【親知らず】完全に埋没した横向きの親知らずは抜くべき? 抜歯する場合としない場合・治療方法を紹介
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親知らずが横向きに生えてきた場合には、多くのリスクがあります。そのために抜歯するのですが、ほとんど埋まっている親知らずを抜くにはどうするのだろうと心配になる方もいるでしょう。
そんな方のために、ここでは親知らずの基本的な情報と横向きに埋没した親知らずを放置すると起こるリスク、その抜き方などを紹介します。
先に情報を知っておくことで恐怖を和らげ、歯科でスムーズに治療してもらってくださいね。
埋没している親知らずって何? 完全に埋まっているかどうかがポイント
親知らずは「親が知らない間に子供に生えてくる最後の永久歯」でこう呼ばれていますが、正式名称は「第三臼歯」です。「智歯」と呼ばれることもありますね。
他の歯と同じように真直ぐに生えていれば問題はないのですが、顎のサイズや人が持つ悪癖などにより、多くの場合は真直ぐに生えません。問題となる横向きに埋没した親知らずは特に厄介で、ひとつ前の奥歯を押すうえにケアがしにくく、いずれ大きなトラブルを招く恐れがある存在です。
横向きの親知らずが完全に骨に埋没している場合はいいのですが、少しでも頭を出していればきちんと対応したほうがよいでしょう。
歯科の定期健診で発見できますので、数年歯科に行っていないという方はできるだけ早く歯科を受診してくださいね。トラブルが起こる前に対処することがおすすめです。
親知らずの存在パターンは3つ
親知らずの存在パターンは、以下の3つに分けられます。
- ・まっすぐ生える
- ・斜めに生える
- ・横向きに埋まっている
前述した通り、真直ぐに生えていて自分できちんと歯磨きができるのであれば問題ありません。他の歯と同じようにケアしていきましょう。
最も多いのが、斜めに生えるパターンです。歯冠は完全に歯茎から出ているけれど、斜めに生えていて隣の奥歯にぶつかっているなどがよくあります。磨きにくく汚れが溜まりやすく、問題が発生する可能性が多いため、基本的には抜歯します。
そして横向きに生えるパターンですね。こちらは完全に埋没していれば本人が気づくことはありませんが、少しだけ歯の横側が歯茎から露出している場合、そして隣の歯に当たっている場合は注意が必要です。隣の歯への影響も大きいうえに、抜歯で骨を削るなど、相当な負担がかかります。
しかし、放置しておくと十中八九何等かのトラブルを起こすため、発見すれば抜歯となるのが一般的です。
完全に埋没した親知らずは抜くべき? 抜くパターンと抜かないパターン
とはいえ、なんでも抜いてしまうわけではありません。
抜歯の処置が必要なのは、親知らずやその隣の奥歯に痛みがある場合、周辺の歯茎が腫れている場合です。すでに細菌感染によって炎症を起こしているので、抗生物質も使いながら治療していきます。
しかし、横向きに生えていても完全に埋没しており、歯茎表面にまったく頭を出していない場合もあるでしょう。そのケースではすぐに抜歯とはなりません。現状何の違和感もなければ、そのまま様子を見ます。これは、歯が完全に骨の中に埋もれている限り細菌の影響が及ばず、虫歯や歯周病になるリスクがないからです。
ただし、骨の中に完全に埋もれていない場合は隣の歯に悪影響を及ぼすこともあるため、将来的には抜歯を検討する方が良いでしょう。
横向きに埋没した親知らずを抜かないと起きる可能性があるリスク
では、横向きに生えた親知らずを抜かずに放置すると起こる可能性があるリスクをみていきましょう。これは、骨の中に完全に埋没している親知らずではなく、隣の歯に当たっていたり、少しだけ頭を出している横生えの親知らずが持つリスクです。
- ・虫歯になり隣の歯にも感染する
- ・口臭が出る
- ・歯並びが悪化する
虫歯になり隣の歯にも感染する
親知らずは一番奥にあるうえに磨きにくく、どうしても歯垢が溜まります。さらに隣の奥歯との隙間に汚れがたまり、菌が増殖して虫歯になるのです。
磨きにくい場所であることから虫歯が進行しやすく、親知らずと隣の歯の両方が虫歯になります。
口臭が出る
虫歯になるのと同時に、口内の細菌が吐き出したガスによって口臭が発生します。口を開けると強烈な悪臭が漏れるため、人付き合いなどに影響が出るケースもあるでしょう。
歯並びが悪化する
横向きに埋没している親知らずによって隣の第二臼歯が押され、それが次々に重なることで前歯まで影響し、歯並びがガタガタになります。
歯科矯正でそれを直しても、問題の根源である親知らずはまた押し続けるため、再び歯並びが乱れることに。歯並びを美しくしたい場合は、親知らずの抜歯は必須です。
横向きに埋没した親知らずの抜き方
では、横向きに埋没している親知らずの抜き方についてみていきましょう。歯科での抜歯の過程は、以下の通りです。
- ・麻酔をかける
- ・歯茎を切開する
- ・骨を削って埋没した親知らずの冠部分を出す
- ・歯冠と歯根を切断して分離し歯冠を除去
- ・歯根を抜く
- ・抜いた穴を軽く洗浄し、血で満たしてから歯茎を縫合する
それぞれについて説明しますね。
①麻酔をかける
歯茎や骨の切開が必要になるため、必ず麻酔をします。
麻酔の種類や効果時間については以下の記事をどうぞ。
【関連記事】歯科治療での麻酔についての記事はこちら
歯医者の麻酔はいつまで効いている? 麻酔の種類や注意点を紹介
②歯茎を切開する
局所麻酔(浸潤麻酔)が十分に効いていることを確認してから、埋没した親知らずの歯茎をメスで切開します。
骨膜剥離子を使って歯茎を左右に開き、親知らずを覆う骨と歯冠の一部を確認します。
③骨を削って埋没した親知らずの冠部分を出す
完全に骨の中に埋まっている親知らずの歯冠部分は骨でおおわれているため、まずは骨を削らねばなりません。骨切削用バーという道具を使い、骨を削って親知らずの歯冠部分を露出させます。
骨を削る量に応じて術後の腫れのレベルが変わるため、このとき歯科医はできるだけ削る骨を少なくする必要があります。
④歯冠と歯根を切断して分離し歯冠を除去
親知らずが真横に埋まっているため、隣の第二臼歯が邪魔をして一気に引き抜くことはできません。そのためまずは見えている部分の親知らずを真ん中で切断し、歯根を残して歯冠部分を先に除去します。
⑤歯根を抜く
続いて歯根を抜くために、ヘーベルやルートチップと呼ばれる器具を使って歯根を脱臼させます。
このとき、下歯槽管(下顎の神経)と親知らずの歯根との距離を的確に測ることが大切です。抜歯のさいに下歯槽管を傷つけないよう、細心の注意を払います。
⑥抜いた穴を軽く洗浄し、血で満たしてから歯茎を縫合する
抜歯でできた穴には歯の削りカスや骨の削りカスなどが残っているもの。これらを生理食塩水や次亜塩素酸水で軽く洗浄し、奇麗にしてから穴を血液で満たします。
ここで大切なのは穴を十分な血液で満たすこと。血液が足りないとドライソケット(※)と呼ばれるものができ、術後4日程度で夜も眠れないほどの激痛が発生する可能性があります。
※ドライソケット:傷口に血餅が溜まっても量が足りず、血餅が取れてしまって骨が見える状態になること。血餅は2〜3週間で肉芽組織になり、2〜3カ月で新しい骨や神経を作る。
ドライソケットを作らないため、血液の量が足りないと感じたら周囲をひっかいて出血させます。
歯茎を縫合して、約1週間後に抜糸です。術後1週間以内に激痛がなければ、ドライソケットはできていないと判断できます。
完全に骨に埋没していない親知らず以外は抜歯がおすすめ! 歯科に相談しよう
奥歯の辺りが痛くなったり歯茎が腫れていたりすれば、親知らずのせいかもしれません。
親知らずが横向きに生えているケースでは、完全に骨の中に埋没していない限りは抜歯をします。隣の歯を押して歯列を乱したり、汚れが溜まって虫歯や歯周病になるケースが多発するからです。
親知らずは真直ぐに生えていても、上の歯とかみ合わなければ抜歯となることもあります。トラブルになる前に抜歯するというのが基本的な考えであると、ぜひ知っておいてくださいね。