内洗浄液を使って減菌につとめましょう。歯科の定期検診に通い、トラブルなしの状態を維持していくことも大切ですよ。