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親知らずは抜くべき? 抜いた方がよいケースと抜かない方がよいケースを紹介


親知らずは抜くべき? 抜いた方がよいケースと抜かない方がよいケースを紹介

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親知らずと呼ばれる最後に生える歯は、「悪さをするので抜く方がよい」と言われることが多い歯です。

しかし基本的に、歯はできるだけ抜かない方がよいはず。ではなぜ親知らずだけは抜歯をすすめられるのでしょうか? それは親知らずの生える位置や生え方が関係しています

ここでは親知らずについて、抜歯した方がよいパターンと抜歯しない方がよいパターン、そして治療内容などを紹介します。

親知らずを抜くかどうかは状況に合わせて考えよう! 歯科医との相談が必要

結論としては、親知らずだからといって抜歯が必須なわけではありません親知らずの中には抜かなくてもよい歯があります

ただし、親知らずは奥歯のさらに奥に生える歯。そのため、清掃がしにくいとかアゴが小さくてまっすぐ生えないとかなどの理由から、トラブルを起こしやすいのですね。

親知らずを抜くかどうかは、そのときの状態によります。自分には何の自覚症状がなくとも抜いた方がいいケース、またはトラブルがあっても治療して残した方がいいケースなどさまざまです。もちろん抜歯が嫌だという人もいるでしょう。

また抜歯しなくてもよい場合でも、将来のことを考えてトラブル回避のために抜歯をすすめられることがあります。親知らずをどうするかは担当の歯科医と相談して決めてくださいね。

 

親知らずとは?

親知らずと呼ばれる歯の正式名称は第3大臼歯。奥歯のさらに奥に大体20歳前後で生えてくる最後の歯で、「智歯(ちし)」とも呼ばれます。

子供の成人前後で生えるため、生えたことを親が知らないという理由から「親知らず」と呼ばれるようになりました。昔は平均寿命が低かったため、親知らずが生える頃にはすでに親が亡くなっていたからだとも言われています。

1960年代以前には、日本人でも親知らずが正しく生えている人が多く、問題はなかったようです。しかし食生活の変化が原因で硬い食事が減ってアゴを使わなくなり、アゴが小さくなってきたために正しく生えなくなってきたのですね。

現代では多くの親知らずが横を向いたり歯ぐきが被さっていたりと、まっすぐ生えません。そのため掃除がしにくく、虫歯などのトラブルになりやすい歯になってしまっています。

基本的には親知らずは上下の歯に2本ずつですが、人によっては3本生えてきたり、1本もなかったりすることも。何本であってもまっすぐに生えて歯磨きも問題なくできるのであれば、抜歯の必要はありません。

 

親知らずは抜くべき? 抜いた方がよい場合4パターン

ではどのような親知らずなら抜いた方がよいのでしょうか? 歯科で抜歯をおすすめされる親知らずは、次の4つのパターンです

  • ・歯ぐきに炎症が起こる
  • ・虫歯や歯周病を招くリスクが高い
  • ・歯並びを乱している
  • ・噛み合う相手の歯がない

 

歯ぐきに炎症が起こる

親知らず周辺の歯肉が炎症を起こすことを「智歯周囲炎」と呼びます。原因は中途半端に生えた親知らずの清掃が難しく、不潔になって細菌に感染し炎症を起こすから

このようなケースでは一度症状が治まっても、何度も繰り返し炎症が発生します。智歯周囲炎が重症化した場合には、顔が腫れたり口が開きにくくなったりすることも。アゴの骨が溶けてその他の歯が支えられなくなるケースもでてきます。そのため、炎症が見られれば抜歯をすすめられるでしょう。

 

虫歯や歯周病を招くリスクが高い

親知らずは一番奥に生える歯であるため清掃が難しく、虫歯や歯周病になってしまうリスクがとても高くなります。手入れが困難な場所であることは変わらないので、治療をしても再発する可能性も。

またその位置から治療でも大きく口を開けたままの状態を維持しなければならず、治療を受ける方もする方も大変です。

そのため一度でもトラブルを起こした親知らずは、抜歯となる可能性が高いでしょう。

 

歯並びを乱している

親知らずが横向きになってしまっている場合、隣の奥歯を後ろから押すようになります。それが原因で奥歯の生え方が変わり、歯並びが悪くなってしまうのですね。

歯並びは正しく噛むためにとても重要なもの。親知らずが歯並びを乱していると判断されたときは、抜歯になるでしょう。

 

噛み合う相手の歯がない

歯は上下で噛み合うことによってバランスを保ちます。しかし親知らずは上下で同じように生えてくるとは限らず、噛み合う相手がなければどんどん伸びていくのですね。

歯が伸びると、口の中の粘膜を噛んだり向かい側の歯ぐきに刺さったりして傷付けます。それを阻止するための抜歯です。

 

親知らずは抜くべき? 抜かなくてもよい場合5パターン

続いて親知らずを抜かなくてもよい場合を説明します。次の5つのパターンであれば、抜歯をする必要はありません

  • ・まっすぐに生えている
  • ・噛み合わせにとって必要である
  • ・歯ぐきが被さっていない
  • ・アゴの奥深くにある
  • ・隣の歯にトラブルがある

 

まっすぐに生えている

親知らずがまっすぐに生えていれば歯磨きもしやすいため、清潔を保てる限りは問題ありません。上下で両方の親知らずがまっすぐ生えていればなおよくて、噛み合わせトラブルもないでしょう。

 

噛み合わせにとって必要である

稀に親知らずがあることで噛み合わせが整っていることがあります。そのような場合には親知らずを抜歯してしまうと噛み合わせが乱れてしまうため、できるだけ残す方がよいでしょう。

 

歯ぐきが被さっていない

歯ぐきが親知らずに被さっていない人も抜歯の必要はありません。清掃に問題がなくトラブルも起きていないなら、様子見をする歯科が多いでしょう。

ちなみに少しだけ歯ぐきが被さっているという場合には、親知らずの成長の邪魔になる歯ぐきを切除する場合もあります。

 

アゴの奥深くにある

親知らずがアゴの奥深くにあって頭を出すことがなく、ほとんど歯や歯ぐきに影響がない場合にも抜歯はしません。

ただし親知らずが神経を圧迫して痛みが出る場合などには、外科的手術を行う必要が出てくるでしょう。

 

隣の歯にトラブルがある

親知らずの隣の歯がトラブルを抱えている場合にも、親知らずの抜歯はしないケースが多くなります。

たとえば一つ前の奥歯が重度の虫歯になって神経がない場合。歯は神経を失うと途端に寿命が短くなってしまいます。そんなときには、隣の親知らずを移植したり矯正したりして活用するケースも。奥歯を抜歯したときや奥歯が折れてしまったときなどのために、健康な親知らずを残しておくのですね。

 

親知らずの抜歯治療の流れ

親知らずを抜くことになった場合の治療の流れについて紹介します。抜歯と聞くと恐怖を感じる人もいるかもしれませんが、内容を知っていれば多少は不安を軽減できますよ。

 

1、消炎

すでに親知らず周辺が炎症を起こしている場合には、消炎処置を行います。炎症が起きていれば麻酔が効きにくく、外科的処置ができません。

抗生剤を投与し、炎症を落ち着かせます。

 

2、CT撮影をする

親知らずが斜めに生えていたり完全に埋まったりしている場合には、歯と神経までの距離を測るためにCT撮影をします。歯と神経が4mm以上離れていれば安全に手術可能というのが目安です。

 

3、抜歯

麻酔を打って抜歯をします。歯を分割しなければ取り出せない場合には、歯の形が見えるまで歯ぐきをめくる処置も必要です。

 

4、消毒

術後感染などがないかを確認し、消毒をします。歯ぐきをめくったり切除したりした場合には縫合をしているため、1週間後をめどに抜歯。腫れは1週間程度続き、痛みが出る場合には痛み止めが出されます。

 

自分の状況に合わせて親知らずの処置を決めよう

親知らずだからといってすべてが抜歯になるわけではありません。正しく生えていて清掃ができるのであれば、特に抜歯の必要はないのですね。

生え方が悪くても虫歯などになってしまっていても、本人が抜きたくないと思うのであれば、抜歯はせずに治療をしてもらいましょう。

親知らずは個々の状況に応じて処置を決めます。絶対に抜歯が必要なわけではないので、あまり心配せずに歯科で相談してみてくださいね


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監修・執筆

ハピネス歯科クリニックの院長、大久保 圭

ハピネス歯科クリニック 院長 大久保 圭

秋田市の歯医者。出身地:北海道。出身大学:岩手医科大学歯学部。 ハピネス歯科クリニックでは、歯の悩みが何もない健康を保っていただくために、予防歯科を特に大切に考えています。 本ブログを通して、あなたの健康づくりに役立つ質の高い情報発信を心がけています。

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