ハピネス歯科ブログ

深い虫歯なのに痛くないのはなぜ? 痛みがない理由や放置するリスクを解説


深い虫歯なのに痛くないのはなぜ? 痛みがない理由や放置するリスクを解説

こんにちは、秋田のハピネス歯科クリニックの大久保です。今回は、深い虫歯があるはずなのに痛くないという現象についてお話しますね。

しばらく歯が痛くて「これは虫歯だろうなあ」と思っていたところ、時間がなくて歯科に行かないうちに痛みがなくなってきた! そんな経験をした方がいらっしゃるかもしれません。

もしそうであれば、すぐに歯科へ行きましょう。

痛みが発生したということは、何かのトラブルがあるということ。痛みがなくなったからといってトラブルが解消されたわけではありません。

ここでは虫歯なのに痛くない現象について、考えられる状況や放置すれば起こること、歯科での治療方法などを紹介します。痛みが消えたと安心せず、早めに時間を作って歯科を受診しましょう。

目次

深い虫歯でも痛みがない場合はある! 痛みがないからといって安心はできない

虫歯は進行状況によってレベル分けされています。そこで「深い虫歯」と診断されるレベルであっても、痛みがないという不思議な状況になることもあるのです。

「虫歯なのに痛くないなら、まだ大丈夫なのでは?」と思うかもしれませんが、そうとは限りません。特に、これまで痛かった歯が急に痛くなくなった場合は、虫歯が治ったのではなく、さらに進行して痛みを感じなくなっている可能性もあります。

虫歯は自然に治るものではなく、痛みがなくても虫歯が進行していることはあるため、「痛くないからもう少し様子を見よう」と放置するのはおすすめできません。

では、なぜ深い虫歯なのに痛みを感じなくなるのでしょうか?

ここからは、虫歯の進行度合いを確認しながら、痛みがなくなる理由について説明します。

 

虫歯の進行度合いとは

虫歯の模型

まず「深い虫歯」とはどのようなレベルのことを言うのかについて、考えてみましょう。

虫歯は、進行した深さによってC0~C4に分類されます。数字が大きくなるほど虫歯が進行した状態です。

それぞれの段階で症状や治療方法が異なるため、まずは虫歯がどのように進行していくのかを見ていきましょう。

【関連記事】虫歯のレベル別内容や自分でできることについての記事はこちら
虫歯は自力で治せる? 虫歯のレベル5段階や初期虫歯に自分でできることを紹介

 

C0:虫歯になる前の段階

C0は、まだ歯に穴が開いていない初期段階です。歯の表面からミネラルが溶け出す「脱灰」が起こり、歯が白く濁って見えることがあります。

この段階では、まだ歯に穴が開いているわけではないため、適切な歯磨きやフッ化物の利用などによって、再石灰化が期待できる場合があります。

 

C1:エナメル質まで(まだ痛みはない)

虫歯が歯の一番外側にある「エナメル質」にとどまっているレベルです。

エナメル質は体の中で最も硬く、外部の衝撃や細菌から歯を守る役割を持っています。この段階ではまだ神経まで距離があるため、痛みを感じることはほとんどありません。

歯の表面に小さな穴が開いたり茶色く変色したりしますが、定期健診を受けていれば早期に見つけられ、治療も短時間で終わります。

 

C2:象牙質まで(しみる・痛む)

C2は、虫歯がエナメル質を越えて、その内側にある象牙質まで進行した状態です。

象牙質はエナメル質よりも柔らかく、その内部には「象牙細管」と呼ばれる細い管がたくさんあります。そのため、虫歯が象牙質まで進むと、冷たいものや甘いものを口にしたときに歯がしみるなど、痛みを感じることがあります。

ただし、痛みの感じ方には個人差があり、C2だから必ず強い痛みが出るというわけではありません。

 

C3:歯髄まで到達(激痛から、突然痛みが消える)

虫歯が歯の一番奥にある「歯髄(しずい=歯の神経)」まで達したレベルです。

歯髄には神経と血管がぎっしり詰まっているため、細菌が侵入すると激しい炎症を起こし、夜も眠れないほどの猛烈な激痛に襲われます。

しかし、さらに放置して神経が完全に死んでしまうと、それまでの激痛が嘘のようにピタリと消えてしまいます。「深い虫歯なのに痛くない」という現象が最も起こりやすいのが、このC3の段階です。

治療では、死んでしまった神経を取り除いて内部を消毒する「根管治療(こんかんちりょう)」が必要になります。

 

C4:歯の根まで到達(歯が崩壊し、根だけが残る)

C4は、虫歯がさらに進行し、歯の頭の部分である歯冠がほとんど失われて、歯の根だけが残ったような状態です。

ここまで進行すると、歯の神経がすでに壊死しているため、C3のときのような強い痛みを感じなくなることがあります。しかし、虫歯が治ったわけではありません。歯の根まで細菌が入り込むと、根の先に炎症が起こったり、膿がたまったりすることもあるのです。

このように、虫歯は進行するほど必ず痛みが強くなるとは限りません。特にC3以降では、強い痛みが出たあとに痛みがなくなることもあるため、「痛くなくなったから大丈夫」とは考えないようにしてください。

 

歯は痛くないけど深い虫歯なの? 考えられる2つの状況

では歯は痛くないけれど虫歯というのはどういう状況でしょうか?

C1と呼ばれる初期虫歯のレベルであれば、神経まで細菌が到達していないので当然痛みはありません。自覚症状がありませんが歯の表面が黒くなったり白くなったりするため、定期健診を受けていれば早期発見ができます。

ところがC3といった深い虫歯のレベルでも、痛みがない場合もあるのですね。そのときに考えられるのは、次の2つの状況です。

  • ・神経が死んでいる
  • ・神経を取った歯の二次カリエス

順番に説明します。

 

神経が死んでいる

痛みを我慢しているうちに虫歯が進行し、すでに歯の神経が死んでいる場合には痛みが出ません。

神経があるうちは細菌感染に反応して痛みがありますが、感染が進み神経が死んでしまうと反応はなくなります。ついこの間まで痛かったのに今は嘘のように何もないという場合には、神経が死んでしまっている可能性が高いでしょう。

痛いときも痛くないときもあるのなら、それは細かい神経が死んで太い神経に虫歯が達している証拠。歯の表面に近い細かな神経は触れると鋭い痛みを出しますが、太い神経は鈍感です。細い神経のときのように常に痛みがなく、噛みしめたときや衝撃を受けたときだけ痛みを感じます。そのためずっと痛いというわけではないのですね。

ただしこの太い神経が死んでしまえば、細菌はアゴの骨へと進みます。そのため痛みがなくても、できるだけ早く歯科で治療を受けなければなりません。

 

神経を取った歯の二次カリエス

一度虫歯になり治療したあとの歯が、再び虫歯になることを二次カリエスと呼びます。

一度歯の神経を抜いている歯が二次カリエスになった場合、これも痛みが出ません。自覚症状がないため虫歯はどんどん進行。根の先に膿がたまって膨らみ、また痛みが出始めて気付く方もいます。

根の先に膿がたまることを「歯根嚢胞(しこんのうほう)」といいます。これが出来てしまえば、外科的手術で切開をしなければならないこともありますよ。

【関連記事】二次カリエスの発生原因や発見方法などについての記事はこちら
二次カリエスは虫歯の再発! 発生の原因や予防方法とは?

 

深い虫歯なのに痛くない場合に見られる症状

頬を押さえる男性

痛みがなくても、口内で虫歯が深く進行している場合は何らかのサインが出ていることがほとんどです。

以下の症状に心当たりがある方は、「痛くないから大丈夫」と放置せず、早めに受診を検討してみてくださいね。

  • ・歯が黒く変色している・大きな穴が開いている
  • ・噛んだときにだけ「重い違和感」や「鈍い痛み」がある
  • ・歯茎が腫れている・白いおできのようなものができている
  • ・口臭が強くなった・口の中で嫌な味がする
  • ・数日前まであった猛烈な激痛が、急にピタッと消えた

前述しましたが、特に「痛みが急に消えた」「噛むと違和感がある」という場合、すでに歯の神経が死んでしまっている可能性が高いため注意が必要です。

 

深い虫歯を痛みがないからと放置すれば起こること

「痛みが消えたから様子を見よう」と深い虫歯を放置してしまうと、口内だけでなく全身にまでさまざまなトラブルが広がっていきます。

痛まない間も細菌は着実に奥深くへと進行しているため、放置することで起こる4つのリスクについて知っておきましょう。

 

骨への影響

虫歯菌は、体の中で最も硬いエナメル質さえ溶かしてしまうほど強力です。そのため、歯を溶かした細菌は、歯を支えているアゴの骨(歯槽骨)にまで達し、骨を徐々に溶かしていきます。

アゴの骨が溶けて減ってしまうと、虫歯になっている歯だけでなく、隣にある健康な歯までグラグラと揺れ始めてしまう原因になるのです。

 

根の先の炎症・膿

神経が死んだ後も放置を続けると、細菌は歯の根の先にある隙間にまで侵入します。前述した通り、そこで増殖した細菌によって「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」という炎症が起き、根の先に膿の袋ができてしまいます。

膿が溜まって内圧が高まると、以前の虫歯の痛みとは比べものにならないほどの強い激痛や、歯茎の激しい腫れを引き起こすことになるため、大変危険です。

【関連記事】歯の根に膿が溜まる根尖病巣(歯根嚢胞)についての記事はこちら
【根尖病巣】歯の根っこに膿が溜まる原因や症状・治療法とは?

 

歯を失う可能性

早期に治療を行えば神経を残したり、歯そのものを削って残したりすることが可能です。

しかし、痛みが無いからと放置して歯の頭(歯冠)がボロボロになり、根っこだけしか残らない状態(C4)まで進んでしまうと、歯を補強するための土台すら立てられなくなります。その結果、歯を残すことが不可能となり、「抜歯」を選択することになるのですね。

 

全身への影響

口の中にはたくさんの細菌が存在しており、深い虫歯を放置して感染が広がると、口の中だけの問題では済まなくなることがあります。

虫歯そのものが直接全身の病気を引き起こすとは限りませんが、歯の感染が周囲の組織へ広がり、さらに血液などを介して全身へ影響を及ぼすケースもあります。

特に、顔や首まで腫れてきた、発熱がある、強いだるさがあるなどの症状がある場合は、単なる虫歯だと思って放置しないことが大切です。

 

深い虫歯なのに痛くない場合の検査方法

歯科医院では、見た目だけでは分からない歯の内部や神経の状態を確かめるために、主に以下のような検査を行って総合的に診断していきます。

  • ・視診・触診
  • ・レントゲン(X線)検査
  • ・神経の状態を調べる検査(電気診・冷温熱刺激試験)

 

視診・触診

まずは歯の色や形、穴が開いていないかなどを目で確認します。歯と歯の間や奥歯など、目で見ただけではわかりにくい場所もあるため、器具を使って歯の表面の状態を確認することもあります。

ただし、見た目だけでは虫歯の深さまではわかりません。歯の内部で虫歯が進行しているケースもあるため、必要に応じてほかの検査を行います。

 

レントゲン(X線)検査

レントゲンでは、歯の内部や歯の根の周囲まで確認できます。

見た目ではわからない虫歯の進行や、歯の根の先にできた炎症などを確認するために行う検査です。特に、深い虫歯が疑われる場合には、歯の神経や根の周囲まで状態を確認する必要があります。

 

神経の状態を調べる検査(電気診・冷温熱刺激試験)

痛みがなくなっている歯に対して、神経がまだ生きているのか、それとも死んでしまっているのか(活力の有無)を調べる検査です。

歯に微弱な電気を流したり、冷たい綿や温めた材料を当てたりして反応を見ます。「刺激を感じれば神経は生きている」「何も感じなければ神経が死んでいる」と判断できるため、今後の治療方針を決める重要な手がかりになります。

 

痛くないけど深い虫歯の場合の治療方法

歯科の診察台

深い虫歯で痛みが消えている場合、すでに神経がダメージを受けているケースが多いため、一般的な「虫歯を削って詰めるだけ」の治療では済まないことがほとんどです。

歯科では歯の状態や進行具合に合わせて、主に以下のような治療を行っていきます。

 

根管治療

虫歯が神経まで達して死んでしまっている場合、痛みがなくても「根管治療」が必要になります。

根管治療とは、歯の内部にある死んでしまった神経や細菌に感染した組織をきれいに取り除き、薬で管の中を消毒して密閉する治療です。

根っこの中をすっかりきれいにしてから蓋をし、最後に被せ物を装着して歯の機能を修復します。痛みの原因となる細菌を根本から取り除くため、歯を残す上でとても重要な治療です。

ただし、神経のなくなった歯はもろくなりやすいため、経過観察もしていきます。

【関連記事】根管治療の通院回数目安や治療内容についての記事はこちら
なぜ根管治療には長い時間がかかるの? 通院回数の目安や治療内容も紹介

 

歯根嚢胞がある場合

神経が死んだ状態を長く放置し、歯の根の先に「歯根嚢胞」という膿の袋ができてしまっている場合は、根管治療に加えて特別な処置が必要になることがあります。

基本的には通常の根管治療で根の先から薬を届かせて改善を図りますが、膿の袋が大きすぎる場合や根管治療だけでは治りきらない場合は、外科的な処置が必要です。

歯茎を少し切開して根の先端ごと膿の袋を直接切り取る「歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)」を行うことで、抜歯を避けてご自身の歯を残せる可能性が高まりますよ。

 

抜歯になるケース

残念ながら、虫歯が重症化しすぎていて歯を残すことがどうしても難しい場合は「抜歯」となります。

たとえば前述したような、虫歯によって歯の頭の部分がほとんど崩壊し、根っこしか残っていない状態(C4)や、アゴの骨まで広範囲に溶かされてしまっているケースなどです。

無理に歯を残そうとするとかえって周囲の骨や健康な歯に悪影響を及ぼすため、抜歯をして口内の健康を守ります。

抜歯した後は、お口の噛み合わせや見た目を補うために、ブリッジや入れ歯、インプラントなどの治療を検討することになるでしょう。

 

深い虫歯なのに痛くない場合によくある質問(FAQ)

疑問

深い虫歯や痛みのない虫歯について、患者様からよく寄せられる疑問にお答えします。受診前の不安を解消する参考にしてみてくださいね。

 

Q1:深い虫歯でも神経を残せることはありますか?

A:条件によっては、神経を残せる可能性もあります。

すでに痛みが完全に消えて神経が死んでしまっている場合は神経を取り除く処置が必要になりますが、まだ神経の一部が生きている場合や、ギリギリのところで感染がとどまっている場合は、神経を保護する薬を使ったり、神経の一部だけを残す治療を選択できることもあります。

どのような治療が可能かは、歯科医院で精密な検査を行ってみないと分かりません。「神経を抜きたくない」という方も、あきらめずにできるだけ早めに相談してみてくださいね。

 

Q2:痛くない虫歯は治療しなくても大丈夫ですか?

A:放置せず、必ず治療を受けましょう。

「痛まないから大丈夫」と思って放置してしまうのが一番危険です。痛みが消えたのは虫歯が治ったからではなく、痛みを伝える神経が死んでしまったり、根の先に溜まった膿の圧力が逃げたりしているだけのケースがほとんどだからです。

痛みがなくても、内部では着実に細菌が増殖して骨を溶かしたり、隣の健康な歯へ悪影響を与えたりしています。痛みのない今こそ、受診のタイミングですよ。

 

Q3:深い虫歯の治療にはどのくらい時間がかかりますか?

A:虫歯の深さや根の状態によって異なりますが、複数回の通院が必要になることが多いです。

初期〜中度の虫歯であれば1〜2回程度で終わることもあります。しかし、神経まで達している深い虫歯の場合は根の中をきれいに消毒する「根管治療」を行うため、3〜5回ほど通院していただくのが一般的です。

回数がかかるのは、再発を防ぐために根の中の細菌を丁寧に取り除いて消毒を繰り返す必要があるからです。スケジュールについては、初診の際に担当医へ気軽に確認してみてくださいね。

【関連記事】虫歯の治療の日数目安やその理由についての記事はこちら
虫歯の治療は一日で終わらない? 理由4つを紹介!

 

Q4:神経を取った歯は、もう虫歯にならないのですか?

A:いいえ、神経を取った歯であっても再び虫歯(二次カリエス)になるリスクがあります。

被せ物や詰め物をした隙間から細菌が入り込むと、その内部で虫歯が再発してしまうことがあります。さらに恐ろしいことに、神経を抜いた歯は痛みを感じないため、かなり深く進行するまで気づけません。

治療が終わった歯であっても油断せず、毎日の丁寧なブラッシングと定期的な歯科検診でしっかり予防していくことが大切です。

 

Q5:深い虫歯はレントゲンでわかりますか?

A:はい、レントゲン撮影を行えばハッキリとわかります。

肉眼では見えない歯の内部の穴の広がりはもちろん、被せ物の下に隠れている虫歯や、アゴの骨の中にできている膿の袋(歯根嚢胞)まで正確に確認できます。

痛みがなくてご自身では状況が分からない場合でも、レントゲンを撮ることで現在の状態と必要な治療法が明確になりますので、安心して受診してください。

 

痛くなくても変色や違和感があればすぐに歯科へ!

虫歯があるからといって、必ず痛みが出るわけではありません。初期や歯の神経が死んでしまった場合には痛みがでないからです。

しかし虫歯は、C1のレベルに達したら歯科での治療が必要となります。受診を延ばせば延ばすほど虫歯は進行し、痛みが出るうえに時間もお金もよりかかることになります。

歯は全身の健康に大きな影響を与えるもの。将来も元気に自分の歯で食事をするため、できるだけ早めに歯科を受診しましょう。


関連記事

監修・執筆

ハピネス歯科クリニックの院長、大久保 圭

ハピネス歯科クリニック 院長 大久保 圭

秋田市の歯医者。出身地:北海道。出身大学:岩手医科大学歯学部。 ハピネス歯科クリニックでは、歯の悩みが何もない健康を保っていただくために、予防歯科を特に大切に考えています。 本ブログを通して、あなたの健康づくりに役立つ質の高い情報発信を心がけています。

マップ&診療時間

〒010-0062 秋田県秋田市牛島東7-10-1

018-874-9094 初診WEB予約はこちら
診療時間
8:30~12:30 × ×
14:30~18:00 × × ×

△・・・8:30~12:30
休診日:水・日・祝祭日・GW・年末年始・お盆

各種クレジットカードでのお支払いに対応しております。
(但し、クレジットカードは「自費診療」の場合のみとなっております)

ページトップへ