噛むと痛い! 根尖性歯周炎の症状や原因、治療法とは?
この度の新型コロナウィルスに罹患された方々、並びに感染拡大による影響を受けている方々に、心よりお見舞い申し上げます。当院では患者さまとスタッフの安全確保を実施しています。
<当院の感染拡大防止について>
- 手洗い・アルコール消毒・うがいの徹底
- ドアの開放、空調を強めに設定する 等、定期的に室内換気を行っております
- 次亜塩素酸水を使用し、空間除菌を行っております
- 感染リスクの高い来院者さまへの受診の自粛のご依頼、又はご予約日の変更のお願いをしております
ご理解とご協力賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
噛むと痛みがあったり歯ぐきが腫れていたり、歯ぐきにできもののようなものがある場合、なかなかよくならないときには根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)を疑ってみましょう。
根尖性歯周炎は歯の根の周辺組織が炎症を起こす病気です。放置するとさまざまな不快症状や病気を引き起こします。
ここでは根尖性歯周炎の症状や原因、治療法などを紹介。放置すればするほど治療期間が長引きつらい症状に悩まされるので、早目に対処しましょう。
根尖性歯周炎:痛みがひどく顔中が腫れあがる可能性も!
虫歯などが悪化して歯の神経が死ぬ「歯髄壊死」の状態になっているのに放置を続けると、歯の内側にいる細菌によって歯髄が腐敗します。
歯の内側は出口がないため、唯一の道である歯根の先端から細菌が溢れだし、周辺組織に感染が拡大。歯の根元に炎症が起きて膿がたまった状態が、根尖性歯周炎です。
根尖性歯周炎になるまで放置された口の中はボロボロ。一刻も早く歯科にいき、治療を受けなくてはなりません。それでも放置すると何もしない状態でもひどい痛みに襲われ、やがて副鼻腔炎や目の下の腫れなどさまざまな病気を引き起こします。
何事も早期発見早期治療が大切ですが、根尖性歯周炎にまでなってしまっていればすでに口内はかなり悪い状態のはず。できるだけ早く治療を受けないと、日常生活に大きく支障をきたしますよ。
根尖性歯周炎の症状5つ
根尖性歯周炎にはどんな症状があるでしょうか。ここで5つの代表的な症状を確認しましょう。
- ・歯が浮く
- ・歯が痛む
- ・歯肉が腫れる
- ・顔が腫れる
- ・膿が出る
これは比較的症状が軽いものから重いものへの順番です。歯ぐきから膿が出るまでになると、通常すでに痛みで寝ることもできないような状態だと考えられます。こうなる前に処置しましょう。
歯が浮く
歯が浮く感覚はわりと初期からある症状です。
歯根周辺に膿が溜まり出し、歯が浮いているように感じだします。膿があるため歯に圧力がかかり、物を噛むと痛みを感じるでしょう。
歯が痛む
初期症状としてよくあるのが歯痛。とはいえ初期では食事のときに噛みしめると痛みを感じる程度です。この状態ですでに、歯の周辺組織である歯根膜に炎症が起こっています。
歯根膜は、食べたものが硬い食物か柔らかい食物かを判断するセンサーとしての役割がある場所。
進行すれば噛まなくてもずきずきと痛み、日常生活に影響がではじめます。
歯肉が腫れる
根尖病巣が化膿すると、歯の根の先っぽにある歯ぐきが腫れだします。歯ぐきが盛り上がって赤色や黄色になり、やがて膿が大量になると強烈な痛みが発生。
その場合は歯科で膿を取り出す切開術が有効です。
顔が腫れる
根尖性歯周炎によって歯の根先にたまった膿は、やがて目の下の空洞に入り込みます。目の下が腫れあがったり副鼻腔炎を起こしたりして、顔全体が腫れだしてくるのです。
人によっては頭痛を引き起こすこともあり、とてもつらい状態が続きます。
膿が出る
膿が限界までたまると歯ぐきはできもののように膨らみます。これがやがて破れ、歯ぐきから膿が出続ける状態に。この膿の穴のことを「フィステル」と呼びます。
膿が噴き出すことによって歯への圧力がなくなり痛みは落ち着きますが、膿によってひどい口臭が出てくるでしょう。自然治癒はしないため、治療が必要です。
根尖性歯周炎の原因5つ
根尖性歯周炎は以下の5つによる原因が考えられます。
- ・虫歯の進行
- ・虫歯の治療後に神経が機能しなくなる
- ・外傷などによるダメージ
- ・複雑な根管治療
- ・根管治療後
虫歯の進行
虫歯が進行した結果、歯の神経が死んでしまうことにより根尖性歯周炎になります。歯の神経が死ぬことで痛みは一時治まりますが、放置すると次は歯の根の周辺が炎症を起こしてひどい痛みがでてくるでしょう。
虫歯の治療後に神経が機能しなくなる
昔と違って虫歯の治療は、できるだけ歯の神経を残すようにしています。ただし虫歯のレベルによってせっかく残した神経がその後力を失い自然に死んでしまうケースがあるのですね。
歯の神経が死ぬと、細菌が根元で繁殖して根尖性歯周炎になります。
外傷などによるダメージ
ラグビーなどの激しいスポーツで前歯などに衝撃を受けると、歯の中の神経が切断されて死んでしまうことがあります。もしくは歯が折れたり欠けたりし、そこから細菌が侵入するケースも。
神経が死ぬと虫歯の治療後と同じく、細菌がたまって根尖性歯周炎になります。
複雑な根管治療
進行した虫歯の治療などで根管治療を行うとき、それがうまくいかず根尖性歯周炎になってしまうケースです。
根管治療は歯の神経を抜いて根を消毒する治療。歯の神経は複雑に入り組んでおり、それを一本ずつ抜いて消毒するのはとても難しい治療です。
根管治療の成功率は約8割と言われています。そのため、複雑な根管であればあるほど成功率が下がり、歯の根の中に残ってしまった細菌によって根尖性歯周炎が発症します。
根管治療後
根管治療を受けた結果細菌数が減り、アゴの骨の中まで達していた残っている細菌が自己免疫と戦い、炎症を引き起こすケースがあります。免疫が勝てば腫れや痛みは引いていきます。
根尖性歯周炎の治療方法とポイント
では続いて根尖性歯周炎の治療方法とポイントをみていきましょう。歯科へ駆け込んだのちにどのような治療を受けるかを知っておけば、治療に対する不安を軽減できますよ。
- ・薬や膿だしによる応急処置
- ・根管治療
- ・抜歯
流れとしては、まずは炎症を抑え膿を出して症状を軽減させます。
抗生物質の投与で痛みや腫れは一度治まるでしょう。そして膿をだすために歯肉を切開するケースもあります。両方ともすぐに効果がでますが、あくまでも一時的な処置。根本的な解決にはならないため、それが終われば根管治療や抜歯へと進みます。
感染しているすべての歯の部分を削り、健康な歯だけを残してからの根管治療です。
根の中の感染部分をファイルと呼ばれる細い針金で1本ずつ奇麗にしていきます。削り取れたら圧力をかけつつ薬を投入。根の先から薬を詰めていく、徹底的な消毒作業です。
被せ物をすれば治療が終了ですが、このとき、保険治療で使う銀歯より劣化の少ないセラミックの被せ物をおすすめします。できるだけ抜歯を避けて歯の寿命を伸ばすため、再びその歯が虫歯にならないようにしていきましょう。
根元を支える骨がほとんど溶けてしまっている場合など、根管治療ができないものは抜歯となります。抜歯後はインプラントや差し歯、義歯などを選択して機能性を復活させなければなりません。
ただし根管治療の専門歯科であれば歯を残せる可能性もあるので、抜歯を避けたいというかたはセカンドオピニオンを受けるのもよいでしょう。
【関連記事】根管治療についての記事はこちら
歯医者で受ける歯の根っこの治療とは? 時間と手間がかかる理由・期間・痛みなどを解説
治療のポイント①ラバーダムを使う
根尖性歯周炎の治療ではとにかく細菌が入り込まないようにすることが重要。そのため治療のポイントはラバーダムを使うことです。
ラバーダムはゴムでできたシートで、治療中に細菌を含む唾液が入らないようにするために使います。
治療のポイント②マイクロスコープを使う
根管治療のときにマイクロスコープを使うと、よく見えるために成功率が上がります。根管内は細いうえに複雑な構造をしており、裸眼での施術は限界があるからですね。そのため20倍まで拡大でき光で照らしてくれる歯科用マイクロスコープを使うことが大切。
とはいえ、すべての歯科がラバーダムやマイクロスコープの用意があるわけではないのが残念なところです。根尖性歯周炎の治療を受けるときにはこの2点がある専門医に任せることも考えましょう。
根尖性歯周炎は痛い! 早めの対処で心身を守ろう
根尖性歯周炎になってしまえば、激しい痛みや腫れに襲われます。日常生活に支障がでてまともに眠れなくなることも珍しくありません。
放置が長期間になればなるほど治療時間も費用もかかるため、必ず時間を捻出して歯科で治療を受けましょう。根尖性歯周炎を放置すればやがて顔全体に菌がまわり、大変なことになってしまいます。
早めの対処が心身を守りますよ。