虫歯なのに痛くない? 深い虫歯でも痛みがない理由や放置するとどうなるかを紹介
この度の新型コロナウィルスに罹患された方々、並びに感染拡大による影響を受けている方々に、心よりお見舞い申し上げます。当院では患者さまとスタッフの安全確保を実施しています。
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ご理解とご協力賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
しばらく歯が痛くて「これは虫歯だろうなあ」と思っていたところ、時間がなくて歯科に行かないうちに痛みがなくなってきた! そんな経験をした方は、すぐに歯科へ行きましょう。
痛みが発生したということは、何かのトラブルがあるということ。痛みがなくなったからといってトラブルが解消されたわけではありません。
ここでは虫歯なのに痛くない現象について、考えられる状況や放置すれば起こることなどを紹介します。痛みが消えたと安心せず、早めに時間を作って歯科を受診しましょう。
深い虫歯でも痛みがない場合はある! 痛みがないからといって安心はできない
虫歯は進行状況によってレベル分けされています。そこで「深い虫歯」と診断されるレベルであっても、痛みがないという不思議な状況になることもあるのです。
ただし、痛みがないからといって安心はできません。多くの場合は虫歯が悪化して一時的に痛みを感じない状態になっているだけだからです。
虫歯は自然治癒しません。さらに放置すれば、歯の血管から細菌が侵入して全身に菌がまわり、別の大きな病気を引き起こすことがあります。
痛みを感じないからと放置せず、何らかの異常があるのだと考えて歯科を受診してくださいね。
虫歯の進行度合いとは
まずは虫歯の進行度合いについて説明しましょう。虫歯にはそのレベルによって4つの段階があり、レベルによって治療内容が異なります。
【C1:エナメル質まで】
虫歯がエナメル質でとどまっているレベルです。
エナメル質とは歯の一番外側にある薄い層のこと。人が目で見る歯の表面は、すべてがエナメル質です。体の中で最も硬いもので、細菌や外部の衝撃から歯を守る役割があります。
ちなみに硬さは硬度7。これはダイヤモンド、ルビー、サファイヤ、そしてトパーズといった宝石に次ぐ硬さです。
まだ痛みは感じませんが、歯の表面に穴が開くので歯科の定期健診を受けていれば見つけられます。治療も簡単で、短時間で済むでしょう。
【C2:象牙質まで】
虫歯がエナメル質を突破し、その内側にある象牙質まで届いたレベルです。
象牙質とはエナメル質の内側にある、歯の大部分を構成する層のこと。硬度は5とエナメル質よりは柔らかく、内部には象牙細管と呼ばれる細く小さな管が無数にあります。そのなかに神経が通っているため、象牙質まで虫歯が進行すれば痛みを感じます。
甘いものを食べると歯がしみるのが、このレベル。まだ我慢はできますが、この状態で治療をしないと歯の神経をとる必要がでてしまいます。
【C3:歯髄まで到達】
虫歯が歯髄まで達したレベルです。
歯髄とは歯の神経のこと。歯の一番内側にある場所で、ここまで虫歯が進むと「歯の神経を取る」治療が必要です。
歯髄は柔らかく神経と血管が詰まっているため、虫歯が到達すれば強烈な痛みを感じます。食事はできず夜も眠れないという状況になるのは、このC3です。
治療では歯の神経を取って消毒、薬をつめ、金属やセラミックなどで蓋をします。歯は神経を失うと「死んだ」ことと同じ。栄養などが届かなくなり、もろくなってしまいます。
【C4:歯の根まで到達】
虫歯の最終段階です。歯の根っこのみがわずかに残った状態のこと。歯の根まで細菌が侵入し、根の先にある骨を溶かして膿をためます。
この状態になると、抜歯となることが多いでしょう。
【関連記事】虫歯の治療についての記事はこちら
虫歯の治療はどうやる? 進行別に治療内容を紹介
歯は痛くないけど深い虫歯なの?考えられる状況
では歯が痛くないけれど虫歯というのはどういう状況でしょうか?
C1と呼ばれる初期虫歯のレベルであれば、神経まで細菌が到達していないので当然痛みはありません。自覚症状がありませんが歯の表面が黒くなったり白くなったりするため、定期健診を受けていれば早期発見ができます。
ところがC3といった深い虫歯のレベルでも、痛みがない場合もあるのですね。そのときに考えられるのは、次の2つの状況です。
- ・神経が死んでいる
- ・神経を取った歯の二次カリエス
順番に説明します。
神経が死んでいる
痛みを我慢しているうちに虫歯が進行し、すでに歯の神経が死んでいる場合には痛みが出ません。
神経があるうちは細菌感染に反応して痛みがありますが、感染が進み神経が死んでしまうと反応はなくなります。ついこの間まで痛かったのに今は嘘のように何もないという場合には、神経が死んでしまっている可能性が高いでしょう。
痛いときも痛くないときもあるのなら、それは細かい神経が死んで太い神経に虫歯が達している証拠。歯の表面に近い細かな神経は触れると鋭い痛みを出しますが、太い神経は鈍感です。細い神経のときのように常に痛みがなく、噛みしめたときや衝撃を受けたときだけ痛みを感じます。そのためずっと痛いというわけではないのですね。
ただしこの太い神経が死んでしまえば、細菌はアゴの骨へと進みます。そのため痛みがなくても、できるだけ早く歯科で治療を受けなければなりません。
神経を取った歯の二次カリエス
一度虫歯になり治療したあとの歯が、再び虫歯になることを二次カリエスと呼びます。
一度歯の神経を抜いている歯が二次カリエスになった場合、これも痛みが出ません。自覚症状がないため虫歯はどんどん進行。根の先に膿がたまって膨らみ、また痛みが出始めて気付く方もいます。
根の先に膿がたまることを「歯根嚢胞(しこんのうほう)」といいます。これが出来てしまえば、外科的手術で切開をしなければならないこともありますよ。
深い虫歯を痛みがないからと放置すれば起こること
虫歯に気付いていても歯科へいく時間がないし、痛みも消えているからとりあえずこのままで……、そう考える方は注意です。
前述しましたが、痛みはなくても虫歯は進行します。放置すれば起こることを3つ説明しますね。
- ・骨が溶けだす
- ・周囲の歯にも影響する
- ・全身に菌がまわる
【骨が溶けだす】
虫歯菌は、人体の中で最も硬いエナメル質を溶かします。当然エナメル質よりも柔らかい骨も溶かせるのですね。
歯を完全に侵略したあとは、さらに進んでアゴの骨にいきつき、徐々に溶かしていきます。骨が溶けると上にのっている他の歯にも影響があるうえ、強い痛みがでて日常生活にも影響するでしょう。
【周囲の歯にも影響する】
虫歯の治療をしないと、口内環境は悪くなるばかり。細菌がどんどん繁殖するため、健康な他の歯も危険にさらされます。
また虫歯で歯を失うと、歯並びに大きな影響を与えて噛み合わせも悪化。歯周病や口内炎などのトラブルも多発します。
【全身に菌がまわる】
細菌は歯の血管から全身へまわります。虫歯そのものでは死にいたりませんが、細菌が全身にまわった結果、別の大きな病気を引き起こして命にかかわることもあるのです。
たかが虫歯と気楽に思わず、できるだけ初期のうちに治療をしてください。
痛くないけど深い虫歯の場合の治療方法
虫歯が深いにもかかわらず痛みがない場合、前述したようにすでに神経が死んでいる可能性が高いでしょう。
その対処は根管治療、つまり歯の根の治療となります。
死んでしまった神経を取り歯の根を隅々まで消毒し、薬を詰めます。あまりにひどい場合であれば抜糸になる可能性も高いでしょう。
歯根嚢胞が出来ている場合には、歯の根からの治療だけで終われないことも。根の先を外科的に切る「歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)」が必要なケースもでてきます。
痛くなくても変色や違和感があればすぐに歯科へ!
虫歯があるからといって、必ず痛みが出るわけではありません。初期や歯の神経が死んでしまった場合には痛みがでないからです。
しかし虫歯は、C1のレベルに達したら歯科での治療が必要となります。受診を延ばせば延ばすほど虫歯は進行し、痛みが出るうえに時間もお金もかかります。
歯は全身の健康に大きな影響を与えるもの。将来も元気に自分の歯で食事をするため、できるだけ早めに歯科を受診しましょう。