八重歯と犬歯は同じ歯? 八重歯になる原因・デメリット・治療方法を紹介
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日本では歯が飛び出した状態の「八重歯」を可愛いと評することがありますが、それは世界では稀なこと。多くの国では、矯正対象としてみられるうえドラキュラやオオカミなどを連想させると恐怖心をもたれます。
この八重歯、犬歯のことだと思っている人が多いですよね。しかし実は、八重歯と犬歯は別物です。
ここでは八重歯と犬歯の違い、八重歯ができる原因、そして治療をした方がよい理由や治療方法などを紹介します。八重歯をもっているけれどどうすればいいのかわからないというかたは、参考にしてください。
八重歯は歯列からはみ出した歯のこと! なるべく放置せず治療しよう
八重歯は「転位(移)歯」が正式な名前です。漢字からわかるように、単に通常の歯列からはみ出た歯を指します。
そして犬歯は前歯から数えて3番目に位置する歯で、これは歯そのものの名前です。犬歯は糸切り歯とも呼ばれることがある、永久歯の中で最も長く先が尖った歯。永久歯の中でもあとの方に生えてくる、乳歯にはない歯です。
この犬歯が歯列からはみ出て生えることが多いため、八重歯は犬歯のことであると考える人が増えてしまったのですね。しかし実際には、前ではなく後ろへ出ていても犬歯以外の歯でも、歯列から飛び出ていたり重なって生えていたりすると八重歯と呼びます。
八重歯はできるだけ治療することがおすすめの歯。理由は歯列の中に入っていないため、とても磨きにくくトラブルを発生させる可能性が高いからです。
日本において八重歯は見た目が受け入れられています。中には可愛いからとわざわざ八重歯にするために歯科に行く人もいるほど。
しかし八重歯は虫歯や歯周病、口内炎などさまざまなトラブルの原因となる可能性が高い歯です。それらを予防するため、後々の口内状態のことを考えて矯正治療を受けましょう。
八重歯ができる原因4つ
ではなぜ八重歯になってしまうのか、その原因を4つみていきます。
- ・スペースが不足している
- ・正常の本数より多く歯が生えている
- ・乳歯の入れ替わりが通常ペースとズレた
- ・口呼吸をしている
スペースが不足している
八重歯といえば犬歯というイメージがついたのは、すべての歯の中で犬歯が歯列から飛び出すケースが多いから。犬歯は永久歯の中でも最後の方に生えてくるため、すでに歯が生えるスペースがない場合に飛び出てしまうのですね。
現代の日本人は昔に比べると硬いものを食べなくなったため、アゴが発達せず小さくなっていると言われています。アゴが小さいので、歯が生えるスペースが十分にない人が増えているのでしょう。
また、歯そのものが大きい人もやはりスペースが足りなくなり、八重歯になりやすいといわれています。
正常の本数より多く歯が生えている
人の歯の数は一般的に、上下合わせて28本です。これに親知らずを加えれば32本。しかし生まれつき歯がたくさん生えてくる人もおり、すべての歯が生える場所がありません。
正常な本数より多い歯のことを「過剰歯(かじょうし)」と呼びます。特に上の歯は過剰歯が生えやすく、歯が並ぶスペースがなくなってしまうのですね。
乳歯の入れ替わりが通常ペースとズレた
乳歯のときに虫歯になり歯を失ってしまうなど、歯が抜ける順番が変わったことが原因になる場合もあります。
通常より早く乳歯を失うと、奥に生えるはずの永久歯が前へとずれてしまい、犬歯の生える場所を取ってしまうのですね。
そして乳歯が予定通りに抜けなかった場合にも、同じように永久歯が正しい位置に生えられず、八重歯になってしまいます。
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いつ乳歯から永久歯に変わる? 生えかわり時期に注意すべき5つのポイント
口呼吸をしている
生まれつき鼻が悪かったり花粉症や鼻炎であったりする人は、口呼吸をしてしまいがち。しかし歯が生える子どもの時期に口呼吸をしていると、八重歯になってしまうことがあります。
これは口呼吸をすると舌の位置が通常より下がってしまい、舌による圧力が上のアゴにかからなくなるため。すると頬からの圧力に負けたアゴが狭くなり、歯が生えるスペースが減少します。最後の方に生える歯は十分なスペースがなく、八重歯になってしまうのです。
八重歯を放置するとどうなる? デメリット4つ
八重歯は歯列からはみ出たり、重なるように生えたりしている歯を指す言葉です。しかし多くの場合犬歯に当てはまることが多いので、ここでは犬歯が八重歯になったときのデメリットを4つ紹介します。
- ・他の歯や歯ぐきに悪影響がある
- ・清掃がしにくくトラブルが発生しやすい
- ・口内を傷付ける
- ・口呼吸になる
他の歯や歯ぐきに悪影響がある
犬歯は、食べたものを奥歯がすり潰すさいにアゴを支え、横からの力に弱い奥歯を守るという役割があります。しかし犬歯が八重歯になっていれば、歯列から離れているためきちんとアゴの動きを支えられません。
その結果、他の歯に過度な負担がかかり、噛み合わせなどもずれてしまいます。
清掃がしにくくトラブルが発生しやすい
八重歯は歯並びが乱れているため、清掃がしにくくなります。
他の歯と同じように磨いているつもりでも実際には磨けておらず、虫歯や歯周病、口臭の原因になりやすいのですね。
重なった部分や裏側などが自分ではうまく磨けないため、歯科で定期的にクリーニングを受けなくては清潔を守れません。
口内を傷付ける
犬歯は歯の中で一番長く、虫歯にもなりにくい強い歯です。それが前に向かって出てしまうため、上唇の内側などを傷つけてしまいやすくなります。
歯で傷つけた場所に細菌が入れば口内炎に。食事時などに傷口がひどくしみ、痛みで飲食ができなくなるなど日常生活にも支障をきたすでしょう。
口呼吸になる
歯並びが正常ではないため、口を自然に閉じることが難しくなります。
口が開いた状態では口呼吸になってしまい、口内が乾燥。口の中が乾燥すれば細菌の活動が活発化し、虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます。また、喉の炎症などのリスクも高まりますよ。
八重歯の治療法
八重歯にはさまざまなデメリットがあります。将来のことを考えると、やはり治療がおすすめ。
八重歯の治療は矯正です。
前述した通り、八重歯になる確率が高い歯は犬歯。しかし犬歯は奥歯を守ったりアゴの動作を守ったりする重要な歯であるため、歯科医はできるだけ抜かずに残そうとします。
そこで取れる手段が、矯正なのですね。矯正にも種類がありますが、八重歯の治療では次の3つが効果的です。
- ・ワイヤー矯正
- ・マウスピース矯正
- ・部分矯正
ワイヤー矯正
代表的な矯正方法です。金属のワイヤーを通したブランケットと呼ばれるものを歯に装着し、歯列を少しずつ動かして正していきます。
歯の表側に矯正器具をつけますが、最近では歯の裏側に器具をつけて目立たなくさせることも可能です。
金属だけでなくジルコニアやセラミックなど素材も複数ありますが、丈夫で目立たない素材になればそれだけ費用も高額になります。
マウスピース矯正
プラスチック製のマウスピースをはめて歯を治療する方法です。無色透明のマウスピースをつけるため目立ちにくく、ワイヤー矯正に比べて痛みもありません。
また食事のときに外せること、掃除がしやすいこともメリットですね。
部分矯正
ワイヤーやマウスピースのように全体の歯を巻き込んだ矯正ではなく、飛び出ている歯と周辺の数本を矯正する方法です。特に犬歯だけがでているような状態であれば、部分矯正でも十分効果があるでしょう。
しかし場合によっては歯を削ったり抜いたりする処置が必要なこともあります。そのため、事前に担当の歯科医としっかり話し合ってからにしましょう。歯は一度削ったり抜いたりすれば、元には戻りません。
八重歯は治療がおすすめ! 歯科へ相談しよう
日本では可愛いと言われることが多い八重歯ですが、実際にはデメリットが多い歯です。
八重歯は歯並びが乱れている歯を指す言葉。掃除がしにくく、汚れがたまりやすいため口内トラブルの原因になってしまいます。
虫歯や歯周病、口臭のことを考えれば矯正治療がおすすめ。矯正にもさまざまな方法があるので、まずは担当の歯科医に相談してくださいね。