キシリトールガムで虫歯が治る? キシリトールの効果とその範囲
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キシリトールガムを食べれば虫歯が治るというのは、果たして本当でしょうか?
実際には、キシリトールガムを噛んだからと言って虫歯が治るわけではありません。
しかし、キシリトールには、虫歯の進行抑制力や発生予防力があります。そのため、虫歯について何の効果もないというわけではないのですね。
ここではキシリトールガムを噛むことによる、進行抑制と発生抑制(虫歯予防)に対するサポート力について紹介します。なぜキシリトールガムでは虫歯が治らないのかについても説明するので、参考にしてください。
キシリトールガムで虫歯は治らない! ただし、進行を抑えて予防する
キシリトールガムを噛んでも、それだけで虫歯が治るわけではありません。まだ自覚症状がない「初期虫歯」であればキシリトールが持つ虫歯予防効果によって改善はできますが、目に見えたり自覚症状が出たりしている虫歯については歯科での治療が必要です。
一度発生した虫歯は少しでも進行すると「なかったこと」にはできないのですね。
そのためキシリトールガムに「虫歯を治す効果がある」とは言えません。ただし、現在発生している虫歯の進行を遅らせたり、発生しないようにしたりといった効果は期待できます。
つまり、キシリトールガムを噛むことで、これ以上虫歯を増やさないように口内環境を保つことはできるのですね。
普段から、おやつの代わりに濃度の高いキシリトールガムを噛んでみましょう。そうすればそうでないときに比べ、口内トラブルが起きる可能性は少なくなります。
ちなみに「キシリトール」は自然の甘味料のことです。糖アルコールという糖質の一種で、野菜や果物に含まれています。
糖アルコールの中では最も甘く、砂糖と同じ甘味度を持っていますが、砂糖と違って虫歯の原因にはなりません。キシリトールのカロリーは砂糖の75%程度です。
キシリトールガム虫歯予防効果を持つ理由
では、なぜキシリトールガムが虫歯予防効果を持っているのか、その理由をみていきましょう。以下の4つがあります。
- ・虫歯菌のエネルギーを消耗させる
- ・唾液分泌を促進する
- ・歯垢を落としやすくする
- ・再石灰化を促進する
虫歯菌のエネルギーを消耗させる
キシリトールそのものには虫歯菌(ミュータンス菌)やそれが出す酸を抑制する効果はありません。
しかし、虫歯菌に取り込まれることによって菌のエネルギーのみを消耗させることが可能です。
虫歯菌に餌と間違えられて取り込まれたキシリトールは、菌の中で変化します。それが「キシリトール5リン酸」という物質です。
このキシリトール5リン酸が虫歯菌のエネルギーを消耗させ、内側に蓄積して動きを抑制、菌が酸を出さないようにするのです。
砂糖と同じように甘いキシリトールを虫歯菌が間違えて取り込めば、通常のように酸を出して歯を溶かせません。細菌の活動が弱まっている間に、再石灰化を進められるのですね。
唾液分泌を促進する
キシリトールに唾液分泌促進の作用はないのですが、ガムを噛むことで唾液の分泌が促進され、虫歯予防になります。
唾液は天然の抗菌作用と自浄作用を持つ液体。たくさん唾液が分泌されれば、虫歯菌は繁殖が抑えられ、活動もしにくくなります。
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歯垢を落としやすくする
キシリトールの成分は、歯垢を歯からはがれやすい状態にします。歯垢はベタベタしているため、歯の表面に積み重なって大きくなっていくのです。しかし、キシリトールガムを噛むことでべたべたした歯垢をサラサラへと変化させるため、歯につきにくくなります。
歯垢は細菌の塊。歯垢が歯につかなければ細菌が繁殖できないので、虫歯になるリスクが減少します。
再石灰化を促進する
キシリトールに限らず、人はガムを嚙むことで唾液腺が刺激されます。顎を動かして唾液を大量に出せば、唾液の中にあるカルシウムによって歯の再石灰化が促進可能です。また、キシリトールが唾液中のカルシウムとくっつけば、より歯の表面を強化できます。
このとき、もし自覚症状もなく見た目の変化もほぼないような「初期虫歯」があれば、再石灰化されて状態が改善。菌によって溶かされた表面が戻るため、歯を削るような治療が不要になります。
このことから「キシリトールのガムを噛めば虫歯が治る」と言われるようになったのでしょう。
ただし、これはあくまで初期の虫歯の話です。見た目が黒くなっていたり、痛みや違和感があったりするほど進行した虫歯には太刀打ちできませんので、覚えておいてくださいね。
また、歯の表面を強くするようなキシリトールガムは、キシリトール含有率が50%以上のものに限られます。おすすめなのは、歯科で販売されているキシリトールが100%のもの。
そのため、市販商品であれば含有率50%以上のものを探すようにしてください。キシリトールガムであればなんでもOKというわけではないため、注意が必要です。
キシリトールガムで虫歯予防できる範囲
前述した通り、キシリトールで虫歯予防が期待できるのは初期虫歯のみ。歯科では「CO」と呼ばれるレベルの虫歯だけです。
C1になると虫歯菌が歯の表面であるエナメル質の内部まで達しているため、歯科での治療が必要です。
一か所でも虫歯になると、口内の細菌はどんどん増えていきます。早めに歯科を受診して虫歯の治療を始めてください。
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虫歯の治療はどうやる? 進行別に治療内容を紹介
虫歯を予防! キシリトールガムの効果的な噛み方3つ
キシリトールガムを噛むことで、虫歯予防ができることは間違いありません。
しかし、どうせ虫歯予防を狙って噛むのであれば、より効果的な噛み方を実践してみましょう。以下3つのタイミングに注目してください。
- ・食後30分以内に噛む
- ・2粒同時に噛む
- ・歯磨き前に噛む
食後30分以内に噛む
キシリトールガムを噛むおすすめのタイミングは、食後30分以内です。
虫歯菌が餌にするのは糖やたんぱく質。唾液で流されずに歯についた食べかすを取り込んで、繁殖・活動します。
そのため食後にキシリトールガムを嚙むと、虫歯菌が餌と間違えてキシリトールを取り込むのですね。その結果、前述したように、キシリトールが菌の内側でエネルギーを奪い、活動の邪魔をします。
また、食後30分間は口内が酸性に傾いており、歯の表面が溶けやすくなっています。そこでガムを噛めば唾液が出てくるため、口内が中和されて歯の表面も溶けずに済むのです。
2粒同時に噛む
キシリトールガムに含まれているキシリトールの分量は1粒当たり1.3g程度。虫歯予防に必要と考えられているキシリトールの量は4〜10g程度のため、1粒では頻繁に食べなくてはなりません。
そこで、2粒を同時に食べてみてください。1回に2.6gのキシリトールとなるので、それを1日に3回ほど繰り返しましょう。
虫歯予防効果を期待するには十分な量になります。
歯磨き前に噛む
キシリトールガムには、べたべたの歯垢をサラサラにして落としやすくする働きがあります。つまり、歯磨き前にキシリトールガムを噛んでいれば、口内の歯垢が落としやすくなるのです。
特に夜眠る前の歯磨きは大切なもの。寝ている間は唾液の分泌が少なくなるため、口内細菌が活発化しやすくなります。
そのため、就寝前にしっかり歯垢を落としておかなければなりません。キシリトールガムを嚙んでベタベタの歯垢をサラサラにしておけば、歯磨きによる清掃度を簡単に上げられます。
キシリトールガムでは進行した虫歯は治せないが発生予防は期待できる
キシリトールガムを噛むことで唾液分泌が促進できるため、再石灰化が進みます。
その結果、初期虫歯であれば自然治癒も可能でしょう。
ただしエナメル質内部まで達した虫歯にはその効果は望めないため、キシリトールガムが虫歯を治すわけではないと覚えておいてください。
キシリトールが含まれているガムを嚙むことで期待できるのは、虫歯予防効果です。
虫歯菌の活動を抑えて歯垢を歯につきにくくするため、食後30分以内に噛むなどをすれば、高い虫歯予防が期待できます。
とは言え、虫歯予防は正しい歯磨きが基本。しっかり歯磨きをしたうえで「キシリトールガムに口内環境の維持をサポートしてもらう」という意識でいましょう。
また、定期的に歯科を受診して、全体的なお口の中の清掃をしてもらうことも忘れずに。どんなトラブルでも早期発見が大切です。